【藤原義昭執行役員に聞く コメ兵のマーケティング戦略は?】 商品の編集力で価値高める、稼げる自社メディアを育成
2019年 2月21日 16:45
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2024年12月 5日 12:00
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――フリマアプリの浸透もあって消費者のリユース品に対する抵抗感は薄れてきている。
「CtoCのリユース市場は間違いなく広がっている。ユーザーの消費行動が中古と新品で分かれているのではなく、消費者のスマホの中にプラットフォームが入っていて、服を探すときにメルカリをチェックする”メルカリファースト”といった動きもある」
――売ることを前提に新品や中古品を買う人が増えているという。
「リセールバリュー(再販価値)については、ハイブランド品を扱う当社では今に始まったことではない。時計でロレックスが売れるのは再販価値があるからだ。買う側も再販価値を意識しているし、当社も店頭接客時に後々の売りやすさも伝えている。供給量よりも需要の高いブランド、商品の再販価値は高まる。一方で、誰も知らないような時計は安くなるが、時計のマニアからすると『こんなに安く売っているの?』という宝探しのような楽しさもある。ECでも実店舗でもセレンディピティー(偶然の発見)はあり、品ぞろえの中には単に安いものだけでなく、レア化したものも重要だ。当社では、商品は作れないが『商品を編集する』という部分で価値を出せる」
――実店舗とECの主要顧客層に違いは。
「両チャネルとも40~50代が多く、課題はデジタルネイティブなミレニアル世代の獲得だ。若者のブランド離れとか、車離れなどと言われているが、欲しくても買えないというのが実情ではないか。当社に限らずラグジュアリー市場は若い人との取っかかりを作ることが大事になる。最近はルイ・ヴィトンもストリート系ブランドとコラボした商品を展開するなど、クールに見せることを心がけている。リユース品はどうしてもワンテンポ遅れるが、そうした若い層に向けた商品も入ってくるため、『自分には関係ない』と感じているミレニアル世代にも届けていきたい」
――ミレニアル世代を含め、店やECに来店してもらうための接点作りを強化している。
「デジタル領域ではオウンドメディアに力を入れている。男性向けの高級時計にまつわる情報マガジン『トケイ通信』を2015年にスタートしたが、最近ではブランド通な女性のためのメディア『KOMEHYOのブランドブログ』を始めた。時計や宝石、バッグなど、お客様によって関心のある領域が異なるため、ひとつの領域を深堀りすることが大事になる」
――ブランド品に関するノウハウも生きる。
「その通りだ。『トケイ通信』であれば、当社には時計の知識を持つ社員がたくさんいる。店頭接客は1対1だが、ウェブ上では1対nとなる。広告運用でEC集客を図ることもしているが、もう少し手前の段階で、例えばロレックスについて調べたいというユーザーに向けたメディアが少ないのが現状だ。当社では記事も内製化しており、『トケイ通信』を始めてから時計を購入する比率も高くなり、稼げるメディアに育ってきている」
――外部ECモールへの出店も強化している。
「基本的にひとつのプラットフォームに肩入れしてそこだけでグッと伸ばすようなことはしない。ビジネス全体として見ており、いろいろなプラットフォームに出て新しいユーザーとのタッチポイントを作りたい。昨年3月には『ゾゾユーズド』がマーケットプレイス事業を始めたのにあわせて出店した。ファッション好きが多く集まるという点で他のモールと特徴が異なる。大体予想通りに推移しており、顧客層が10歳くらい若いため売れるものも違う」
――今年1月末には「ワウマ!」や「リーボンズ」にも出店した。
「シンガポール発のオンラインマーケットプレイス『リーボンズ』については、アジア市場が大きくなるのは間違いないため、将来を見据えて出店した。システムを組む前に販売テストを行ったが、女性ユーザーを中心にバッグや財布、ブランドジュエリーなどの反応が良く、日本で鑑定されたリユースアイテムへのニーズの高さを感じた。携帯キャリアが手がける総合ECモール『ワウマ!』でもテスト販売の結果を受けて本格出店を決めた。顧客数の分母が大きいau経済圏ではリーチできる層が圧倒的に広がる」(つづく)