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八幡物産、届出を再度撤回 来秋、「製品臨床」で届出めざす

2016年12月 1日 13:59

機能性表示食品制度のガイドラインを巡り、混乱が生じている。八幡物産は11月25日、機能性表示食品として販売する「北の国から届いたブルーベリー」の届出を撤回。消費者庁の助言を受け、表示根拠の弱さを自主的に判断したものだが、ガイドラインに根拠の強弱を明確に判断できる基準は示されていない。届出者や消費者庁で見解が分かれ、こうした状況が受理の遅れにも影響しているとみられる。

 「北の国から届いたブルーベリー」(=画像)は、ビルベリー由来アントシアニンを機能性関与成分に"目の疲労感"に関する表示を行っていた。同じ商品での撤回は2度目。過去の撤回を含めいずれも「研究レビュー」で評価していた。すでに「製品を使った臨床試験」による評価に着手。来年秋の再届出を目指す。

 ただ、今回の撤回で浮上したのが、機能性評価の判断を巡る問題だ。機能性を評価する際の判断には、機能性関与成分を摂取した群の「群内比較(同じ群による摂取前後の比較)」と「群間比較(プラセボ群と摂取群の比較)」がある。八幡物産が確認できたのは前者のみ。消費者庁が行った研究レビューの質に関する検証事業、消費者庁の助言を受けて「群内比較のみの有意差」で機能を表示することは困難と判断した。
 ただ、そもそも届出ガイドラインに書かれているのは、「その評価が総合的な観点から肯定的といえるか『トータリティ・オブ・エビデンス』の観点から判断せよ」というだけ。「群内が駄目で群間はよい」とは書かれていない。

 消費者庁はこれに「あくまで届出者の判断」として、群内比較が駄目との助言は行っていないとする。ある企業の研究担当者も「(今回の研究レビューで)群内比較の有意差を科学的根拠とするには弱い」との見方を示しており、「届出制」のため、根拠の強弱は企業の自主判断になる。

 ただ、制度に詳しい別の関係者は、八幡物産と同様、群内比較で届出を行っている商品も「6件ほどある」という。どの程度の群内比較までが許されるか、判断が難しい面もある。ただ、消費者庁はより明確にガイドラインで示すかについて「現時点で即答できない」としている。
 八幡物産は、昨年8月に「北の国から届いたブルーベリー」を届出。ただ、機能性評価に採用した論文のうち1報が届出要件の"査読付き"でなかったことから一度、届出を撤回。昨年12月に表示する機能を3つ(ピント調節力の改善、目の疲れの自覚症状、目の乾きの改善)から「目の乾きの改善」を除く2つに絞り、研究レビューによる評価で再度届出を行っていた。

 2度目の届出は昨年10月に受理されたが、その後も日本アントシアニン研究会(事務局・東京都文京区、矢澤一良会長)が届出資料に疑義を指摘。届出に使った論文に記載されている原料と、製品に使う原料の「同等性」を疑問視していた。

 今回の撤回理由は、研究会から指摘された「同等性」とは異なるもの。研究会からの抗議もその後はないという。

 研究会は、学識経験者のほかに複数の原料メーカーが会員となるなど、「アントシアニン」の認知の一翼を担い、参加企業の利益を代表する側面もある。両者間のトラブルを巡っては当時、八幡物産や商品に使う原料メーカーが所属しないことから「研究会会員と非会員という立場の違いからくる感情的な対立や意思疎通の難しさが影響しているのでは」(業界関係者)といった指摘もあった。

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