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だいにち堂VS消費者庁 「表現の自由」侵害を指摘、「暗示」規制で企業活動に制約

2019年 2月 7日 13:15


 「表現の自由」に反する。景品表示法をめぐる健康食品の処分取消訴訟。だいにち堂が第2ラウンドで繰り出したのは、消費者庁による日本国憲法の「侵害」だ。消費者庁は、許容されるべき表現の「パフィング(一定の誇張)」に踏み込み規制していると指摘。企業の正当な表現行為を制約しているとするためだ。裁判を通じた訴えは、厳格化する法運用に一石を投じるか。
 
「言葉狩りではない」と火消し

 「景表法規制に対し『言葉狩り』などとする意見があるが、『言葉狩り』ではない」。昨年末、東京都が健食の販売事業者向けに行った講習会の席、景表法の説明に立った消費者庁の担当官はこう市場で指摘される一部の論調に釘を刺した。

 ここ最近、苛烈さを増す表示規制に事業者の忌避感は高まっている。ただ、おおやけの場でこうした論調を否定するのは異例。頭には、「だいにち堂訴訟」をめぐる事業者の興味・関心の高さがあったか。「言葉狩りではない」としつつ、法廷では、「ボンヤリ」といった言葉をあげて「目の見え方が不良・良好な状態を意味しうる」と指摘。健食を扱う企業から「もう同じ表現は使えない」といった声が上がっていたためだ。

出しようがない「合理的根拠」

 「雲に包まれる睡眠体験」「寝覚めすっきり」。寝心地の良さを誇張した羽毛布団の広告があったとしよう。「『雲に包まれる』の根拠を示せ」。仮にそう求められ、示せる企業があるだろうか。答えは「否」だろう。だいにち堂は法廷でこう一例を出して主張する。

 そもそも「雲に包まれる」との表現は、社会一般に許容される程度の「誇張」の範囲か。それとも「著しい優良性」にあたるか。「ボンヤリ・にごった感じに!」はどうか。「(その表現の根拠を求められても)消費者庁が満足するような根拠を出すことは現実的に困難」というのが訴訟から読み取れる主張だ。

「パフィング」の境界線

 広告は、一定の誇張があるもの。このことは人が化粧の白粉をはたくことを意味する「パフィング」と呼ばれ、消費者の商品選択を妨げないものとされている。ただ、誇張が過ぎれば景表法で規制を受ける。

 合理的根拠の提出を求めることができる景表法の「不実証広告規制」は、「『優良誤認』に該当するか否かを判断するために必要と認められる時」に適用できる。一方、「消費者が著しい優良性を認識しない」と考えられるものは対象にならない。例えば、”開運”とうたって売られるお守りのように、「神秘的内容(開運、金運等)」「主観的内容(気分爽快)」「抽象的内容(健康になる等)」は、消費者の期待値の程度問題から不実証広告規制の対象にはならないとされる。

 では「著しい優良性」とは何か。それは「社会一般に許容される程度を超えた『誇張』」のこと。境界線は、「誤認して顧客が誘引されるか否か」(過去判例)にある。

「暗示」に踏み込む規制を批判   

 だいにち堂のケースはどうか。だいにち堂は2016年、「ボンヤリ・にごった感じに!」といった広告表現に対する合理的根拠を求められ、「あたかも目の症状を改善する効果が得られるかのような表示」として措置命令を受けた。

 
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