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AIが導く世界① ユーザーの〝センス〟学習

2015年12月 3日 16:34

人工知能(AI)を活用した取り組みが進んでいる。顧客の好みを分析してウェブ上の接客に活用したり、通販サイト内の動きから感情を把握することで販促につなげるなど、通販分野でも徐々に利用され始めている。今後はサイトのデータ入力などこれまで人間が行っていた様々な単純作業をAIに代替させることも可能になるという。人工知能によって導かれる状況とはどのようなものか。数回にわたって見ていく。
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 アプリ開発のカラフル・ボードが手がけているのが人工知能アプリ「SENSY(センシー)」。「センシー」ではユーザーに対して同アプリが専属のスタイリストのように商品を提案、それに対して「いまいち」か「いいね」で好き嫌いを選択する(=㊨画像)。これを繰り返すことで人工知能がユーザーの"ファッションセンス"を学習するため、選べば選ぶほど自分の好みに合ったアイテムが見つけやすくなるという。見つけた商品はそのまま提携しているブランドの通販サイトで購入することが可能だ。

 11月26日には婦人服ブランド「キャサリンロス」などを扱うイケガミの自社通販サイト内に「センシー」を搭載。外部の通販サイト内に「センシー」が導入されるのは初めてのことで、サイトの訪問客に対して服の好みを尋ねてコーディネートの提案など接客を行っていく。

 三越伊勢丹でも「センシー」に注目している。三越伊勢丹では11月25日から12月31日の期間、伊勢丹新宿本店メンズ館で「センシー」を活用した接客プロジェクトを実施。専用スペースにデジタルサイネージとタブレット端末を設置し、販売員が一人付いて、来店客に操作方法や商品の場所などを案内する(=㊦画像)。

 来店客はまず、タブレットの画面にランダムに並ぶ20程度のアイテムの中から気に入ったものをチェックする。その情報をもとに人工知能が伊勢丹新宿本店メンズ館で扱っている商品の中から好みに合った商品を提案する。対応している商品はメンズ館の商品のうち500~750アイテム。タブレットには掲載商品を一覧で見ることができる機能も登載しているため、カタログとしても利用できる。また、アイテム画像をタップすると、通販サイトに遷移してオンラインで商品を購入することも可能。

 三越伊勢丹の伊勢丹新宿本店紳士・スポーツ営業部メンズクリエーターズセールスマネージャーの石田修平氏によると、「『センシー』のアプリをお客様に触っていただき、好みに合った提案をする。その結果、販売員が『2階と6階に行ってみましょう』といったブランドの枠を超えた接客ができると館内に波及効果が生まれる」という。人工知能を活用した接客により、買い回りの促進につなげたい考えだ。

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 同取り組みは12月1日まではメンズ館2階「インターナショナルクリエーターズ」で、12月2日~12月31日までは同6階「コンテンポラリーカジュアル」で実施。9月に続き今回は2回目となる。前回は単品の提案だったが今回はバージョンアップし、コーディネートで提案する機能を追加したほか、メンズ館のバイヤーの人工知能によるお薦め商品も閲覧できるようになっている。

 
つづく
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