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おせちネット販売の現状・その2 〝お試し〟で利用拡大、補償制度や変更対応も

2011年11月25日 10:56

082.jpg前号では仮想モールの「おせち」商戦の現状を取り上げた。今回はネット販売事業者の今年の動向をみてみる。

 オイシックスでは11月17日時点で約7700件の受注を獲得し、受注件数は前年比60%増で推移している。今期は昨年人気だったおせち「高砂」のメニューをリニューアルし、子どもが食べやすい内容に充実させた。「高砂」は定番商品だが、内容の目新しさが奏功し、子どもを持つ家庭のリピート購入が活性化しているという。

 同社のおせち商戦は9月初旬から開始した。特設ページを開設し、10アイテムをラインアップした。このうち新商品は2アイテムで、洋風おせち「綾巴」(税込・12600円)などとなる。価格帯は6000~8万円と幅広く用意している。

 人気おせちは「高砂」(税込・1万5000円)で、昨年と同様に「あじの昆布〆」や「ローストビーフ」、「クリームチーズ」などを詰め合わせたほか、新たなメニューとして「蟹のシャルロット」や「しめじのソテー」「焼プチトマト」などを追加し25品目とした。

 おせち商戦で奏功しているのは、お試しセットの販売。食材通販サイト上で「高砂」などに使用した代表的なメニュー4点を詰め合わせたもので、失敗したくないというユーザーのニーズに対応。アクセス数の多い自社通販サイト上で訴求し、購入者を特設ページへ誘導し購買につなげている。

 また、今年は全額を返金する補償制度に加え、おせちの特設ページで放射能検査の取り組みを紹介した。子どもを持つ母親の不安を払拭し、家族全員で食べられるおせちとして訴求した。

 おせち商戦に先駆けて実施したアンケートでは昨年のおせち購入者の83%が今年も購入すると回答。保存料や合成着色料を使用せず主原料の多くが国産であることや、薄味の味付けで飽きずに食べられる商品力が人気となっているという。



 楽天の「楽天市場」のおせちランキングで首位を走り続けているのが博多久松(本社・福岡県粕屋郡、松田久美子代表取締役)だ。同社では強みの豊富なボリュームに加え、「お試し」や内容変更への対応、年明けまでの顧客対応など顧客視点のネット販売を実践。昨年からはニーズに応えてカタログも発行するなど、リピーターの獲得・継続を重視した戦略を展開している。昨年は用意した3万2000セットが12月上旬に完売。今年はそれを上回る4万セットを用意したが、「すでに2009年の販売総数を越えた」(博多久松)と好調。現在までの販売数は非公表だが、昨年と同時期に完売する見通しだという。 

 同社では2006年以来、毎年8月から予約販売を開始する。今年は食材やボリューム、価格が異なるセットを8種類用意して、楽天やヤフー、ぐるなびの仮想モールで展開している。

 売れ筋は8寸3段重で45品入りの「和洋折衷定番おせち『博多』」(税、送料込・15800円)。一般的な6・5寸重の4段分に相当するというボリュームが特徴。販売数はおせち商品全体の7割を占めているという。

 販売面ではオイシックス同様、「お試し」サービスが強みのひとつ。2007年から開始している試みで、8月から10月末までの期間、海老や伊達巻などの定番品を10種類入れた「おためしおせち」(税込・525円)を提供。今年は2000セットを販売した。「ユーザーに良さを判断してもらうため」(同)始めたもので、注文のキャンセルが減少するなどの効果が出ているという。

 また、キャンセル対応に加えて注文内容の変更にも対応するなど、顧客視点の売り方を意識。要望が多かったため、年明け2日まで営業して不測の事態に対応する体制も整えた。こうした細かいサポートが好調要因となっているようだ。(おわり)
 
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