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トランスコスモスに聞く・ネット販売支援を強化

2011年12月15日 13:05

7men.JPG トランスコスモスがネット販売支援を強化している。これまでのコールセンター業務で培ったノウハウを注入したEC構築エンジン「MCM EC Builder」の提供を開始。EC事業者から紙媒体中心の通販企業まで幅広く対応できるもので、通販事業者全般に訴求を図る。開始の経緯や特徴を、Webインテグレーションサービス統括部の納庄守氏とEC・通販推進部堀口智裕部長代理に聞いた。(聞き手は本紙記者・河鰭悠太郎)

 ――サービス開始の経緯を伺いたい。

 納庄守氏(以下、納庄)

 もともと広告や制作、バックオフィス運用などの部分でサービスを提供していたのだが、ECのシステム開発部分は外注することが多かった。ただ、外注だと個別案件のたびにまとまった初期コストが発生するなど競合他社と比べてコスト競争力で厳しい面があった。また、品質も外注だと責任をもって担保するのは難しい。つまりコスト競争力や品質、機能的な自由度などの問題で壁にぶちあたっていたわけだ。それで自前ですべて扱うことにした。ただ、昨今のECの仕組みは複雑で、後発の我々が作るにはスピードやリスクの点で課題があるので、ベースにシステムインテグレータさんの「SIウェブショッピング」を使った。

 堀口智裕氏(以下、堀口) もともと要件定義までしているのだから、我々で全部やったほうが効率的だと思ったわけだ。

 ――特徴は。

 納庄 まず、ECシステムの構築全般に対応している。要件定義から開発、導入、保守、拡張まで。さらに、全体のプロモーションの組み立てや、その後の運用も提供していく。機能はSIウェブショッピングがベースなので、そこが持っている機能はすべて対応しているが、それにプラスして3つの特徴がある。1つは販売方式。仕入れ販売や予約販売、定期購入、受注生産、産直、クーポン対応などの販売方式に標準で対応している。あとはログ解析ツール。現在のECではこの部分は必須なので、管理画面で全部設定できるようにしている。システムをいじる必要から開放され、コストやリードタイムも下がる。ログ解析ツールとの連携をかなり強化しているのは大きな特徴だ。

 また、コールセンターやファクスなど別のチャネルから入ってくる注文情報を集約して、CSV形式で管理側から取り込むことができる仕組みを作った。出荷の管理や売り上げのレポート管理もまとめて行える。

 堀口 これは重要な部分だと思う。EC専業の方には「電話でアプローチしたい」という声が多いが、取り込み先がないなどの問題がある。だから「チャネルを広げたい」というお客様には本当にいいと思う。商品や在庫、売り上げ、出荷などを管理する機能を本体が持っているにも関わらず、それを使わずに別系統でウェブ以外のチャネルを処理するのはもったいない。

 納庄 要はECエンジンのパッケージ単体とみるより、『EC以外のチャネルも含めた通販全体のプラットフォーム』と思っていただいた方が実像に近いだろう。受注チャネルだけでなく、キャンペーンや販促がコールセンターと連携してやりやすいのもメリットだ。紙媒体とも連携させてコールセンターを絡めて運用するなども非常にやりやすい。

 ――スマホ対応は。

 納庄 フィーチャーフォンは全キャリア全端末に対応している。ベースのSIウェブショッピングがバージョンアップしているので、そこの状況もみて対応していく。

 ――集客サポートは。

 納庄 プロモーションを専門にやっている部署があるので、そこと連携して媒体計画からコンバージョンまでをサポートする。加えて全体的なプランニングや分析サービスについても、それぞれ専門の部署があるのでそこと連携できる。もちろんメールマーケなどウェブで当たり前の集客はひと通りフォローできる。

 ――想定するクライアントは。

 納庄 年商で数億から数十億のクライアントだ。楽天で成功しているようなショップからの需要も視野に入っている。「ECプラスα」で、運用や広告、制作、分析など、我々が持っているサービスを一緒に提案できる案件を考えている。ターゲットはECに限っておらず、通販事業者全般。ECの比率を高めたい方や、EC以外にも取り組んでいきたい方々に使っていただきたい。

 ――コスト例は。

 納庄 パッケージのライセンスは480万円。これにカスタマイズ費用や専用のデザイン制作費、インフラ構築費用などを含めると、1000万~1500万円ぐらいがミニマムだ。

 堀口 だいたい他社と似たような価格にはなるが、より高機能な製品を提供できる。現場の声に柔軟に対応できるなどのメリットもある。

 ――導入目標は。

 納庄 まずは来年度、年間10案件、売り上げは2億円を目指していく。開発単体での売り上げを立てることも重要だが、これをフックにコールセンターの需要なども取り込みたい。

 ――現状は当初予想と比べてどうか。

 堀口 ほぼ想定通りだ。従来のコールセンターのクライアントに提案していくイメージでいたが、そこ以外からも問い合わせが多い。今後はもっと紙媒体やインフォーマシャルで通販されている方にも提案していきたい。あとはEC専業の方の、他のチャネル展開への第一歩のお手伝いができれば、と思っている。
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