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アスクル  ピッキングロボを本格導入、出荷能力アップで省人化へ

2016年 4月28日 10:25

7-1.jpg 「人に代わって商品をピッキングします」──。アスクルが"ピッキングロボット"の本格導入を始める。5月6日から稼働を始める横浜市内の新物流拠点に現在、テスト運用中の作業員に代わって商品をピッキングするロボットを年内をメドに本格的に導入する意向。ロボットの導入で出荷能力アップおよび省人化などを進めていきたい考えだ。


 アスクルが稼働を始める「ASKUL Logi PARK(アスクルロジパーク)横浜」(写真=所在地・神奈川県横浜市鶴見区生麦2‐4‐6)は現在、川崎市内で稼働している物流拠点「横浜センター」に代わって主に首都圏における法人向け通販のオフィス用品の商品および個人向けの日用品通販サイト「ロハコ」の商品の物流業務を行う24時間稼働の大型物流拠点で地上5階建て、トラックバースは88バース(各階計)。延べ床面積は「横浜センター」の約倍となる約5万平方メートル(敷地面積は約2万5500平方メートル)。出荷能力は「横浜センター」の2倍まで高まるという。全棟賃貸で投資額はリース、マテハン設備を含めて約40億円という。

 同拠点では初めて同社が実証実験中の「ピッキングロボット」を本格導入する。アスクルでは売上拡大に伴う物量増加と将来的な労働力不足への対応のため、物流センター内の作業中で現状でも人手に依存し、自動化が進んでいないピッキング作業負担の軽減のため、経済産業省の「ロボット導入実証事業」に参加し、物流センターにおける「商品ピッキングのロボット」の開発および実証実験に着手。昨年12月から埼玉県内の大型物流拠点「ロジパーク首都圏」に商品情報やそれに付随する各種データなどを独自に組み込んだ垂直多関節ロボット(デンソーウェーブ製)を2台導入し、ロボットによるピッキング作業を行ってきた。新拠点では当該ロボットを複数台、導入していく計画。

 「ロジパーク横浜」でのロボットの導入は年内をメドに行なう予定だが、すでに同拠点ではピッキング工程の仕組みを従来センターから大幅に刷新している。これまでは最適化が進んでいる売れ筋商品以外の商品のピッキングについては作業員が当該商品のストック場所まで歩いて取りにいくなどの手間がかかっていたが、新拠点ではそうした商品も作業員の手元に自動的に流れてくる仕組みとし、作業員が一切、移動せずにピッキングが可能となっており、「ピッキング工程における出荷能力は現状の最大5倍程度まで増強し、より少ない人数でのピッキングが可能になる」(同社)という。

 この仕組みをベースに最終的には作業員が行うピッキング作業をロボットに置き換えていく考えで広範囲なピッキング工程をロボットに担わせる予定で、さらなる効率化および省人化を進めていく。なお、スタート時点ではピッキング工程への導入だが、将来的には入荷商品を定めた場所に収納する作業などについてもロボットを導入したい考えのようだ。

 アスクルによれば売上拡大による物量増加などに対応するためには深夜帯や休日の出荷作業の実施が必要だが、これまでは人員確保が困難であることなどで作業ができないなどの問題があった。また将来的な労働力不足などにも対応するため、アスクルではピッキングロボットの本格導入で省人化を進めつつ、作業スピードアップや誤ピッキングの低下も図り、出荷能力を高めていきたい考えだ。

 なお、「ロジパーク横浜」ではピッキングロボット導入のほかにも、出荷する荷物のサイズ・量に合わせて自動的に梱包する段ボール箱の大きさを変える自動製封函機を導入。他のセンターでは大きいサイズの段ボール箱に対してのみ導入していたが同センターの設備では中・小サイズの段ボール箱でも対応しているという。

 また、働きやすい環境作りを目指して、スタッフに空調を集中させるスポットエアコンの複数台導入や多様な休憩スペースの設置のほか、本格的な調理設備を持った食堂(運営は業務委託先の誠)を7月末までに設置し、従業員に無償で昼食の提供を行う。昼食の無料提供は1年間の限定試行だがスタッフの定着率や生産性などの効果を見極めながら無償期間の延長を検討していくとしている。

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