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ユナイテッドアローズ、前期EC売上が200億円突破

2017年 6月 8日 15:00

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ユナイテッドアローズは、2017年3月期のEC売上高が前年比24・2%増の202億1200万円に達するなど順調に規模を拡大している。

 前期は自社通販サイトの売上高も前年比13・2%増と2桁成長を維持した。昨年8月にハウスカード会員サービスを刷新してハウスカード会員とEC会員のポイントを共通化。リアルとネットを隔てずに買い物しやすい環境を整えたことで、店頭顧客のEC利用も増えた。また、ECで動きの良い商品については戦略的に在庫を積み増して機会ロスの低減を図ったことも奏功した。

 店舗とECの連携強化に向けては早くから自社ECの商品詳細ページで店頭の在庫情報を表示したり、店舗取り置き(試着予約)をサービス化。前期は店舗取り置きの利用件数および購入に至った件数ともに前年比約20%伸びており、多い月で1000件以上の利用があり、今期の出だしも月1000件程度で推移するなどニーズは高いという。

 同社はボタンひとつで申し込めるサービスであっても、店頭接客の取り置きと同じ意識で商品を保全し、来店時には納得して購入してもらえるように心がけたり、利用者の意をくむ提案を行うなど運用面も磨いている。

 新客開拓では店頭からの送客に加え、既存会員と属性が近い消費者に向けてフェイスブック広告を展開したり、カード決済に抵抗のあるユーザーをとり込むため外部IDと連携するなど決済手段を広げている。

 欠品対策については、合計でEC売り上げの8割程度を占める自社ECと「ゾゾタウン」用の在庫量を大幅に増やしたことで改善されてきているものの、展開アイテム数が多いこともあって在庫配分の精度を高めることが課題だ。そのため、今年4月にはデジタルマーケティング部内にアナリティクスチームを立ち上げるなど、データ解析の強化に着手している。

 同チームは在庫配分の適正化だけでなく、サイト訪問者の流入元やユーザーのサイト内行動を検証することで、広告出稿の効率化や購入までのボトルネックを解消する役割も担う。

サイト統合実施

 今年4月には自社ECとブランドサイトを統合(画像)。従来はブランドを紹介する場と商品を販売する場が分かれていたため、利用者が目的の異なるサイトに訪問してしまうことがあったようで、こうした弊害をなくす。また、情報収集から購入までが一気通貫になったことで、購買意欲が高まった顧客を離脱させることなく購入につなげる。EC利用者にとっては店頭の情報に触れる機会が増えることで、実店舗への初来店につながったケースも出てきているようだ。

 一方、通販サイトとして情報量が増えるため、欲しい商品にたどりつきやすい検索サジェスト機能を搭載したほか、検索ワードを入力する際には検索履歴の多いキーワードランキングと商品画像を表示するようにしたことで、「ユーザーに"気づき"を与えられる機会が増えたのでは」(木下貴博事業支援本部デジタルマーケティング部部長)としている。

 また、サイト統合と同時に多言語対応を実施。自社通販サイト全体を英語と中国語で閲覧できるようにした。両サイトには海外からのアクセス数が無視できない規模だったようで、刷新後の流入数は一段と高まった。

 集客面では、外部メディアとタイアップしたコンテンツを始動した。「バイラ」や「マリソル」など6誌と組み、各媒体のエディターが気になる商品をレコメンドする企画を毎週展開。6誌のウェブサイトでも特集を組んで同社の通販サイトに誘導する手法を試す。

 なお、ユナイテッドアローズの18年3月期のEC売上高は前年比13・4%増の229億2500万円を計画する。

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