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マイケア 〝企業姿勢〟で差別化、商品のこだわり野菜作りで体現

2018年 1月18日 10:15

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機能性表示食品制度で健康食品は「部位」への訴求が可能になり、表示の幅が広がった。ただ、機能性表示はさまざまな条件を満たすことが必要。健食の中には、そこから漏れるものもある。制度は、企業に「機能性」の追求か、伝承的な「健康イメージ」の訴求の選択を迫るものでもある。こうした中、健食通販を行うマイケアは、新たな取り組みを始めた。
 制度が始まって間もない昨年8月、栃木県・那須郡に100坪超の土地を買い、「マイケア畑」と名づけて野菜の生産を始めた。生産の様子はフェイスブックで配信。顧客を生産地に招いたり、生産野菜をプレゼントしている。

 通販で展開している健食は、主要原料を「国産」とするこだわりをもっている。"生産者の顔が見えない原料を扱うのは怖い"との考えからだ。実際の生産者に会い、見つけた原料の機能を見出すことで「(自分たちが)顧客に安心感を持って説明できるから」(前野社長)と話す。生産者の顔が見えないために製品化を諦めた素材もある。

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 新制度でも商品開発のこだわりから課題に直面した。制度は、「製品を使った臨床試験」と「研究レビュー」の二択。自社で研究施設を持つ大手は、前者による評価で他社製品と差別化を図る。
 一方、中小の制度活用を目的に導入されたのが、原料や製造事業者のサポートを受けつつ活用できる「研究レビュー」だ。ただ、研究論文の読解に精通する従業員の確保は容易ではない。商品設計、広告表現の面で川上の事業者への依存度は高まらざるを得ない。

 商品もコモディティ化する。同種の商品の乱立で表示による競争が過熱する中、昨年には、東洋新薬の「葛の花」を含む機能性表示食品を販売する16社が景品表示法に基づく一斉処分を受ける事件もあった。

 「研究レビュー」で評価する機能性表示食品は、販売者のこだわりを挟む余地が少ないことが課題だ。主導権を握るのは、原料・製造事業者。極端な話、機能さえ担保されれば"どこの誰が作った商品"かは関係なくなってしまう。

 パソコンの機能を象徴するのがインテルなどCPUに奪われたように、機能性表示食品も「機能性」のみで勝負すれば「市場を研究開発力のある大手や原料メーカーが支配するようになるのでは」(同)と危機感を抱く。通販では中堅規模に成長したマイケアも多くの企業が抱える課題と同じ悩みを抱える。

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 ビジネスとしても「誰が作ったものでも同じ、となってしまったら面白くない」(同)と考える。リピート通販は、ロングランの商品で顧客と継続的な関係を築くことで投資回収するビジネスモデル。機能性の競争がエスカレートすれば市場は常に新しい機能を求め始める。商品サイクルが短くなればリピート通販に向かない。

 マイケアの現在の主力商品の多くは、"いわゆる健康食品"に分類されるもの。こうした中、制度を機に企業姿勢を示す取り組みとして始めたのが「マイケア畑」だ。
 展開は、まだこれから。フェイスブックの運用など、自社の取り組みの効果的な見せ方を模索している。ただ、研究開発型の企業が、「白衣を着た研究員」など研究イメージで企業姿勢をみせる中、マイケアは、「国産」や原料へのこだわりといった企業姿勢を作業着を着て畑を耕す「マイケア畑」で示す。

 現在、マイケアが扱う機能性表示食品は、DHA・EPAを配合した中性脂肪関連のみ。素材にこだわってきたこれまでのスタイルとの不一致から「原料へのこだわりなどを訴えきれず、今のところ明確な販売戦略は打てていない」(同)という。

 ただ、「仮にマイケア畑で生産した野菜をヒントに機能性表示食品の開発すれば、開発ストーリーとして自社の取り組みを見せていくことはできるのでは」(同)とも話す。「マイケア畑」の取り組みが制度活用につながる可能性もある。

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