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ブックオフコーポレーションの子会社でネット販売を手掛けるブックオフオンライン(BOO=本社・相模原市南区、平山俊介社長)では、岩手県の避難所を巡回する「移動図書館」に書籍を提供している。
毎月約1000冊の無償提供とは別に実施しているのが、インターネット買い取りサービス「宅本便」を使った支援だ。BOOが顧客から書籍を買い取り、同社側で10%上乗せした額を、移動図書館を運営する「シャンティ国際ボランティア会」に寄付。避難所の人たちからリクエストのあった書籍の購入に充てている。
経営戦略部カスタマーコミュニケーショングループ長の菊谷一郎氏は「被災地の方が読みたい本を届けることが重要だ」と話す。支援物資として書籍が避難所に届けられることは多いものの、中高年層が中心の避難所に絵本が多数届けられるなど、ニーズが合致することは少なく、さらには仕分けに手間もかかることから、ダンボール箱に入ったまま倉庫に放置されているケースも少なくないという。
とはいえ、避難所生活も長期化しているだけに、読書へのニーズそのものは高い。BOOが提携するボランティア会では、昨年7月から岩手県沿岸部の避難所を中心に回る移動図書館を開始。被災者は、読みたい本を借りたら次回の巡回時に返す仕組みだ。
同社では昨年8月下旬から宅本便を使った支援プログラムを始めた。個人からの買い取りだけではなく、「CSRの一環として寄付したい」という企業の利用が多いのも特徴だ。菊谷氏は「企業側も長期的な
支援が必要とは分かっていても、社内では義援金の集まりが悪くなっている。当社のサービスを利用する形なら現地に行く必要がないし、使い道が指定できるため外部にアピールもしやすいようだ」と話す。現在でも、企業からの問い合わせは多いという。
ただ、企業から集めた本を届けるだけでは被災者のニーズには合致しない。そのため、買取金額を書籍代として寄付するという形で現地からのリクエストに応えているわけだ。ちなみに、リクエストが多いのは「手芸・編み物関連」「作りおきができるおかずのレシピ本」などだという。
菊谷氏は「今後のCSRは利益との両立も考える必要がある。特に、今回の震災では継続的な復興支援が求められるだけに、企業の業績が悪化しても続けられる施策が重要だ」と指摘する。BOOにとっては、買い取った書籍は商品として販売できるし、利用企業にとっては、社員から募った書籍を買い取ってもらうだけなので、手間や負担もかからないわけだ。
BOOの場合、「ネットを通じた買い取り」という、企業の根幹ともいえるサービスとCSRとを結びつけることに成功した。被災地を持続して支援するためにも今後の企業は、自社に負担がかからない形での社会貢献を模索する必要がありそうだ。