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楽天、物流サービスの実力は?② 物流代行で店舗の負担軽減

2010年 5月27日 12:13

 前回は、楽天物流の設立の狙いなどに触れたが、今号では楽天が推進する"ハイブリッド型物流"の一翼を担う物流代行サービスについて見ていく。

 楽天が仮想モール出店企業を対象に物流業務の代行サービス「楽天物流サービス」を開始したのは〇8年5月のこと。出店企業ごとに異なる配送レベルの底上げが図れるのに加えて、店舗側も面倒な物流業務から解放されることで、マーケティングやコンテンツの作成など売るための作業に専念できるメリットがある。

 競合するアマゾンが東西に大型物流拠点を構えて配送サービスの強化に乗り出しているのに対し、楽天は物流企業とパートナー契約を結び、全国規模でネットワークを構築する。

 サービス開始から2年間は試運転が続いたものの、取扱商材と対応エリアを順次、拡大して本格化している。

 楽天には、成長が続くネット販売市場での取引を望む物流企業から問い合わせが増えているようだが、倉庫内のセキュリティーなどを含めた100項目近い楽天の要求レベルを満たす企業は少ないという。現在は北海道から九州までの17社と提携している。

 物流代行のターゲットはアパレルや食品など楽天が戦略的に伸ばしている商品ジャンルや、大手小売り企業の新規出店などに照準を当てて営業を強化している。

 楽天では、代行サービスの利用店舗数や出荷件数などの詳細は明らかにしていないが、「ショップ・オブ・ザ・イヤー」の受賞店舗が複数社、同サービスを利用していることもあり、認知度の向上とともに利用店舗は伸びているという。

 自社で委託先の物流企業を決めず、「楽天物流サービス」を利用する店舗が増えているのは、楽天が設定する高いハードルを越えた物流企業という"安心感"を指摘する声が少なくない。

 倉庫のオペレーションを担当する物流会社との間に楽天が仲介するため、物流企業と直接契約するよりもコスト面では割高になるものの、「授業料だと思えば高くはない」とする意見が聞かれるのも、楽天のブランド力にありそうだ。

 一方の物流会社では、「楽天市場」の商品を扱うことで、一般消費者向けの
物流ノウハウを蓄積して、本格的に通販物流に参入したい企業もあるようだ。

 ただ、楽天店舗の物流業務を請け負う企業によると、ネット販売市場の競争が激化しているため、翌年には倒産する店舗もあるなど、物流企業にとって必ずしも優良荷主の獲得につながるとは言えないという。

 次回は、実際に「楽天物流サービス」を利用している店舗の事例を紹介する。

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