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高まる健食の顧客要望㊦ イメージ作りとニーズ対応、単価アップも視野

2011年12月 8日 10:36

 顧客の健康ニーズの多様化を受け、すでに基幹商材を確立している有力通販実施企業では、一般的な素材の商品の取り扱い拡大する動きが見られる。その一方で、自社の得意とする素材を使った商品のバリエーションを拡充する方向で顧客ニーズに対応しようとする健食通販実施企業もある。



 グルコサミン単一素材の健食「大正グルコサミン」が好調な大正製薬では10月26日に、新商品として「大正グルコサミン コンドロイチン&コラーゲン」を発売した。

 同社の「大正グルコサミン」は、健食の使用に関する患者の相談が増えているという医師の声を受けて開発したもの。高品質のグルコサミンのみの使用により、医師が飲み合わせの相談などに対応しやすくした。

 これまでの展開では、単一素材とした結果、剤形が小さく飲用しやすいなどの利点から、高齢者層を中心に顧客を獲得。通販事業売り上げの約7割を占める基幹商材となっているが、より効果感が得られる商品を求める顧客の声もあり、「コンドロイチン」などを配合した今回の新商品を投入した。

 グルコサミンは競争の激しい商材で、他社では複数の素材を配合した商品も展開する。効果感を求める顧客が他社商品に乗り換える可能性も考えられ、大正製薬としても、顧客ニーズに対応した商品を投入したわけだ。

 また、今回の新商品でもうひとつ重要なのは、価格戦略。「大正グルコサミン」のヒットの背景には、税込2000円台という価格が購入を後押ししてきた面がある半面、購入単価の引き上げが課題になっていた。

 この対応策として、すでに5000円台の漢方系の商品も投入しているが、今回のグルコサミンの新商品もついても税込5250円に設定。中価格帯の商品ラインアップを拡充し、購入単価の引き上げにつなげる。

 ハウス食品でも、価格戦略の視点から同様の動きが見られ、既存の主力商品「天然効果活性ウコン」を軸に商品ラインアップを強化。今年5月に「高麗人参エキス」や「イチョウ葉エキス」「大豆イソフラボン」などの成分を加えた新商品4アイテムを投入している。

 同社はこれまで、コンビニなど店販でヒットする健康飲料「ウコンの力」の認知度を活かし、通販でも「活性ウコン」を中心に展開。今回の取り組みでも「ウコン」を軸に据え、商品を拡充した。

 価格設定についても、既存の「活性ウコン」が2000円(税込)なのに対し、今回の新商品は2000円台中盤以降に設定。新規顧客の獲得と同時に、既存の「活性ウコン」購入客のスイッチや併せ買いによる購入単価の引き上げを図る考えのようだ。

 このほかに、菓子メーカーのフレンテ・インターナショナルでは、12月にオーラルケアのニーズに対応したタブレット商品「スーパークリッシュ」をリニューアルし、独自素材・乳酸菌LS1の配合量を1粒当たり1億個増量。同商品の場合、もともと価格が税込6500円であるため価格を据え置きとするが、効果感を求める顧客の声を受けたリニューアルだという。

 各社の健食通販は、柱となる商品の育成など事業基盤づくりの段階と言えるが、自社通販のイメージ確立を図りながら、多様化する顧客の健康ニーズへの対応と購入単価の上昇につなげる構えだ。
(おわり)


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