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アパホテル、客室テレビで動画コマースを開始

2017年 3月 9日 10:00

ビジネスホテル大手のアパホテルは3月3日から、宿泊客の訪日外国人向けに客室のテレビに日本の優れた商品を紹介する動画を配信して通販を行う試みを始めた。まずは都内の3つのホテルでスタートし、今後、導入ホテルを増やす。同社が通販事業を行うのは初めて。インバウンド需要の獲得を狙う考え。

アパホテルの客室のテレビにすでに導入している映画などの映像コンテンツを閲覧できるブリッジ・モーション・トゥモローが提供するビデオ・オン・デマンド(VOD)システムに新たな機能を追加する形で、「おもてなしチャンネル」と題した日本商品を紹介する通販動画をVODで配信する。なお、この「おもてなしチャンネル」はブリッジ・モーション・トゥモローがVODシステム開発、ABCインターナショナルが映像制作、サニーサイドアップグループが商品企画や事務設計をそれぞれ担当して3社で共同運営する新たなVODサービスで、アパホテルが初めて導入したものだという。日本語と英語、中国語に対応しており、アパホテルの予約管理システムと連動させて、宿泊予約者の国情報を参考に宿泊客それぞれに適切な言語の設定をするという。

sub1.jpg 「おもてなしチャンネル」では「『日本のよいものを』というコンセプトで選定した」(同社)という商品の特徴などを動画で紹介。なお、動画は「1商品1分のものから9分のものまである。商品紹介的な動画やドキュメンタリ番的な動画まで各種用意している」(同社)という。スタート時点ではアパホテルオリジナル3Dメッシュまくら「Air Relax(エアーリラックス)」(=写真、税別9500円)や化粧品「雪肌精三本セット」(同2万7000円)、和包丁「暗紋三徳5.5寸」(同5万4000円)など23商品を販売する。

 動画が流れるテレビ画面上に受注専用番号を表示し、日本語、英語、中国語で対応可能なコールセンターで注文を受ける。コールセンターでは商品の詳しい説明や遠隔操作で客室のテレビに当該商品の詳しい特長を説明する動画を表示させるなど買い物のサポートなども行い、利用者から受注に必要となる個人情報などを聞いた上で受注を確定。利用者は受注確定後、テレビ画面に表示される「明細画面」を客室のテレビのリモコンを使って「確認ボタン(OKボタン)」を押し、決済のためにクレジットカードのセキュリティ番号を入力する流れ。なお、決済手段はクレジットカードのほか、中国人向けに「Alipay(アリペイ)」にも対応しており、テレビ画面上に表示するQRコードをスマートフォンの「Alipayアプリ」で撮影することで決済が完了するという。購入商品は成田空港の空港窓口に配送(配送費2160円を徴収)し、宿泊者は出国時に商品を受け取れる仕組み。今後、対応空港は「羽田空港を含めて広げていく予定」(同社)としている。

 ちなみに日本人の宿泊客も購入可能商品はアパホテルオリジナルの枕など一部の商品に限定はされるものの、利用自体は可能でその場合、送料無料で沖縄や離島を除く全国に配送するという。

 なお、物販収益は販売主であるブリッジ・モーション・トゥモローから、「おもてなしチャンネル」を共同運営する他の2社とアパホテルにレベニューシェアを行う形。

 アパホテルでは「おもてなしチャンネル」の利用を促すため、宿泊客が客室に入室すると同時にテレビがつき、「おもてなしチャンネル」が自動再生されるようにして利用率を増やしていく。

 「おもてなしチャンネル」はまずは都内の「アパホテル飯田橋駅前」の163室と「アパホテル新富町駅北」の98室、「アパホテル東新宿 歌舞伎町東」の129室の合計390室に導入した。今後も順次、導入ホテルを拡大していく方針。「1年後に1万室の導入を目標にしている」(同社)という。

 なお、アパグループは海外事業強化の一環からテレビ通販専門チャンネルを運営するQVCジャパンの前社長で日本通信販売協会の前会長であった佐々木迅氏を招聘、昨年11月1日付でグループ常務取締役グローバル戦略本部長に就任させているが「佐々木の入社と今回の『おもてなしチャンネル』の関連はない。本件は佐々木入社前から準備を進めていた案件」(同社)としている。

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