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村田昭彦上席取締役に聞く・ベイクルーズのEC戦略は?㊦ 「送料は当分無料でいい」、今期は自社EC35%増185億円へ

2017年11月27日 11:24

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 前号に続き、ベイクルーズの村田昭彦上席取締役(=写真)に同社のネット販売戦略などについて聞いた。

 ――1年前にベイクルーズのオムニチャネル戦略として、4つの統合という説明があった。まず「会員」「在庫」があり、そこまではメドがついたと。それから「サービス」と「コミュニケーション」ということで、これが仕掛り中ということだった。

 「『サービス』は会員プログラムが統合されたり、店舗とECを行き来する仕掛けとして店舗取り置きを導入したり、今後はネットで買って店舗で返品を受け付けるなども含め、両チャネルをシームレスに行き来できるような体験を提供していくための細かな施策をどんどん行っていく。例えばイベントを共通で行うこともその1つで、今までは会員向けセールを店舗とECでバラバラに実施していたのを共通で行う。こうしたサービスの共通化や統合はクロスユース(店舗とECの両チャネル併用)をより促す施策になる」

 ――「コミュニケーション」の統合は。

 「これは今期の注力施策の1つ。CRMも含め、当社で言う『リアルタイムパーソナライゼーション』、リアルタイムにパーソナライズしていくことを進めていく。来春くらいにその仕組みを作る」

 ――具体的には。

 「サイトを閲覧したり購入したお客様にその瞬間瞬間で個別に最適な情報を配信する。一斉に何かの情報を発信することは原則やめており、お客様が受け取りたい情報を受け取りたいチャネルで、受け取りたい時間や頻度で送る。例えば通販サイトであるブランドのコートを見ていて、かつ、渋谷にいるというタイミングに、そのコートが渋谷の当社の店舗に在庫があれば、その瞬間を捉えてメッセージを送るということはリアルタイムでないとできない。店舗の在庫情報をリアルタイムでつかんで、直近のサイト閲覧情報を同時につかんで、なおかつ位置情報も知っていることが必要になる」

 ――情報発信ツールとしてメールやLINEのほかに、アプリも準備している。

 「来年3月ごろにリリースする予定。Eコマース用のアプリで、アプリならではの操作性を備え、ビジュアル中心な見せ方を意識している。今は物理的なメンバーズカードがあるが、アプリリリース後はカード持っている方にアプリへの切り替えを促していく。アプリで配信する情報もパーソナライズされたものを流す。ウェブサイト含めて同じ仕組みでパーソナライズしていく」

 ――来春に「コミュニケーション」面を整備すると、オムニチャネル化という意味ではどの程度進んだことになるか。

 「そこまでいくと7割程度はできたかなと。いろいろブラッシュアップしたり、違う仕掛けをしていく必要はあるが、7、8割終わったと思う。あとは微調整や精度をより上げていくなど細かいことはいろいろある」

 ――今は自社通販サイト「ベイクルーズストア」は送料無料だが、今後については。

 「送料は当分無料でいいかなと思っている」

 ――上げる予定は。

 「まったくない。必要性がない」

 ――物流会社からの要請は。

 「それは吸収できるコストなので。簡単に言うと。仮に購入金額5000円以下などのラインを区切って送料有料にしてもいいが、実際それをしたところでそれほど差がない。5000円以下で購入される方のシェアは1、2割なので、シンプルに送料無料のほうが分かりやすい」

 ――今期(2018年8月期)の数値目標は。

 「EC全体では前期比2割増の330億円。そのうち自社ECは35%増の185億円。前期はEC全体が27%増で、自社ECが44%増だったので、その意味では抑えている」

 ――足元の状況は。

 「直近2カ月の9、10月ではEC全体は前年同期比で32%増、うち自社ECは2カ月で48%増で推移している。年間通じて出足は良いが、計画以上の推移できているため、目標値は達成できるだろう。ただ、他社も伸ばされているので保守的な目標だけを達成できればいいわけではなく、市場の伸びや競合他社の伸び以上に伸ばしていくことが求められている」 (おわり)※㊤はこちら


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