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KDDIの仮想モール「Wowma!」 4月以降も月会費の"無料"継続、管理ツールの機能大幅強化へ

2018年 3月 1日 10:03

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 KDDIと子会社のKDDIコマースフォワード(KCF)が運営する仮想モール「Wowma!(ワウマ)」では、月会費の無料キャンペーンを継続する。2月23日に開催された出店者向けイベント「ワウマフォーラム2018」で、KCFの八津川博史社長が明らかにした。ワウマでは出店店舗数が昨年1年間で急増しており、無料キャンペーンを続けることで流通額のさらなる拡大を図る。

 ワウマでは昨年、商品が売れた際の手数料率を従来から値下げしたほか、今年3月31日までの期間限定として、月会費の無料キャンペーンを行った。また、ショッピングアプリの刷新や「au」との連携強化、モール内検索エンジン・レコメンドの強化、テレビCM放映などの施策を展開。アプリ経由の購入者数は1・5倍に、さらに検索・レコメンド強化の成果として、クリック率は2倍、コンバージョン率は2・2倍に伸びている。

 店舗数は昨年12月現在で、前年同月比2・7倍、商品数は同60%増となった。一方で17年の年間流通額は、前年比32%増にとどまった。八津川社長(=画像)は「主要仮想モールと比較すると、圧倒的に店舗数や商品数が足りていない状況だ。ユーザーからは『商品が少ない』『見つかりにくい』『価格が高い』といった声が出ている」と現状を分析。4月以降も無料キャンペーン継続をすることで、店舗数・商品数ともに底上げする。

 八津川社長は「流通額32%増という数字には満足していない。KDDIグループの総力を挙げて今年を飛躍の年にしたい」とした上で、「管理ツール『ワウ マネージャー』の進化」「ユーザーベースの拡大」「サービスレベルの向上」の3点を成長に向けたポイントに挙げた。

 「ワウ マネージャー」に関しては昨年、商品・在庫・受注・決済に関わる各種APIを完備することで店舗の自社システムとの連携を容易にするなど機能を拡充。今年はまず、集客・販促機能を強化する予定で、ショップ内カテゴリーの構築機能やセット販売、コンビニエンスストア受け取り、店頭受け取りなどに対応する。

 「ユーザーベースの拡大」では、下期以降に新たなテレビCMを放映するほか、SEOやSNS、アプリ、動画などでユーザーとの接点を拡大。ファッションイベント「東京ガールズコレクション」や、越境ECサービス「ワンドウ」、食のイベント「肉フェス」との連携で、新たなユーザー取り込みを狙う。

 さらには「ショップチャンネル」や「ビッグローブ」といったKDDIグループの他サービスとの連携強化や、「スマートフォンのパケット通信のデータ容量プレゼント」や「auショップでの販促」など、auサービス連携の強化も進める。

 「サービスレベルの向上」については、レコメンドや検索、カテゴリー、ランキングなどを改善するほか、タイムセールやポイント・クーポン付与、広告配信を最適化することで、商品とユーザーのマッチング精度を上げる。「KDDIグループの保有する膨大なデータをワウマとつなぎあわせていく」(八津川社長)ことで、販促しやすくする。また「店舗の在庫が追加された」「お気に入り商品で使えるクーポンが発行された」といったリアルタイムの情報が、アプリのタイムラインに表示される、などといった機能の開発も考慮している。

 KDDIでは4月、田中孝司社長が会長に就任し、通信以外の新事業を取りまとめてきた高橋誠副社長が社長に昇格する。KDDIライフデザイン事業本部コマースビジネス部の村元伸弥部長は「KDDIは通信企業からライフデザイン企業への変革を目指しているが、新経営体制でそれを加速していく。ワウマをauに次ぐ中核事業にしていきたい」と述べ、今後のバックアップを約束した。

 仮想モール事業を強化する理由について、村元部長は「コマースはユーザーと高い頻度で接点を持つことができるため」と説明。「auユーザー以外にも支持してもらえるサービスに育てて、いつかはライバル企業を追い抜きたい」と意気込んだ。

 なお、当日は「ベストショップ大賞」も開催され、グランプリには子供服の西松屋チェーンが選ばれた。同社の富田一範執行役員は、受賞理由について「大人向けのように何年も使う服ではないため、身体にあっている間は機能を果たすことを前提に、その分値段を安くしていることが消費者から支持された理由ではないか」と分析。今後については「スマートフォン経由の注文がさらに増えるのは確実なので、auユーザーと相性の良いワウマの拡大に期待したい」とした。

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