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JIMOS買収のナック・寺岡社長に聞く、通販参入の狙いと今後の戦略は㊥

2014年 1月24日 15:17

強みは人材、課題は営業力、「グループ力」でJIMOSを拡大へ

021.jpg――自身はJIMOSの代表取締役会長でもあるわけだが、トップとして同社の強みや課題をどう考えているか。

 「一番の強みは人材だ。若く成長意欲のある人が多い。残念なことに、この2~3年はファンド(※JIMOSの前親会社のサイバードHDの大株主である投資会社のロングリーチグループ)に上からキャップをされ、販促費を抑えられ、『余計なことはするな』というような雰囲気になっていたように思う。そのキャップを外してあげることで若く有能な社員はみな上を向き、本来の力を発揮するようになるのではないか。もう1つの強みは数字に裏付けられた経営をしているということ。ナックでは過去四十数年間、訪販を行ってきたが、訪販は体当たり的な分析だ(笑)。この体感分析とJIMOSの緻密な数字の分析が合わされば、かなりの強みになるのではないかと思う。なのでJIMOSのこうした分析力はナックにも応用できるだろうと思っている。

 逆に課題と考えているのは総合的な経営力が弱いということだ。JIMOSの弱みの1つはブランド認知度が薄いということ。それを高めるためにこれまで通りTVCMやチラシを使った展開もよいが、それだけでは時間がかかる。商品の卸販売などを含めてもっと様々なところで『JIMOS』または化粧品ブランド『マキアレイベル』を露出させることで、TVCMやチラシでの認知効果も高まってくるはずだ。我々のナックグループにはこれまで培ってきた様々な拠点や取引先がある。そうしたネットワークを通じてJIMOSの販路の拡大、新たな卸先や業務提携を含めた新チャネルの開拓を図っていけると考えている。取引先の拡大という意味では物販だけに関わらず、JIMOSが行っている通販支援事業についてもナックの取引先で通販分野への進出を図っている企業などに提案することで同事業の拡大も図れると考えている」

――JIMOSは昨秋に化粧品の広告で福岡県薬務課から薬事法違反で指導(本紙1444号18面で既報)を受けた。こうした部分も課題かと思うがこれについては。

 「JIMOSが薬事法違反で指導を受けたことについては申し訳ないと思っている。当該広告の表現についてはここ1、2年使っており、特に指摘等もなかったため、問題ないと考えていたと聞いている。これらの広告は当局の指導に従い、すでに使用をやめている。JIMOSを買収する際、色々と社内体制を確認したが総務や法務、品質管理の人間が非常に多いと感じていた。私は当初は管理系の人員はここまではいらないのではないかと思ったが、やはり通販には表現の問題やお客様とのやり取りなどの対処が重要かつ必須であり、だからこそ厚く人員を配置していたのだなと改めて感じた。JIMOSは従来から、そうした点についてはきちんと対処してきたはずだが注意が足りないこともあり、今回のようなことになったと思う。ナックでも宅配水における広告表現や別事業で殺虫剤などの医薬品も扱ってきたため、ある程度のノウハウもある。こうしたものをJIMOSにも活用してより体制強化を図っていく」

――2020年までJIMOSの年商を倍の200億円にするとのことだが、そのための具体的な戦略や施策は。

 「下半期(10~3月)だけでも6億円の予算を追加して販促を強化する。また『マキアレイベル』『コヨリ』という主力の化粧品ブランドを中心に商品展開についても見直す。当初は真ん中よりも少し下の価格帯で展開したが、コアターゲット層が40~60代であることを考えれば、付加価値を付けて価格帯を上げるべきだろう。ブランドイメージも高級路線に持っていきたい。そのため、近々にまずは『マキアレイベル』の刷新を行う。また、新規顧客獲得については従来通り、TVCMやチラシで行うが、加えて先ほど申し上げた通り、卸販売なども強化する。自社通販より利益貢献は少ないが、商品の露出を増やし、ブランド認知という意味では有効的だと思っている。『コヨリ』についてもブランド力を強化して売り上げも上げていきたい。健食も販売しているがここは正直、難しいと思う。あまり広げるつもりはなく、あくまで化粧品に軸足を置こうと思っている。焼酎などの食品も一部、行っているがナックの『宅配水』ともリンクする部分もあるわけで規模は別としても何らかの試みは行っていこうと思う」
(㊦につづく、㊤はこちら
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