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「機能性表示食品」受理へ㊦ 新たに2社3件、食経験「3年以上」も判断分かれる

2015年 4月30日 14:30

011.jpg 消費者庁は4月24日、「機能性表示食品」として届出を行っていた2社3件の商品を新たに受理した。これまで受理された商品数は9社の11商品。一方、同庁にはすでに130件(21日時点)の届出が寄せられている。今後、週1回のペースで公表していくという。

 各社はどう安全性評価を行っているか。安全性は、まず届出商品の「食経験」で評価。不十分と判断した場合、調査データや文献など既存情報による「機能性関与成分の食経験評価」、同「安全性試験の情報評価」、製品や機能性関与成分を使いトクホに準じた「安全性試験の実施」というステップを踏む。

 食経験は、全国規模で食べられていることや、その成分量、摂取頻度を踏まえて判断する。調査の対象は、届出商品ではなく、同等の成分量を含むといった要件を満たす"類似商品"でもよい。各社、自社の立ち位置に応じて流通実態からの調査、直販実績と顧客の問い合わせを組み合わせた評価など行う。ただ、どの程度食べられていれば安全か明確な線引きは示されていないため、企業の判断は分かれる。

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 11商品のうち、「食経験」のみで評価を行ったのは3件。ライオンの「ナイスリムエッセンスラクトフェリン」は「2007年以降、類似商品約6億粒(90粒換算で約660万個)」、キューピーの「ヒアロモイスチャー240」は「02年以降、成分量が同量の商品を累計60万袋」、ファンケルの「健脂サポート」は「約3年間で4万2000個」を販売した中で、健康被害が発生していないことを根拠にしている。

 ライオンは、錠剤のコーティングに使う成分を変えるなど類似商品の実績だが、消化・吸収に影響しないと判断している。ファンケルは、購入者のうち、湿しんなどを訴えた顧客の情報も評価。因果関係がないなど追加的な調査も行っている。

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 販売量の違いなど複数の要件が絡むため一概に言えないが、販売期間は多くの会社が「3年以上」を目安にしている。ただ、その間の実績をもって妥当とするかは、判断が分かれる。

 販売実績などから食経験を調査したものの、食経験、安全性試験情報の「既存情報」の評価の必要性を判断したのは5件。キリンビバレッジの「食事の生茶」、麒麟麦酒の「パーフェクトフリー」は、食経験として同等の成分量を含む「キリンメッツコーラ」を3年弱で累計4億本販売したとする。ただ、「さらなる確認が必要」と判断。アサヒフードアンドヘルスケアの「ディアナチュラゴールド ヒアルロン酸」も食経験として類似商品11商品の販売実績を調査したが「全国のドラッグストアで、国内全体ではない」と判断している。

 今回、受理されたカルピスの「『アミール』WATER」も飲料や錠剤など形状は異なるが、同等の成分を含む食品について過去18年間で約3億9000食の実績を持つが「18年あまり」と、販売期間を"短期"であると評価している。

 唯一、複数の成分を含む商品として届出が受理されたファンケルの「えんきん」は、07年の発売だが、食経験評価に使ったのは「健脂サポート」と同様、直近3年間の実績。個数換算で約125万個と「健脂サポート」を上回り、湿しんなどの問い合わせについて因果関係がないことも確認している。だが、既存情報を評価。理由は、届出商品に配合するルテイン量を6ミリグラムから10ミリグラムに増やしたためだ。

 いずれの企業も食経験で健康被害はないが、国立健康・栄養研究所のデータベースなどで安全性試験に関する情報を評価している。
 
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 一方、原料メーカーとして届出を行ったリコム、受託製造事業者として今回受理された東洋新薬の計3件は、いずれも安全性試験を実施している。リコムは食経験、安全性試験情報が存在しないため。東洋新薬の2件はいずれも食経験の全体像を把握できず、「メディスリム」は安全性に肯定、否定双方の報告があり、「メディスキン」は、安全性試験等の情報が確認できなかったためだ。

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