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楽天、物流サービスの実力は?③ 物流企業の対応力に安心感、売上高物流比率も低下へ

2010年 6月 7日 09:53

 楽天は、仮想モール出店企業を対象に物流業務を代行する「楽天物流サービス」を本格化している。今号では実際に同サービスを利用する楽天店舗の事例を紹介する。
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 北欧の雑貨や食器を中心に扱う通販サイト「北欧、暮らしの道具店」を運営するクラシコム(本社・東京都国立市、青木耕平社長)が楽天の物流代行サービスを利用し始めたのは今年2月のこと。

 同社は、07年9月に自社サイトを開設。「楽天市場」に出店したのは09年2月と比較的新しいが、北欧雑貨のブームにも乗って、ネット販売の売り上げは毎月、前年同月比2.5倍で拡大しており、年商は1億円(09年7月期)程度。

 クラシコムでは、サイト開設当初から拡張性を考慮して物流のアウトソーシングを考えていた。事業拡大に伴い、出荷件数の少ない2月に、社内で対応していた商品の保管・出荷作業を委託したいと考え、倉庫を見て回っている時に楽天の物流代行サービスを知った。

 すぐに連絡をして紹介されたのが楽天のパートナー企業の野口倉庫(埼玉県戸田市)だった。それまで見てきた倉庫よりもコストは高かったが、「従業員のあいさつがしっかりしていて、取り組み姿勢が評価できた」(青木社長)。

 野口倉庫は雑貨通販の物流で実績があり、商品1点1点をバーコード管理して誤出荷を防いでいるほか、保管棚にはホコリよけのビニールカーテンを設置するなど、初めての業務委託にも安心感があったという。

 「はじめ、楽天は上前をはねているだけだと思ったが、パートナー企業のサービス品質に納得した。細かい損得勘定は捨てて、一緒に仕事をしたいと思った」(同)。

 物流業務は自社サイトと楽天分を一括して委託。取扱商品は約700SKUで、そのうち「楽天市場」ではヴィンテージ商品を除いた400SKUを販売している。

 自社サイトでは一点ものなどイレギュラーな商品も多いが、野口倉庫は細かいニーズにも対応してくれるという。一連の物流業務を委託したことで、クラシコムでは顧客対応やマーケティングなどに人材を集中できるようになり、事業計画の精度向上にもつながりそうだ。

 物流業務を委託して間もないが、「売上高対物流費比率は0.7~0.8%程度低下している」(同)とする。また、経営上、物流コストの大半を変動費化できたことも大きいという。(つづく)
 

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