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ベルーナの安野清社長に聞く① 「店・ネット・紙の連携重要に」

2016年 6月30日 10:00

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ベルーナの2016年3月期連結業績は、専門通販事業や店舗販売事業が好調だったことで増収となったほか、総合通販事業の収益が改善したことで営業利益が増加した。前期はネット販売を強化しており、特にカタログを経由しない、ネット完結受注が増えている。「総合通販事業を強化することなどで、19年3月期を最終年度とする中期計画の目標を前倒しで達成したい」と語る安野清社長に今後の方針などを聞いた。


──前期業績を振り返って。

 「連結の営業利益がほぼ予定通りに推移した。また、本業である総合通販事業が良くなってきている。店舗事業ではアパレル店舗の出店を進めているが、店舗とネット販売、さらにカタログ通販3者のシナジー効果をどう発揮するかが今後の課題となる

 「より効果を高めるにはテレビCMの放映も重要だが、そうなるとコストを回収しなければならないので、現在58店あるアパレル店舗は200から300まで増やし、ネット販売とカタログもさらなるパワーアップが必要だろう

──そのために重要なことは。

 「商品の原価率や媒体費などをどのようにコントロールするか、そして商品の企画力だろう。定番だけではなく、冒険も必要だ。割合でいうなら、定番が70~80、冒険が20~30というバランスがちょうど良いのではないか。現場はどうしてもコンサバに走りがちな部分もあるが、意図的に冒険しないといけないこともあるので、そこは上がフォローする必要がある。ただ、時代の変化に対応した発想であることが前提だ。商品企画は普段から引き出しを増やし、行動範囲を広げ、新たな発想を生み出さないといけない

──総合通販事業は増収増益だった。稼働会員数は15年3月期比で減っているが、客単価は伸びている。

 「年間の購入回数を増やしてもらうために、顧客との接触機会を増やす取り組みを進めている。パンフレットやタブロイド版、休眠顧客に対しての在庫処分チラシなど、紙媒体の総発行回数を増やしている

 「また、ネットからのアプローチも増やしている。もちろん、採算が合わないと意味がないので、デッドラインを決めて媒体費をコントロールしているわけだ。新規売り上げ、顧客リストの有効活用、休眠客の掘り起こしという3つの観点から、採算を考えて媒体費を投入している

──新規顧客は主にどの媒体から獲得しているのか。

 「かつてはチラシだったが、現在はネットが一番で30~40%。50~60代については、まだチラシからの新規獲得がメインだが、その下のミセス層についてはチラシとネットがほぼトントンまで来ている。若年層はほぼネットからの獲得だ。若年層だけではなく、ミセス層において、ネットから新規客を取り込めている点が大きい。ただ、ネットの顧客は浮気性というか、安定性や継続性に課題がある

 「一方で紙媒体に関しては、継続性は見込めるが、コストがかかりすぎる。ただ、その部分を考慮してもネットにシフトしないといけない時期といえるだろう。これからはネット販売で会社を維持しなければならない時代だ。当社の場合、他社と比較するとネット販売に出遅れたので、まだまだ未成熟。ようやく格好がついてきた段階だが、別の見方をすれば、今後のポテンシャルには期待できるといえる

──ネットからの新規獲得について、どんな手法を利用している。

 「昨年は基礎固めするという位置付けで、王道の販促手法を活用し、筋肉質な体制づくりを進めた。特に検索連動型広告とSEOについて徹底的に磨いた。検索連動型広告については、効率でみると媒体費率は約25%。ただ、既存客が検索連動型広告経由で流入するケースもあり、純粋な新規客に限ると100%程度で、まだ紙媒体よりも高い水準だ。今年はこの水準がもっと押し下がり、ボリュームも取れているし、媒体費率も改善しつつある

──ネット販売の広告予算は。

 「20数億円となる。既存顧客に対しては、メールマガジンなど無料の販促も使えるので、ネットの媒体費率については、紙媒体に比べると10ポイントほど低くなっている」   (②につづく

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