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産業構造審議会 カード会社の対応協議、抗弁の接続に懸念も

2015年 5月15日 16:16

 クレジットカード取引のトラブル防止策を検討する産業構造審議会の割賦販売小委員会は4月30日に開催した第11回会合で、消費者トラブル発生時におけるカード会社の相談・苦情対応に関する議論を行った。

 会合では、まず、事務局の経済産業省がカード会社に対して行った相談・苦情対応に関するヒアリングの結果について説明。トラブルの解決は、購入者と加盟店間で図られることが基本となるが、カード会社ではコールセンターで相談・苦情を受け付け、加盟店側に問題があると考えられる案件の場合、カード会社側で調査や購入者救済策などを講じており、支払いの保留やチャージバックの活用など法令や会員規約の規定範囲を超えた柔軟な対応をしているとした。

 一方で、消費生活センターなど、購入者からの相談を受け付ける現場から、カード会社ごとに対応のバラツキがあるとの指摘もあるが、これに対し経産省では、法令や会員規約の範囲を超えた対応をしているカード発行会社と法令・会員規約に沿った対応を行っているカード会社の違いに起因するのではないかと指摘。

 また、トラブル発生時の問題として指摘されている実際の加盟店開発を行う加盟店契約会社との情報連携の問題についても、国内の事業者とは情報収集などで連携し購入者に回答をしているとし、情報収集の手段が限定的な海外の加盟店契約会社の対応が難しい状況があるのではないかとの見方を示した。

 クレジットカード決済はネット販売の普及などを背景にマンスリークリア(2カ月以内に一括払いをするクレジットカード取引)の利用が増加。一方で、購入した商品が模倣品だったなど悪質な加盟店に起因するトラブルの相談件数が増えており、今回の割賦販売小委員会)では、抗弁の接続(購入した商品が届かないなど加盟店側に対する対抗事由を理由に購入者が金融機関などに対する支払いを拒否することができる仕組み)や苦情処理の義務化などカード発行会社に制度上の措置を課すかどうかも検討課題となっている。

 会合では、委員からカード会社の対応は十分と言えず必要な措置を講じるべきとの意見も出されたが、日本クレジット協会の與口真三専門委員は、マンスリークリアに抗弁の接続が規定された場合の影響を説明。

 マンスリークリアは、加盟店からの手数料を加盟店契約会社とカード発行会社が分け合う仕組みで収益性が低く、抗弁の接続や苦情処理が規定された場合、処理コストがカード会社の収益を圧迫するとし、ポイント付与などのサービスの縮小・停止、従来、柔軟に対応してきた支払い停止や返金などの申し出について法規定を厳格に運用しなければならないなど消費者側にも悪影響を及ぼすと指摘した。

 また、與口専門委員は、出会い系サイトを利用したカード会員から異性に合えず騙されたという理由での抗弁の申し出、通販で商品購入後に電話した販売店のコールセンターの対応(言葉遣いや態度)が悪かったという理由での支払い拒否の申し出などがあり、カード会社でも対応に苦慮していると説明。抗弁の接続が規定された場合、カード会側としてもモラルハザード的ものも含む申し出の増加に備え、加盟店に取引記録の保管を要請するほか、支払い保留を厳格化せざるを得なくなるとし、加盟店にとってクレジットカード決済が使いづらくなり、取り扱いを敬遠するケースが出てくる懸念もあるとの見方を示した。

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