TSUHAN SHIMBUN ONLINE

インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社
記事カテゴリ一覧

ディセンシアの小林琢磨社長に聞く、敏感肌用化粧品の通販戦略、「働く30代女性」にリーチ

2012年 9月 6日 14:33

ポーラ・オルビスホールディングス子会社で、敏感肌専用ブランドを展開するディセンシア(本社・東京都品川区、小林琢磨社長)が好調だ。ターゲットを絞り、これに合致する商品戦略、プロモーションを展開したことが奏功している。ディセンシアの小林社長に、敏感肌化粧品の市場観と同社の戦略について聞いた。
8-1.jpg
敏感肌化粧品市場の概況は。

 「単に低刺激で保湿するだけの敏感肌化粧品は、市場が縮小しているという調査資料もある。ただ、敏感肌の女性は間違いなく増えている。どういうことかというと、"低刺激で保湿できれば"というニーズではなくなってきているということ。敏感肌の方こそ肌の老化が早く、くすみが沈着しやすいなど『美白/エイジングケア』ニーズが高い。最近は健常肌向けブランドが敏感肌向けを出すなどクロスオーバーが進み、市場の線引きが難しくなっている」

 ディセンシアも昨年9月にエイジングケアの「アヤナス」、3月末に美白対応の「サエル」を投入した。販売動向は。

 「新ラインの売り上げ比率は高まっている。7月の月次売上高では『サエル』が約半数を占める」

 通期(12年12月期)の見通しは。

 「売り上げ比率は『アヤナス』が45%、『サエル』が35%、従来からのベーシックライン『つつむ』が20%を見込む。新規獲得のCPOや本商品引上げ率を見ても新ラインは顧客から好意的な反応を得ている」

 その要因は。

 「ターゲットを働く30代女性に絞ったことが奏功している。従来のベーシックラインのターゲットは乾燥系敏感肌の方全般だった。だが30代になるとエイジングが気になる。一方で社会的立場、企業の中で役割が大きくなり、家庭では育児に追われストレスが多い。そこでポーラ研究所の研究開発力を活かせる分野を考え戦略を変えた。以前は平均年齢が20代半ばだったが、今はほぼ35歳。私が社長に就任して3年で9歳ほど平均年齢が上がった」

 各社、敏感肌市場に目を向ける中、差別化を図るのは難しくないか。

 「"敏感肌でも使えます"という化粧品はとても増えた。ただ、その多くは『(敏感肌を)健やかにする』という低刺激タイプのもの。当社は『(敏感肌は)美しくなれる』というコンセプトを打ち出している。敏感肌の方は肌が常に炎症を起こしていて肌悩みが深い。研究していくと健常肌の方とはシミやくすみ沈着のメカニズムが違うことが分かってきた。敏感肌独自のケアに対応したことが差別化になっている」

 敏感肌専用ブランドとの差別化は。

 「独自の老化をつきとめている点で差別化になっている。もう一つは、『アレルゲンをブロックして炎症を起こさせない』というポーラ化成の特許申請技術を応用している点が強みだ」

 敏感肌専用化粧品は、肌状態が良くなるとブランドチェンジしてしまう印象がある。継続率は課題となっていないか。

 「よく聞かれるが全く逆と捉えている。なぜ独自の『美白/エイジングケア』を可能にした商品を出したかと言えば、もう二度とほかの化粧品を使わないで良いから。敏感肌ケアと同時に『美白/エイジングケア』も出来てしまう。実際、継続率も高まっている」

 どう変化した。

 「引上げ率の業界水準が25~35%と言われる中で、ベーシックラインは30%弱だった。新ラインの90日後の引上げ率は『サエル』、『アヤナス』共に約40%で推移。半年では45%近くなる」

 継続率向上に向けた施策は。

 「何か特別なことをしているわけではない。施策で変えられる幅は小さく、まず商品をテコ入れしたことが大前提。ただ、働く30代女性をターゲットにしているため、顧客は都市部に多い。自然、新規客の8~9割はウェブ受注となっている。より指名検索してもらうことがCPOを下げる意味でも重要になる」

 「このため、メディア向け商品発表会を行っている。大手ではよく行われるが、中小企業の経営者からはよく"なぜするのか、その分クリエイティブをテストして投資した方が良いのでは"と聞かれる。確かにそれが通販の定石でもある。ただ、当社の場合、チラシでリーチすることが難しい、都市部の30代女性をターゲットにしている。そのためまずメディアに認識してもらい、第三者の評価を得ることで興味を持ってもらうことが重要だった。当初は記者発表をCPO換算すると苦しかったが、認知が上がり、今では非常に安定的に指名検索が得られるようになっている」

 今後の展望は。

 「『敏感肌専用ブランドと言えばディセンシア』というマインドシェアを確立したい。単に売り上げだけを追うのであれば利益率を下げ、(卸など)流通戦略を強化することで可能ではある。ただ、売り上げの拡大は一人あたりのLTVを上げていくことで達成したいと考えている」



楽天 通販売上高ランキングのデータ販売