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スタートトゥデイ 採寸用ボディースーツ配布、データ取得しPB展開に活用

2017年11月30日 11:06

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 スタートトゥデイが11月末頃にスタートする自社プライベートブランド(PB)「ZOZO(ゾゾ)」の全容が少しずつ明らかになってきた。11月22日にPBで活用する採寸用ボディースーツ「ゾゾスーツ」(=画像)の無料配布受け付けを始めたことで、再び業界内外から熱視線を浴びている。

 「ゾゾスーツ」は、同社が昨年6月に出資したニュージーランドのソフトセンサー開発企業、ストレッチセンス社と共同開発した伸縮センサー内蔵の採寸用ボディースーツで、トップスとボトムスを着用し、スマホとブルートゥース通信で接続することで、身体の1万5000カ所が瞬時に計測され、当該データは「ゾゾタウン」アプリに保存できるという。

 スタートトゥデイでは、計測されたユーザーの体型データを活用することで、ファッションECの課題である「サイズの不安」を解消し、商品検索やレコメンド機能のさらなる充実につなげる。

 ゾゾスーツは通販サイト「ゾゾタウン」だけでなく、街頭やコラボ企業などを通じて無料配布するようで、同社の前澤友作社長は自身のSNSで「(ゾゾスーツは)体重計や体温計のように一家に一台の存在にします」とした上で、「世界中のお客様の体型を最も知り尽くした企業となり、そのデータを元に一人一人にピッタリの服を提供する、世界でも類を見ないファッション企業を目指します」と投稿している。

 前澤社長は10月30日の決算説明会の場でも、PBについて「科学やテクノロジーの力を駆使して"究極のフィット感"を実現するブランド」と説明。究極のフィット感を実現するのに不可欠なツールが今回のゾゾスーツということになる。

 近く商品ラインアップなどPBの全容が明らかになるが、同社では"超ベーシックなアイテム"と明言していることや、在庫を多く抱えない事業展開を模索していること、ゾゾスーツによって1万5000カ所の採寸情報が得られることからも、フィット感が得られるシャツやパンツなどを受注生産型で展開することが推測される。

 また、ゾゾスーツの採寸データを活用することで、同社のPBだけでなく、「ゾゾタウン」内での買い物がより便利になるサイズ検索やサイズ情報を元にしたレコメンド機能などの充実も期待できそうだ。

 PB商品は「ゾゾタウン」だけで販売する方針で、来春には米国とドイツでの展開を皮切りに海外販売にも乗り出すことにしており、海外版の専用サイトでもゾゾスーツの予約を受け付け始めている。

NZ企業の完全子会社化も視野

 スタートトゥデイは、ゾゾスーツを共同開発したストレッチセンス社について、11月22日開催の臨時取締役会で将来的に100%子会社化を選択可能とするコールオプション契約を締結することを決めた。締結日は11月30日を予定し、同契約の取得価額は約22億円。

 前澤社長はPB事業について「数年以内にゾゾタウン事業の規模(前期約2000億円)を超える収益の柱に育てる」と自信をのぞかせているが、現時点ではPB事業の将来性が不透明なため、スタートトゥデイの裁量で子会社化の意思決定を一定期間にわたって確保できるコールオプション契約を結んだようだ。

 なお、同契約を締結した時のスタートトゥデイによるストレッチセンス社の株式持分は39・9%で、完全子会社化するのに必要な追加出資額は約80億円となる。

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