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ケフィアの巨額被害事件 被害回復に諦観、配当わずかで「大半戻らない」

2019年 1月17日 10:15

 ケフィア事業振興会の破産をめぐる問題は1月15日、被害対策弁護団(団長=紀藤正樹弁護士)が説明会を開催した。被害を訴える顧客の弁護団への委任はこれまでに、954人、被害総額は約70億円に達した。一方で、破産手続きを進めるケフィア事業振興会の資産は、本社ビルの売却を含め10億円超にとどまる。債権などを除く顧客への配当はわずかになる可能性が高く、説明会に参加した顧客からは諦めの声も聞かれた。今後、警察当局による立件を働きかけつつ、民事訴訟を通じ損害賠償を求めていく。

 ケフィアグループをめぐる破産手続きは、これまで関連28社と鏑木秀彌社長、関連のかぶちゃん農園の鏑木武弥社長の2人に至っている。

 説明会で、弁護団(=画像)は「(破産は)民事解決の一手段でしかない。全容解明に向け警察当局による立件も働きかけていく必要がある。刑事手続きを通じて民事訴訟の証拠を集め、損害賠償も提起できる」と説明した。

 一方、当初、弁護団が把握した被害(約1600人の84億円、昨年8月末時点)からは弁護団への委任は減っている。説明会に参加した被害者からは「(被害額は1000億円に達するとも言われるが)10億円では現状の配当は1%に満たない。結局何%返ってくるのか。実際の返金手続きはいつになるのか」といった質問もあった。弁護団は一般論として、大規模破産の場合、刑事事件としての立件、破産手続きなどを通じて3年をめどに配当に至ることを説明。配当も1~5%の幅で動くと説明した。ただ、会場を訪れた被害者からは「ほとんど戻ってこない」と諦めの声が聞かれた。

 弁護団は「現状で被害回復はおぼつかないが、(10億円はケフィア事業振興会のみの資産)。関連28社も破産手続きに移行した。関連会社は60社超に上る可能性もあり、今後も独自に調査を行う。何も資産がないのはおかしい。グループの資産がどこかにあるはず。被害救済し、今後、同様の被害を出さないため協力してほしい」と呼びかけた。

 昨年11月には、鏑木秀彌・武弥親子に加え、ケフィア事業振興会監査役で、秀彌社長の娘である辻秀子氏を相手取り、1億7567万円の損害賠償を求める訴訟を提起した。秀彌・武弥親子に対する訴訟は破産手続き中のため停止することになるが、辻氏を対象にした訴訟が今後行われることになる。被害解明を通じて鏑木秀彌・武弥親子以外の役員や従業員の責任も追及していく。

 ケフィア事業振興会は昨年9月に破産。負債総額は、1053億円、債権者は約3万人に上った(関連3社含む、当時)。同社は、顧客と「オーナー制度」と呼ぶ買戻し特約付の売買契約を結んでおり、多額の支払い滞納から弁護団結成に至った。

 
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