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京都きもの市場 展示販売会社を吸収へ、来春には名古屋・大阪に実店舗

2017年10月26日 13:59

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 着物のネット販売を手がける京都きもの市場は、今期(2018年7月期)中をメドにグループ会社で着物の展示販売事業を行う京都シルクを吸収する。また、近くオープンする福岡天神店に加え、来春には名古屋と大阪にも実店舗を構える計画で、既存2店舗を含めたリアル展開を強化。ECと実店舗、展示販売会の3チャネルをフル活用して顧客の期待を上回るサービスを提供していく。

 京都シルクは全国で着物の展示販売会を運営しており、地方での小規模販売会も含めて年間約550回開催。着物好きの顧客を開拓する専門部隊として事業拡大してきたが、グループのスケールメリットを最大化するためにも京都きもの市場が当該事業を吸収し、ウェブ連携を強めた展示販売会に刷新するとともに、リアルの場ならではの付加価値も提供する。

 今年8月からは京都シルクの8チームのうち、2チームを京都きもの市場に転籍させ、同社内に展示販売会チームを新設。段階的にチームを移して統合を進める。現在、京都きもの市場が運営する展示販売会を増やしており、通販サイトでチェックした商品を会場で確認できるリクエストシステムを導入したほか、〝声がけを控えるリボン〟も用意し、自分のペースで買い物を楽しみたいニーズにも応えている。

 展示会の集客でも、従来は開催地域周辺に新聞折り込みチラシで告知してきたが、自社通販サイトでの露出を中心にウェブ広告も一部活用しており、折り込みチラシだけの集客に比べて来場者数は約2倍に増えた。ただ、地方ではウェブ集客の効果が少ない傾向もあり、地域性を考慮しながらチラシも含めて投資配分を決定。集客力を高めて売り上げのトップラインを上げていく。

 一方、従来の展示販売会の運営ノウハウを継承し、ネットでは扱えないメーカーの着物を提案したり、職人が直接、来場者に着物のストーリーなどを伝えるなどして、顧客の期待に応えるとともに、一定の利益率を確保できる体制を整えて展示販売会を運営する。

 実店舗は既存の京都店、銀座店に加えて11月3日に福岡天神店を開設するほか、来年3月頃に名古屋と大阪にも出店する計画だ。通販会員や展示販売会の購入実績などを考慮し、一定の顧客数が見込めるエリアに出店する方針で、各店の店長には京都シルクで展示販売会にたずさわってきた経験者を配置する。

 実店舗では、通販サイトで気になった商品を事前決済した上で最寄りの店舗に取り寄せられるサービスを実施しており、当該商品は店頭でキャンセルもできることから、店舗が増えれば通販を含めた複数チャネルを利用する顧客は増加すると見ている。

 17年7月期の売上高は、京都きもの市場が約16億8000万円、京都シルクが約14億4000万円の合計約31億2000万円だが、3年以内に年商50億円以上を目標に掲げる。そのためにも、「今期はビジネスモデルを変革する勝負の1年になる」(田中敬次郎社長)としている。

 今後、展示販売会はより首都圏での回数を増やすのに加え、着物を装う機会を作るためにも、さまざまなリアルイベントを仕掛け、顧客との接点拡大に努める。
 
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