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スクロール 中期計画を下方修正、通販不振で前期は減収減益に

2017年 5月11日 10:57

 スクロールは、2019年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を下方修正した。19年3月期の連結売上高は、16年3月期比14・6%増の720億円、連結経常利益は同42・3%増の30億円を目指すとしていたが、17年3月期の目標数値が未達に終わったことから、最終年度の連結売上高は650億円、連結経常利益は20億円にそれぞれ下方修正する。

 主力の通販事業において、売り上げ拡大が見込めなくなり、効率を維持して利益を確保する戦略に転換したことが下方修正の要因となる。

 スクロール本体では前期、家具・雑貨通販「生活雑貨」を子会社であるスクロールR&Dに移行したほか、シニア向け個人通販事業「ブリアージュ」を終了した。これにより、個人向け通販に関しては本体では扱わず、化粧品や健康食品、ブランド品などのネット販売を子会社で手がける形となった。

 17年3月期のアパレル事業は、前期比17・2%減の201億4300万円で大幅減収となった。今後、アパレル事業など、スクロール本体が手掛ける通販事業は、生協向けを中心としたB〓B〓C事業に絞られるが、収益力が低下していることから、効率化を進める。生協組合員の需要に応えるためにMDを強化。組合員約1000人と対話する仕組み「1000人モニター制度」を活用し、商品や企画にあわせた少人数のグループで組合員を対話することで、商品企画に反映させる狙い。

 「前期はカタログの発行部数を約30%削減した。サプライチェーン・マネジメントの効率化、販促の効率化、商品力強化で、通販事業の利益を回復させたい。前期にさまざまな効率化に努めたことで、今期はスクロール本体の通販事業でも計画通り収益が見込めるのではないか」(堀田守会長)。また、今期は新たにOTC医薬品の取り扱いも予定している。

 子会社が手がける、個人向け通販事業では、化粧品を強化。今年1月には、「24hコスメ」を手掛けるナチュラピュリファイ研究所を買収。5月19日には「TV&MOVIE」を展開するT&Mを子会社とする予定。T&Mの16年5月期売上高は1億4900万円だった。取得価額は5億6500万円となる。両ブランドともに、藤田真規氏が立ち上げたもので、24hコスメは20~30代、TV&MOVIEは40代50代が主なターゲットとなる。

 化粧品子会社・豆腐の盛田屋が販売する「豆乳よーぐるとぱっく玉の輿」においては、インバウンド需要は減退しているものの、生協向け販売と中国現地法人での販売が好調に推移。中国向けには、越境ECサイトでの販売も強化している。

 健康食品販売の北海道アンソロポロジーでは、医学生物学研究所から「食の科学舎」を買収し、北海道ブランド食品事業の展開を始めた。同事業は、豆やカボチャ、ジャガイモなどをピューレにした保存食などを販売している。

 最近大きな問題となっている配送料値上げについては「通販事業は生協による宅配なので影響はない。ただし、ソリューション子会社のスクロール360については、ネット販売企業の配送を請け負っている関係上、配送コスト増はマーケットに大きなインパクトを与えるため、同社にも影響が出るのではないか」(堀田会長)と懸念を示した。

 なお、17年3月期の連結業績は、売上高が前期比6・8%減の588億6400万円、営業利益は同35・8%減の12億4200万円、経常利益は同35・9%減の13億5000万円、当期純利益は同71・8%減の6億7200万円だった。化粧品のインバウンド需要が減少したことや、スクロール本体における個人向け通販撤退が影響し、減収減益となった。

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