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RIZAPグループ M&A凍結し路線転換、今期赤字で子会社売却も視野 

2018年11月22日 10:44

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 RIZAPグループは、新規のM&A(企業の合併・買収)を凍結し、拡大戦略を見直す。同社では近年、業績不振企業をターゲットに積極的な買収を続けてきており、グループ会社は過去2年間で52社増加していた。ただ、経営再建が遅れている子会社があることから、今後は新規のM&Aを取りやめ、収益改善が難しい事業や、当初想定していたグループ間のシナジーが見込めない事業については縮小や撤退、売却を検討する。瀬戸健社長は「今後は選択と集中という形で、コア事業に経営資源を投入する」と話した。

 11月14日に開催された記者会見で瀬戸健社長が明らかにした。同日、今期連結業績予想を下方修正しており、売上収益は2309億円(当初予想は2500億円)、営業損益は33億円の赤字(同230億円の黒字)を見込む。営業利益に関しては、化粧品のジャパンゲートウェイなど、子会社化してから1年以内の企業の経営再建が遅れていることによる下方修正(総額71億6000万円)、構造改革の関連費用(同83億5000万円)、予定していたM&Aで発生を見込んでいた「負ののれん」による利益がなくなること(同103億6000万円)などで赤字に転落する。

 同社が近年繰り返していたM&Aは、業績不振企業を対象としていたことから、実際の買収額が当該企業の純資産を下回っており、差額となる負ののれんは、同社が採用する国際会計基準において、当期の営業利益に組み込まれていた。新規のM&Aを凍結することで、今期見込んでいた負ののれん発生益がなくなり、営業赤字となる見込みだ。

 瀬戸健社長(=写真(左))は「負ののれんで発生する純資産を活用して経営再建するのが当初の目論見であり、順調に進んでいたが、去年や今年行ったM&Aにおいては、再建が完了する前に加速度的に買収を実行しており、今回のような形で損失を計上してしまった」と説明。今後は経営再建が完了するまではM&Aを行わない方針。グループ会社の早期再建や縮小や撤退、売却を行うほか、主力となるライザップ関連事業を中心とした成長事業への投資を進める。すでに、SDエンターテイメントのゲームセンターやボーリング場、映画館事業については譲渡が決まっている。

 6月に就任した松本晃代表取締役(=写真(右))は「(入社前には同社のことを『おもちゃ箱のようだ』と評していたが)実際にグループ会社を回ってみたところ、『壊れたおもちゃ』もあることが分かった。不況産業に属している、立て直しが厳しい会社があり、瀬戸社長の『ヘルスやビューティーを通じて自己実現する』というビジョンにそぐわない会社もあった」と話す。8月後半から瀬戸社長と構造改革について話し合いを進め、「痛みを伴うことを覚悟して、再生に向けて最終的には私の意見をたくさん聞き入れてもらった」という。

 また、一部では他の経営陣との対立も報道されていた松本氏だが、「私と瀬戸社長が対立したことは一度もない。他の経営陣との対立は存在しているが、これは健全な対立であり、会社にとって必要な対立だ」と強調した。

 なお、RIZAPグループの今中間期決算は、売上収益が前年同期比74・3%増の1091億500万円、営業損益は88億2900万円の赤字(前年同期は49億8700万円の黒字)、税引前損益は97億500万円の赤字(同43億7700万円の黒字)、親会社の所有者に帰属する四半期損益は85億3200万円の赤字(同29億3200万円の黒字)だった。

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