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サンエー・インターナショナル、ネット強化へ仕入れ改革

2011年 9月22日 17:43


5men.JPG アパレル大手のサンエー・インターナショナルは9月から、ネット販売の成長にブレーキをかけていた商品仕入れプロセスの改革に乗り出し、ネット用の在庫を大幅に増やす体制に移行した。また、同じタイミングで実施した自社通販サイトのリニューアルに合わせ、新たにネット限定の割引サービスを導入したほか、これまで手薄だったウェブプロモーションを積極的に展開することで、顧客の定着化と新規客の開拓に本格着手した。

 同社は、中期的な成長事業として通販チャネルを強化。「とくにネット販売を伸ばすためには在庫戦略と会員戦略、プロモーション戦略が欠かせない」(安藤慎一郎EC戦略事業部長)とし、この3点を強化する。

 在庫戦略については、自社通販サイト「セレクソニック」の仕入れ体制の改革に着手。会社全体として販売機会ロスの低減に向け舵を切った。

 従来は店頭優先で通販サイトへの商品投入量が決まっていたため、ネット購入のニーズが強くても在庫が少なく売り逃していたケースもあった。

 前期(2011年8月期)は在庫切れで「再入荷お知らせメール」が利用された商品の総額は20億円にのぼり、機会ロスも少なからず生じていた。実際、「セレクソニック」の売上高は10年8月期の22億円強に対し、前期は商品投入量を増やせなかったことが影響し、ほぼ横ばいの見込みだ。

 同社は、こうした売り逃しに対する危機感から、店頭の協力を得て仕入れ体制を全社的に見直し、ネット販売でも独自の販売計画を立てられる体制に移行。12年8月期は30億円台を狙える商品の奥行きを得たと見られる。

 一方の会員戦略では、9月1日のサイト刷新と同時にネット会員限定でいつでも5%オフで買い物ができるようにし、ネット販売の利用者や利用回数増につなげる。

 ファッションモール系の通販サイトが店頭キャンペーンに合わせて割引をするケースはあるが、ネット独自でしかも恒久的に取り組むのは極めて稀なケースだ。

 プロモーション面では、06年の「セレクソニック」開設以来、初めてバナー広告を掲載。ヤフーやファッション系のサイトを活用して新客の取り込みを開始した。トライ&エラーを繰り返し、効果の高い媒体に絞り込んで継続掲出する計画だ。

 サンエー・インターナショナルでは今年7月、重要顧客を対象にアンケートをとったところ、送料や商品の着用感に関する意見が多かったことを受け、当初は来年3月の予定だった通販サイトのリニューアルを大幅に前倒しして9月に実施した。

 送料については、9月の1カ月間は購入金額に関係なく無料とし、代引き手数料も無料で対応。10月以降も、従来は送料無料になる購入額の下限を3万1500円に設定していたが、これを1万500円に引き下げるほか、送料自体も735円から500円にする。

 また、商品の着用感を分かりやすくするため、商品の写真はこれまでのトルソー撮りから、モデル着用の画像を始めた。

 同時に、自然派コスメなど自社以外の商材を拡充したほか、6月に経営統合した東京スタイルのブランドも一気に12ブランドに増やすなど、ネット販売の強化に向け大きく動き出した。

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