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千趣会  商品画像撮影の拠点開設、機能集約で業務を効率化

2012年 7月12日 13:35

 2-1.jpg千趣会は、ネット販売を意識した体制整備を進めている。この一環として6月1日、兵庫県西宮市にある「甲子園商品センター」内に、「千趣会クリエイティブセンター」を開設した。同センターにネット向けの商品撮影に関する様々な機能を集約しネット用の商品撮影業務の効率化を進めるとともに、最適な撮影スキームの構築を推進。ネットとカタログの新たな連携のあり方を追求する構えだ。



 千趣会クリエイティブセンター(SCC)は、甲子園商品センターの2階フロアに新設したもの。従来は、大阪にサンプル商品用の倉庫を借り、一部商品の撮影も行っていたが、これをSCCに移管した形になる。

 SCCの概要は、個々の商品を撮影する可動式ブース(15~20ブース)や家庭の風景などセットを使用した撮影コーナーなどのスタジオスペース(490坪)のほか、735坪のサンプル商品保管スペース(4階部分にも360坪分を確保)、商談や品質管理業務などを行う執務スペース(150坪)、SCCの運営業務委託先オフィス(42坪)を設置。商品画像撮影に関する機能を1カ所に集約したのが特徴だ。

 自社通販サイトでは、カタログの画像のほか、ネット用に商品そのものを見せるための商品単品のカットなどを使用しているが、カタログ画像の撮影後、web担者が必要に応じて撮影の手配をしていたことから、メーカーに一度返却したサンプル品を再度取り寄せ、ネット用の画像を撮影するケースもあったという。

 また、ネット専用商品の拡大(現在、商品全体の約10%)に合わせ、商品撮影の外注先も10社程度に増えていたが、明確なルールが整備されていなかったため、外注先へのサンプル商品の送付・返却などの管理や画像のクオリティの違いなどの問題が浮上。撮影外注先にサンプル商品が届くまでの時間的なロスも課題になっていた。

 SCCの設置は、こうした問題の解消を狙ったもので、基本的にすべてのサンプル商品を保管・管理し、同じ場所で撮影できる体制を整備。さらに、入庫した商品の検品およびサイトへのアップに必要なデータ入力、商談ができるオフィス機能など、商品画像の撮影に関する業務がワンストップで完結するようにし、撮影外注先もSCCの運営を委託する1社に集約した。

 千趣会では、一連の体制整備をベースに、より効率的な業務フローの確立を目指す意向で、すでにサンプル商品の管理やメーカーへの返却などの業務をSCCに移管。また、撮影のフローについても、ひとつの商品に対しカタログおよびネットで何のカットを撮るのかを決めた上で作業に入る形にしているという。



 SCCをベースにネット用商品画像撮影体制を再編した千趣会。その背景には大きな発想の転換がある。カタログとネットの役割の再考だ。

 現状、千趣会では、新規顧客の半数以上がネットからの流入で、「お客様とのファーストコンタクトのツールがカタログからネットにシフトしている」(広報室)。このため、カタログからのネットへの誘導など、"カタログありき"の従来の考え方を見直し、ネットからの顧客流入を前提にした施策を検討。ネットからの新規顧客にカタログで様々な商品を提案し、再購入やサイト再来訪のきっかけ作り、さらにカタログの利用などにつなげることを視野に入れる。

 カタログをメーンとしてきた総合通販事業者も、ビジネスの主戦場はネットに移行しつつあるが、一方で、ネットは顧客に能動的に売り場に来てもらわなければならない。これに対し千趣会は、発想を変え、自ら顧客にアプローチでき、シーンやイメージの訴求など豊富なノウハウを持つカタログを次の展開につなげるツールとして活用する考え。SCCの開設は、この施策の一環となるもので、今後、自社の強みを活かしたネットとカタログの新たな連携の取り組みを加速させていく考えのようだ。
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