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エグゼクティブ会議、かすむ「法制化」への道筋、発足5年で活動の行方は?

2012年10月 4日 10:10

「サプリメント法」の法制化を目指すエグゼクティブ会議(代表世話役=森下仁丹・駒村純一社長)の活動がにわかに勢いづいている。9月19日には、九州の健康食品通販大手4社の代表を招き、公開討論会を開催。10月には日本チェーンドラッグストア協会の事務総長を招き、シンポジウムを開いた。ただ07年末の発足から約5年、同会議は法制化に向けた具体的な道筋を示せないでいる。

 かつて、健食の販売事業者を中心に100社超が参加したエグゼクティブ会議だが、通販大手の退会が相次ぎ、今では70社が母体となっている。
 過去には超党派の議員連盟「健康食品問題研究会」(09年解散、会長=石崎岳元自民党衆議院議員)などと政治的アプローチによる法制化を模索したが、実績を残すことなく、「団体の数が多い。業界総意が見えない」(石崎元議員)と指摘された。
 9月のイベントも、注目されたのは、九州の大手通販事業者が一堂に会したことのみ。消費者庁の「機能性評価モデル事業」に対する感想は聞かれたが、法制化に向けた議論に前進はなかった。

 政治的な活動が停滞した09年以降、エグゼクティブ会議は健食業界に乱立する団体の統合に活動の意義を見出してきた。

 ただ、食品や医薬品、製造など母体の異なる健康関連の団体はいまだ独立性を保ち、これを提唱したエグゼクティブ会議も存続している。

 会議をコーディネートするUBMメディアの牧野順一氏は、「日本健康・栄養食品協会は行政の指導を受けつつ活動しなければならない。産業を切り開くことは難しく、(エグゼクティブ会議が)行政に産業はこうあるべきだと主張する」と、その役割を語る。

 この9月のイベントに参加した九州の通販大手4社(エバーライフ、キューサイ、新日本製薬、やずや)からは、「日健栄協に加盟する必要性を感じていないところもある。九州支部開設など具体的な形になってきているので、認知が高まるまで双方で活動しなければならない」(新日本製薬・後藤孝洋社長)と理解を示す声も聞かれたが、一方で、「本来一つになればいい」(同)、「日健栄協に一本化してやっていくことが正しいとは思う」(エバーライフ・浅井克仁社長)との声が聞かれた。

 他団体との連携にも進捗はみられない。エバーライフを除く3社は日本通信販売協会(JADMA)の「サプリメント部会」のメンバーでもあり、「部会に参加する九州の事業者が(連携の)突破口になれば」(駒村社長)と期待感を口にする。

 ただ、「JADMAは(登録制など)自主規制を行っているが、通販や店販など売場で分けず議論すべき。JADMAとも話し合いの場を作りたいが、こちらはどちらかと言えば日健栄協を中心にやっていこうと考えている」(同)というのが、エグゼクティブ会議の基本路線。自主規制の浸透により足場を固め、行政や健食の表示制度化に反対する消費者団体に示すことのできる"実績"を作ろうとしているJADMAとは、団体間の考えに隔たりもある。

 参加企業が減り、政治的アプローチも頓挫する中、その存立理由である法制化の道筋を示せないままでは、エグゼクティブ会議の求心力は低下するばかりだろう。

 今回、九州を代表する通販大手は、参加した背景を「4社は日頃から活発に交流していて地元からという意識が強い。全国規模でもそれなりの規模の社長が連携意識を持っているのは九州だけ。どこかの団体というより、九州の事業者として各団体でまとまった意見を発言していこうというスタンスになっている。東京や大阪の事業者と連携を図りながら、将来的に一つの流れになればいい」(やずや・矢頭徹社長)、「目的は一つ。各団体があるべき正しい形を作り上げていきながら機運を高めていけば、集まる先は一つ」(後藤社長)と語っている。

 エグゼクティブ会議は、連携を強める九州の通販大手の力を借り、その存在感を示そうとしたのかもしれない。

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