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ヤッホーブルーイングの井手社長に聞く「キリンビールと資本提携の狙いは?」

2014年10月16日 15:31

021.jpg クラフトビールメーカーでネット販売を行うヤッホーブルーイングは10月1日、キリンビールと資本業務提携を行った。キリンビールへの製造委託で空いたリソースを商品開発やプロモーションに投資する。ネット販売は今後、エンタメ性のあるサイトへと進化させ、拡大するコンビニやスーパーへの卸販売との相乗効果を高め顧客のファン化を目指す。井手社長に資本業務提携の狙いと、ネット販売の戦略について聞いた。(聞き手は本紙記者・兼子沙弥子)

〝エンタメ性〟あるサイトへ進化、卸販売との相乗効果高める

――資本業務提携の経緯は。

 「ネット販売とスーパーやコンビニへの卸販売の売上高は共に前年比40~50%増で伸びている。成長スピードに合わせて製造設備の投資が必要になっていた。だが、数十億円規模の投資をしても、この成長率では数年で限界になるため、複数の大手ビールメーカーに製造委託を相談していた。キリンビールとは、製造委託と、共同で資材調達や配送を行っていく予定だ」

――コストはどの程度削減できるか。

 「実際に作ってみなければわからないが、経費は圧縮できるだろう」

――今回、キリンビールを引き受け先とする新株を発行した。削減したコスト分や、調達した資金の使い道は。

 「設備投資で財務が弱くなっていたのでその補強として、調達した資金はプールする予定。製造委託で削減した設備投資のための時間とコストは、商品開発や販促などブランド作りに投資したい」

――ネット販売の現在の状況は。

 「現状は売上高の3割を占めている。これまで、ネット販売がけん引していたが、ネットも卸販売も同様に40~50%で伸びている。戦略的に、ネットと卸販売、飲食店が密接につながる関係性を構築している。例えば、店頭で購入した人に、ネットを通じて変わったキャンペーンやユニークな企業文化を知ってもらってブランド価値を提供するといったことなどだ。週刊誌などのメディアで露出が増えた相乗効果もある」


――認知度が上がって手軽に購入できる卸販売が広がると、ネット販売の役割はどう変わるか。

 「今後卸販売が拡大すれば、どこかの時点でネットの受注比率が小さくなると思っている。今の情報発信と受注の役割に、エンタメ性を付加したいと考えている」

――エンタメ性をどう持たせていくか。

 「ビール会社として消費者参加型のコミュニティを構築する構想がある。ユーザーにはテレビなどに代わって、自社サイト『よなよなの里』で遊んでもらえるようにしたい。直近では試験的にユーストリームを使って、ユーザーに集まってもらって同じ時間にビールを飲むイベントを開催した。インターネットを使って、他社にはできない、人を喜ばせるサービスをしたいと考えている」

 「当社はもともと、一部のユーザーに熱狂的なファンになってもらって差別化する戦略をとっていた。100人に1~2人のファンを作れれば市場の1~2%のシェアを獲得できるポテンシャルを持つためだ。製品デザインやネーミングでまずは興味を持ってもらうきっかけを作り、社員の顔が見えるユニークな企業活動でファン化してきた。クラフトビール業界でいち早くネットで成功した事実が裏付けとなり支持を得てきた」

――今回の資本業務提携で、キリンビールにマーケティングノウハウを提供し、人事交流も行っていく。具体的には。

 「詳細を詰めている段階だが、キリンビールのカラーがあるので当社が何かを教える立場ではないと思っている。ただ、当社の企業活動や文化を体験してもらうのはできるだろう。キリンビールの新しい事業の中で顧客の魅力になるのなら、何でもオープンにしていこうと思っている」

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