TSUHAN SHIMBUN ONLINE

インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社
記事カテゴリ一覧

JIMOS買収のナック・寺岡社長に聞く、通販参入の狙いと今後の戦略は㊤

2014年 1月16日 10:24

2-1.jpg
「クリクラ」ブランドの宅配水などを手がけるナックが通販に本格参入した。昨夏に化粧品や健康食品の通販事業などを行うJIMOSを親会社のサイバードホールディングスから約60億円で取得し、完全子会社化した。今後はJIMOSを軸に、通販ビジネスの拡大を図っていく考えのようだ。同社の寺岡豊彦社長にJIMOS買収の理由やその狙い、今後の通販事業の展開や戦略、方向性などについて聞いた。


──昨年7月にJIMOSを子会社化した。買収の狙いは何なのか。

 「JIMOSには2つの性格がある。"通販"と"化粧品"という部分だ。我々としては、JIMOSの"通販"よりも非常に伸びシロのある"化粧品"の部分に注目して買収を決めた。通販、ECは先行業者が非常に多く、競争も厳しく、例えば総合通販では勝ち目は薄そうだが、化粧品の分野はまだまだ勝てるチャンスはあると考えている。例えば訪問販売というやり方もあるだろう。実際にポーラさんなどもこの分野で伸ばしている。店舗販売についても可能性はあるだろう。もちろん、化粧品のカタログ販売などもあるわけだ。また、JIMOSが保有する顧客層・ターゲット層も魅力だった。JIMOSの場合、40~60代くらいまでが主力のターゲットとなっている。この層は今後、10年、15年と日本において、消費層の中心となってくるはずで、この層は消費を色々な意味で広げていく層になるだろうからだ。特に化粧品は当該層との親和性も高そうでグループとしての今後の成長戦略を考えた場合にも魅力的だった」

──既存事業との相乗効果も狙っている。

 「そうだ。我々としても、既存事業と相乗効果を生むカタログ通販を構想しているところだった。我々には『ダスキン』のレンタルサービスや宅配水事業など既存事業で直販と代理店を含めて約80万件のお客様に2週間ないしは4週間ごとに定期訪問して商売を行っている。そうした顧客に単に1つの商品を提供するよりも、そうした顧客接点を利用して様々な商品を紹介できないかと考えてきた。要はカタログ通販のようなことができないかと。実は1年前から実験し始めた時だった。宅配水の業界は震災以降、確かにお客様も爆発的に増えた。しかしその一方で参入業者は増え、完全に供給過多になっている。反動で安売り競争となっており、販売するものがミネラルウォーターだけでは完全な体力勝負になる。その安売り競争に巻き込まれないためには、宅配という力を活用しながら、水以外の関連商材を販売していかなければならない。例えば『クリクラ』の水を使って、水素水や炭酸水が飲めるとか、そういう付加価値を増やしているわけだが、無論、水以外の商材を販売してもよいわけで、カタログで様々な商材を提案し始めたわけだ。ただ、我々としてはカタログ通販にはまったくノウハウがない。では、カタログ通販のノウハウをJIMOS経由で得られれば、それはそれでいいのではないかと」

──JIMOS買収した後、約半年が経過したが進捗は。

 「計画通りに進んでいる。もちろん、JIMOSを買収した時に内々でシナジー効果について計算したが、それに重きを置いたわけではない。重要なのはJIMOS単体でどれだけ事業を拡大できるかだ。その点については買収前に見極めた通り、自信を持っている。JIMOSと我々の事業はもともとビジネススキームが似ている。商品は違うし販売方法もJIMOSは通販で、我々は宅配や訪販と異なるが、共通部分がある。先行投資型のストックビジネスだということだ。普通の商売というのは販促費をかけて、ガッと集客して、いきなり売り上げを上げるという言わば店舗型ビジネスだが、JIMOSの場合は、徐々に認知度を上げていき、お客様を囲い込み、いかに離れないように定期型に持って行けるか、というもので我々のビジネスと同じだ。しかも我々がやってきた訪販型ビジネスよりもJIMOSの化粧品通販ビジネスの方が投資回収は早いと試算している」

──その試算に基づいた計画は。

 「2020年に現状のJIMOSの年商のちょうど倍となる200億円を計画している。こうした商売は常に販促費をある程度かけて、新規顧客を獲得して2年ほどでコストを回収して、そこから利益回収を図っていくと。そしていかに顧客を継続化させ、クリーニングしていくことを常にやっていけば、恐らく化粧品通販だけで年商300億円くらいまではいけるはずだが、まずは当座として200億円を目標としている。そして今、その数字を皆に投げて目標に向けて動き出したところだ」


楽天 通販売上高ランキングのデータ販売