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TSIグループのEC戦略は?㊦ TSIECストラテジー、各ブランドでアプリを展開

2016年 6月 9日 10:27

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TSIホールディングス傘下のTSIECストラテジーは今期(2107年3月期)、グループの経営戦略に沿ってオムニチャネル化を加速するほか、海外展開にも本格着手する。

 オムニチャネル化については、6月中に同社管轄でECを展開する各ブランドの通販サイト(O2Oサイト)が出そろう予定で、次のステップではブランドごとのスマホアプリをスタートする。

 展開ブランドの顧客は30代後半から40歳くらいの層が多いものの、すでにEC売上高に占めるモバイル比率は60%程度で、80%近くに上るブランドもあるという。そのため、前期はスマホサイトの利便性改善などに努めることでも売り上げを伸ばしており、今期はスマホファーストの開発・運用を加速。各ブランドのアプリはECだけでなく、ポイントカード機能やブランドサイトの役割も担うことになる。

 アプリは6月から順次、スタートし、ファストメディアが開発した、専門的な知識がなくても簡単にアプリを制作できるサービス「yappli(ヤプリ)」などを採用。今期中に10~15ブランドでリリースを予定する。

 アプリにはチャット機能も実装しており、ECでも店頭でもアプリがコンタクトポイントになるほか、店頭受け取りや問い合わせを含めてアプリひとつで完結するため、顧客の利便性も高まるという。

 アプリ運用に際しては、グループのブランドの中でも突出してEC化率が高く、アプリも先行する「ナノ・ユニバース」の事例も共有している。

 また、オムニチャネル化の推進に合せてマーケティングオートメーションを導入し、顧客ごとにより緻密な接客を徹底する。前期からモール型の自社通販サイト「ミックスドットトウキョウ」ではウェブ接客ツール「カルテ」などをテストしており、成果のあるツールはO2Oサイトにも実装していく。

 一方、O2Oサイトで先行実施するケースもある。欧米で普及しているソーシャルメディアの画像プラットフォーム「オラピック」を今春夏シーズンに「プロポーションボディドレッシング」や「フリーズマート」など4ブランドに実装する計画で、店頭スタッフのスタイリング画像を商品詳細ページに反映させるツールとして活用するほか、顧客の投稿画像をアップできるようにすることも検討しているようだ。

海外展開に着手

 また、今期は自社ECやモールを活用した海外展開にも乗り出す。

 前期の後半からはグローバル展開を前提に、クラウド型のグルーバルECプラットフォーム「デマンドウェア」を、サンエー・インターナショナルが手がけるブランド「ジルスチュアート」や「ヒューマンウーマン」「ヴィヴィアンタム」など5ブランドのO2Oサイトに採用している。

 同ECプラットフォームは運用上の安定度が高いほか、グローバル展開の際に国ごとの事情をシステムに反映できるため、開発のスピードやコスト面で有利という。また、運用にウェブ制作会社を介さなくて済むこともメリットとなる。

 TSIECストラテジーでは、デマンドウェアを使った直営EC(O2Oサイト)での海外展開に加えて、現地のECモールへの出店を計画。パイロットブランドを数ブランド設定して出店し、テストを行う。

 すでに、中国の富裕層向けECモールの「SECOO(セクー)」では前期末にトライアルを開始。「ナチュラルビューティー」や「ピンキー&ダイアン」など4ブランドの商品を卸しており、初速としてはまずまずの状況という。

 今夏には、中国の大手ECモール「天猫国際(Tモールグローバル)」に出店するとともに、直営での越境ECを並行して展開する考え。(おわり)

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