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ファンケル中期経営計画 3年後に売上高1260億円、ブランド多角化で海外展開も加速

2018年 3月29日 10:04

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 ファンケル3年後に1260億円の売り上げを目指す。化粧品はブランドを多角化、健康食品はパーソナルサプリメントの発売による独自市場の創造に成長力を求める。20年度以降の継続成長を見据え、海外の本格成長に向けた布石も打つ。前中計で成長の原動力になった広告先行戦略を維持しつつ、収益性にもこだわり営業利益は126億円を目指す。3月23日、2018年度(19年3月期)を初年度とする中期経営計画の中で発表した。

 化粧品事業は今期、約649億円の売り上げを見込む。主力の「ファンケル化粧品」は国内売上高が450億円超となり、単一ブランドとして成長の余地が狭まる中、新ブランドを立ち上げる。

 現在の中心顧客層は30代後半から50代半ば。すでに手薄だった60代以降の女性向けに「ビューティブーケ」を立ち上げている。今春にはアラサー世代、19年にはアラフォー世代向けに低価格帯ブランドを立ち上げ、ドラッグストアなど流通ルートで展開する。海外はアジアで中国、香港、台湾、シンガポールのほか3~4カ国に進出。北米も来期に外部ECサイトに出店して再進出。グローバルブランドとして確立を目指す。

 
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子会社のアテニアは今期に約110億円の売り上げを見込む。3年後にこれを150億円まで引き上げ、海外進出に向けた準備を進める。北米中心に展開する「ボウシャ」は今期に約30億円の売り上げを見込む。今後、欧州、中近東で展開し、3年後に1・5倍の売り上げを目指す。

 「ボウシャ」は、化粧品専門店のセフォラへの卸を通じて北米約1000店舗、アジア約300店舗で展開。今後、EUの計19カ国で約900店舗、中近東約50店舗に販売網を広げる。セフォラが進出していないイギリスは独自の販路を築く。

 健食事業は、今期に約355億円の売り上げを見込む。現在、国内売上高に占める機能性表示食品の割合は45%(昨年12月時点)。今後、「カロリミット」「えんきん」に続くスター商品として、中高年向けの機能性表示食品「内脂サポート」の展開を強化する。商品の統廃合も進め目的に応じて選びやすい商品体系にする。来期中に問診を通じて最適な健食を提供するパーソナルサプリも発売する。

 海外は、中国市場を最重要市場と位置付け展開。昨年、中国で免税店や医療機関の運営を行う中国国際医薬衛生公司と販売代理店契約を締結しており、3年後の事業化に向けた準備を進める。

 チャネル戦略では、自社通販で今夏に通販と店舗の顧客のデータ共有化を進めるほか、外部のビッグデータを活用してCRMを最適化する。直営店は、3年後に205店舗を計画(17年度末で197店舗)。内外美容提案をベースに、メーク強化型店舗など立地に応じて役割を明確化する。流通ルートは化粧品が1万2000店舗(14年度は7700店舗)、健食が6万店舗(同4万7000店舗)と拡大の余地が少なくなっていることから一店舗あたりの売り上げ拡大を図る。

 広告戦略は、年間70~80億円だった広告投資を前中計で150億円規模に引き上げた。今中計もこれを維持。「正直品質。」という企業スタンスを伝える企業広告と商品広告の両輪で進める。商品広告はネットへのシフトを進め、効率化によりねん出した費用を新ブランドの投資に充てる。



本格成長へ基盤固め

【島田和幸社長との一問一答

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 新中計発表に際し、島田和幸社長は「売上高、営業利益とも当初目標に届かなかったがV字回復を果たした」と成果を口にした。

 前中計(15~17年度)で広告先行成長戦略に踏み切り、売り上げは14年度の776億円を底に回復。今期は1075億円を見込む。06年度に記録した1010億円を超え、11年ぶりに過去最高を更新する。一方、前中計を振り返り、計画が未達に終わったことに「足りないのは実行力」とも話した。

 今中計では既存事業の成長を維持しつつ収益性にこだわり、海外の本格成長に向けた基盤固めを行う。20年度に営業利益では、12年3月期に記録した115億円を超える過去最高益を目指す。3月23日の新中計発表における一問一答は以下の通り。

 ――前中計未達の背景に「実行力」の不足をあげた。要因と解決に向けた取り組みは。

 「15年度に広告先行戦略に舵を切ったが、それまで広告投資を先行できず、四半期ごとの利益を優先してきたことが一例。経営サイドの反省もある。(従業員の取り組みも)レベルは相当上がったが、まだ抜け漏れはある。(改善の)積み重ねと考えている」

 ――海外展開の狙いは。

 「既存事業の成長余地はまだあり、20年までの成長を支える。ただ、21年以降を考えると今から新しい芽を育てなければいけない。国内はOEMやBtoB事業など新規事業、海外は化粧品を全世界で、健食をまず中国で。3年後に海外売上高比率は11%(現在9%)、ハードルは高いが30年に25%を目指す」

 ――数値目標は売上高が3年で約17%増、営業利益は約63%増。試算の背景は。

 「本来、これだけ売上増があれば営業利益ももう少し伸びる。ただ、昨年から宅配運賃の値上げがあり、商品配送やカタログ・DM発送、出荷業務などトータルで年間15億円ほどアップする。地域限定正社員制度の導入で人件費も数億円増加するため営業利益は弱めの伸びとみている」

 ――新センター増設と今後の物流戦略は。

 「物流の課題は、『運賃値上げ』と『物量増加』の二つ。これをどう吸収するか。一つは昨年からカタログ発送部数を減らした。30代半ばまでのお客様はスマートフォン、PCの情報提供中心に3~4割部数を削減すると年間数億円の削減になる。また、4月下旬から一律100円の運賃をいただく。送料無料を止めた」

 「『物量増加』は売上拡大の影響。ピーク時に当日出荷できないケースが一部ある。現在、千葉県柏市に物流拠点があるが、3~4年以内に関西圏に新拠点を稼働させる」

 ――化粧品のアジア展開の販路は。

 「直営店中心に拡大する。とくに中国、香港はプレミアムブランドの位置づけ。高級百貨店でカウンセリング主体に展開する。ただ香港ではネット販売導入のテストを終えており取り組みは進める」

 ―この先3年間の設備投資の計画は。

 「製造関連で44、45億円。優先すべきは健食の供給能力の増強。化粧品はこの3年は既存3工場で対応する」

 ――化粧品の新ブランドと既存ブランドのすみ分けは。

 「中心顧客は30代後半から50代半ば。19年に予定するアラフォー向けは今の客層だが通販や直営店より手軽に、ドラッグストアで購入できるブランドを想定する」
 
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