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アスクル 「ロハコ」復旧は9月に、代替倉庫の稼働でカバー

2017年 3月16日 10:05

 3-1.jpgアスクルは3月9日、埼玉県内の同社大型物流拠点「アスクルロジパーク首都圏」の火災に関する記者会見を都内で開き、火災の影響で販売商品の欠品や配送遅延が発生している同社運営の通販サイト「LOHACO(ロハコ)」の完全復旧が9月末までかかる見通しを示した。3月と9月に埼玉県内と都内などにそれぞれ代替センターを貸借して稼働させ、欠品が続く「ロハコ」用商品の在庫をカバーする計画。欠品や配送遅延で現在までに発生、また完全復旧までに発生するであろう販売機会損失の金額については「ロハコの配送の6割を担っていた物流拠点が稼働していないわけで大きな影響が出ているのは間違いないが、推定できていない。いかに早く物流体制をリカバリーできるかで変わってくる。全精力を傾けてできるだけ早く体制を整えたい」(岩田彰一郎社長)とした。

 「ロハコ」は火災後、首都圏を含む東日本エリアの配送を横浜の拠点に切り替えたが、同拠点には法人向けオフィス用品通販用の商品で「ロハコ」でも併売する3万点を在庫しているものの、「ロハコ用商品」がほとんどなく、同社の直販商品約6万点のうち、半分の3万点が欠品する状況が続いていた。その後、大阪の拠点から売れ筋を中心にロハコ用商品5000点強を東日本エリアへ配送する体制としたほか、横浜の拠点にもロハコ用商品の在庫を増やしたものの、法人向け通販用の商品在庫との兼ね合いとスペースの関係で拡充できた商品は3000点程度にとどまっていた。

 また、配送リードタイムも火災発生後は最短翌々日の配送と通常よりも1日遅れとなっていたが、現状は「配送スピードよりもあらかじめ設定した配送日に遅れることなく届けることを重視した。(物流拠点の火災で)出荷能力が落ちている中、出荷量と注文数の見合いで『届け日』を都度、設定している」(同社)としており、3月中旬現在では配送リードタイムは最短9日となっている。

 埼玉・所沢と都内でそれぞれ3カ所を賃借して3月末に稼働させる代替センターに横浜の拠点が担っていた法人向け通販の在庫および物流業務を移管させ、その分を「ロハコ」の商品在庫と出荷に充てる。また、9月に稼働させる予定の代替センター(エリア未定)では主にロハコ用商品を在庫し配送を行うようにする。「代替センターが稼働すれば、(火災前の)『ロハコ』の販売商品数をほぼカバーできる」(川村勝弘執行役員)という。なお、火災で大半が焼失した「アスクルロジパーク首都圏」は「まだ決定したわけではないが、地元住民の皆様からにお励ましの言葉も多数頂いており、また1階部分や基礎は問題がなさそうなため、できれば再開させ、雇用も継続したい」(岩田社長)としている。

 9月の完全復旧後はグループのヤフーやソフトバンクなどが実施するキャンペーンなどを多用するなどし、再び「ロハコ」を火災前の高成長軌道に戻したい意向のようだ。

 なお、火災に伴う業績への影響は主力の法人向けオフィス用品通販事業には影響が少なく、「(火災後の)足元も前年を超える成長を継続している」としており、売上面で深刻な影響は出ない模様。

 利益面に関しては火災に伴い、焼失した資産に火災保険が適用されない場合、最大で損失額は95億円となり、その場合、今期の決算は赤字に転落する可能性があるとの考えを示した。

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