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ルミネ 店頭在庫のEC活用に着手、オムニ化を加速へ

2015年 6月 4日 15:50

051.jpg ルミネは、実店舗を持つ強みなどを生かしてネット販売事業を強化している。
 
同社は、2013年9月に実施した通販サイト「アイルミネ」の刷新時に店頭の在庫情報を表示する機能を実装したほか、昨年4月には「アイルミネ」で購入した商品をルミネ店頭で色やサイズの交換ができるサービスを始めるなど、消費者目線でのオムニチャネル戦略に乗り出している。

 店頭交換サービスは1年間の利用件数が203件と想定を下回ったものの、カスタマーサポートセンターが申し込みを受けることで、顧客にもショップ側にも混乱なくサービス提供できているという。特徴としてはセール時期の利用が多く、サイズ交換の比率が高いようだが、リアル店舗に来店してもらえるきっかけにもなるため、同サービスは継続する方針だ。

 今年4月20日からは、EC用の倉庫に在庫がない場合に店頭から商品を引き当てる「店頭取り寄せ」の仕組みと、消費者が気になる商品を最寄りの店舗で受け取って試着できる「店頭取り置きサービス」を主要取引先ブランドである「アーバンリサーチ」のルミネ池袋店で始めた。

 「店頭取り寄せ」の売り上げは実店舗に計上。対象店舗はネットユーザーの需要も取り込めるため、売り上げ拡大が見込める。ルミネにとってもEC在庫の欠品防止につながる仕組みだ。一方の「店頭取り置き」は、従来は消費者が電話などで依頼していた商品の取り置きを「アイルミネ」でできるようにしたもので、気になった商品を実際に試着してから買うかどうか決められる(画像)。

 どちらも「アーバンリサーチ」のルミネ池袋店でテストを始めており、今夏にはルミネ池袋店に入る「アーバンリサーチロッソ」や「KBF」といったアーバンリサーチが展開する他ブランドに広げ、秋から冬をメドに池袋店以外のルミネに入居するアーバンリサーチの各ブランドへと対象を広げる計画だ。その後は、他の取引先ブランドとの取り組みも進めることで、「アイルミネ」の機会ロス軽減を図る。
商品カテゴリーや予約販売強化

 ルミネは品ぞろえの強化や予約販売商品の拡充にも取り組んでおり、前期(15年3月)のEC売上高は前年比26・1%増の40億2800万円に拡大。会員数も1年間で9万人を獲得して41万6000人になった。16年3月期のEC売上高は50億円を目標とする。

 MD面では、「アイルミネ」の利用者は30代女性が約半数で、20代が少し弱いことから、前期は当該層が好む衣料品や雑貨を中心にコスメやメンズなど44ショップと新規取り引きを開始。前期末には159ショップ体制とした。これまでは、実店舗の「ルミネ新宿1」に近いMDを組んでいたが、「ルミネエスト」に出店するヤングカジュアルのショップも扱うことで、幅広い消費者層が"ルミネ"からイメージする品ぞろえに近づける。

 また、「アイルミネ」は客単価が1万3457円とファッション通販の中では比較的に高く、「トゥモローランド」や「アーバンリサーチ」、「ナノ・ユニバース」などのセレクトショップが売り上げランキングの上位を占めており、顧客は価格よりも品質を重視する傾向が強いため、トレンド商品を実需期よりも前に予約購入してもらう販売手法を強化。前期の先行予約アイテムの伸びは前年比ほぼ2倍で、ネット売り上げ全体の11%を占めたという。

 取引先ブランドとのシステム連携、データ連携にも着手しており、前期は9社34ショップとシステム連携し、対象ショップ全体の取り扱いアイテム数は前年に比べて65%増えた。

 今期は、顧客ニーズに応えて4月から6月末までは送料無料ラインを従来の1万円から3000円に引き下げるキャンペーンを実施中で、買い上げ状況などを検証した上で送料無料ラインを見直す考えだ。

 また、4月15日からは「お急ぎ便」サービスを開始。1都3県を対象に前日の午後1時~翌朝5時59分までの注文分をその日の午後6時~9時に届けるサービスで、5月中は通常350円のお急ぎ便を無料とするキャンペーンを実施していることから、全体の1割程度がお急ぎ便を利用しているという。
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