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【張本貴雄社長に聞く 分社化、新体制での今後の戦略㊦】 CROOZ SHOPLIST 有店舗ブランド開拓進む、秋に倉庫新設で物流拡充

2018年 6月28日 10:09

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 前号に引き続き、クルーズの子会社でファッションECモール「ショップリスト」を運営するCROOZ SHOPLISTの社長に就任した張本貴雄氏に、今期最優先で取り組むべきテーマや中長期的な展望などについて話を聞いた。

           ◇

 ――中長期ビジョンの「年間購入単価2万円」に向けて、年4回のメガセールで1回当たり5000円という購入額を一つの目安としているが、そこへの展開としては。

 「現状の年間購入額は約1万4000円。あとは1回5000円程度の買い物で2万円近くになる。5000円を年間購入者数160万人にかけるだけで80億円くらい変わる。ここが金脈となるところだが、そこに対して顧客に無理して買わせてしまうと絶対にLTVは続かない。

 1000円の商品を年間12回買う人もいれば1回に2万円分買う人もいるなど様々なので、あまり『2万円』や『購入回数』をドライバーにはしていない。明確に取り組んでいるのは欲しい商品にすぐ出会えてギャップを生じさせないというところ。確かにメガセールをやっているが、『ガンガン売っていく』ということではなく、一つのお祭りとして新規にとって買いやすい環境をつくるという狙いがある」

 ――では一番重視しているKPIとは。

 「購入単価ではなく、訪問者数とコンバージョンを見ている。訪問者数が500万人を超えていることは事実。この人たちが100%買ってくれるためにはどうするべきかということを一番に考えている」

 ――そのために今期取り組んでいくこととは。

 「とにかく、リアル店舗を持つブランドの出店開拓を進めること。以前(2016年秋)にフォーエバー21さんに出店していただけたが、それは(他の出店者誘致において)大きなフックにもなった。直近で言えば、ワールドさんやストライプインターナショナルさんにも出店していただいたが、こうした大手アパレルに出ていただけると動き出す企業が出てくる。

 今までショップリストはウェブブランドが集まるサイトと認識されており、リアルの会社にとって『数千億円の売り上げを持つアパレル企業がなぜ200億円規模のモールに出店するのか』ということを言われていた。しかし、実際にショップリストが成長しており、(アパレル企業の)EC化率が伸び悩む中で出店の判断をしてもらえるようになってきている。

 また新たに出店が決まっているところもあり、今期はかなりの数のリアルブランドが拡充できる。これはSEOの観点からも非常に良く、また顧客にとっても普段から使い慣れているブランドがあることで安心感も持てる。リアルのブランドだけに限らず、1年間で純増100ブランドというイメージで行ければ。もちろん『ファストファッション』という領域は崩さないでいく」

 ――そのほかに強化すべきポイントは。

 「やはり、買いやすさの部分。現状で130万SKUを扱っていて、約1万5000平方メートルの倉庫に約100万SKUを保管している。今年11月にはそこから車で10分程度の距離に約4万5000平方メートルの新しい倉庫を作る。旧倉庫もそのまま残すため、保管倉庫として使える。今後は保管スペースが何倍にもなって届くスピードも速くなるので、ユーザーギャップを埋めることができる。

 また、ブランドによってサイズの測り方も異なるので、自分たちの基準をしっかりと持って顧客に対して視覚的に分かってもらえるようにきっちりと整備していく。(オンライン試着サービスの)『バーチャサイズ』を導入したのもそうした理由からで、テクノロジーで担保している」

 ――集客面では、モールとも連動したウエブマガジン「LiSTA」を3月に創刊した。

 「幻冬舎さんと組んで行っているが、これからは1年に1回、紙媒体を出すことも決まっており、この秋冬のタイミングで出す予定。雑誌社のコンテンツを作る力というものはやはりすごい。今後は全部自前やるというよりかは、それぞれの世界でのトップランカーと一緒に組んでやるという考え方になる」

 ――他のファッションモールで力を入れているPBへの興味は。

 「中長期ビジョンの1000億円を達成するまでは全く考えていない。達成した時に、やるかやらないかを考えるだろう。やはり今の自分たちの規模ではPBを考える段階にないと思う。利益率も高いものなので良いとは思うが、今ではない。

 また、PBとは企業にとってのプライベートブランドであって、顧客にとってのプライベートではない。顧客にとってのPBとは、別に企業がオリジナルで作ることではなくて、適正な価格帯やデザイン、サイズ感で、買って本当に良かったと思えるもの。そうした商品と出会える確率を上げることが自分たちプラットフォームの役割だと思う。」 (おわり)

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