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西友のネットスーパー、DeNAとID連携へ、3年で品ぞろえ10万点に拡大

2013年 7月 4日 10:28

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西友(本社・東京都北区、スティーブ・デイカス最高経営責任者)は6月27日、ディー・エヌ・エー(本社・東京都渋谷区、守安功社長兼CEO)組み、ネットスーパーとネット販売を融合した通販事業を本格化した。西友が親会社を通じて調達した低価格商品の豊富な品ぞろえを強みに展開する。昨年7月から協働を開始したDeNAのノウハウを活用してサイト構築を行うほか、ID連携を開始し顧客の定着率を高める狙い。品ぞろえは3年後をメドに10万点まで拡大する。競合のGMSやドラッグストアなどに対して競争力を持たせる考え。

通販サイト「SEIYUドットコム」は、西友はウォルマートを通じた商品調達で、実店舗同様に低価格戦略を推進するほか、豊富な品ぞろえを提案する。セールやキャンペーンに依存せず日常的に安定した低価格を実現することで、使いなれた商品を短時間で、お得に購入したいという顧客ニーズに対応する。

 取り扱い商品数は現状、2万4000アイテムで、食品や日用品などをラインアップする。今後は一般用医薬品の取り扱いも開始する考えで、準備を進めているとした。

 配送は店舗から出荷する「ネットスーパー便」と、ネットスーパー専用の配送センターから出荷する「配送センター便」で展開。これにより、店頭では在庫が持ちにくいニッチ商品の取り扱いを可能となった。本格化に伴い、直輸入商品を集めた「アメリカンコーナー」を新設し品揃えの充実を図っていく。

 ネット販売事業の本格化に伴い、DeNAの会員IDを連携した。仮想モール「DeNAショッピング」上や「SEIYUドットコム」内で、ポイント残高などを確認できる「ポイント通帳」を表示し、ポイントをきっかけに相互送客を図る。

 加えて、西友ではDeNAを通じて、店舗の商圏外からの集客も強化する。配送センター便を開始したことで全国配送が可能となったことから、ウェブマーケティングを強化していく方針。

 本格化に先駆けて昨年11月に「SEIYUドットコム」を刷新。DeNAのノウハウを活用して、平均購入点数20~30品目を購入するサイトの利便性を向上するため、商品一覧から購入できるように工夫。買い物かごの中身を常時表示し、簡単に買い物かごの中身を変更できるようにした。

 実店舗同様の買い物体験を目指し、売り場への導線を強化した。検索ワードに文字を入力すると、商品カテゴリーを推奨。カテゴリー間を回遊しながら商品を検索できるようにした。

 なお、西友の現状の顧客数は50万人で、ネットスーパー対応店舗数は109店舗で人口カバー率は20%となる。昨年11月の刷新後、売上高は前年同期比50%増で推移しているという。


6月27日の記者会見での本紙記者との一問一答は以下の通り。
 DeNAとの協働の背景に収益性の課題があったのか。

 西友の久野克宜執行役員シニア・バイス・プレジデントドットコム事業本部(以下=久野)「DeNAと組んだ背景に収益性があったわけではない。ただ、収益性は数年間で向上している」

 配送の多様化でコスト増加はあるか。

 久野「2つの配送便を併用するユーザーの単価は上がっており、1便あたりの差益も変動する。配送回数はユーザーが選択できるため、収益構造はバランスが取れている」

 購買頻度を高めるためのポイントは。

 久野「顧客にとって"サクサクできる買い物体験"が重要。DeNAとの協働で、短時間でサイトの操作性を高めることができた。気に入った商品をすぐに買い物かごに入れられて、簡単に決済できることが強みだ」
 「DeNAショッピング」として西友と組むメリットは。

 DeNAの林光洋執行役員EC事業本部本部長(以下=林)「食品・日用品は他の仮想モールが特化できないカテゴリーだ。他を利用するユーザーを『DeNAショッピング』に誘導したい」

 ID連携で期待する効果は。

 林「『DeNAショッピング』のポイントを利用して食品・日用品を購入するケースは多い。西友のネット販売を利用してポイントを貯めるよりも、すでにポイントを持っている方が西友を利用することに重きを置く」

 モール出店店舗には西友の価格戦略が脅威という声もある。

 林「すべての商品が価格を軸に競争しているわけではない。品揃えや商品の見せ方、マーケティングの仕方など出店店舗は工夫している。従来通り、各店舗は工夫して様々な形で勝負してほしい。ただ、食品・日用品のニーズは低価格傾向が強いので、ユーザーのニーズに応えるという点では、ある程度の価格競争は仕方がない」

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