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ゾゾ PB縮小も体型データ活用、出店ブランドの服をマルチサイズで、年内に中国再進出も

2019年 5月 9日 15:00

 ゾゾは、プライベートブランド(PB)事業を縮小する。一方で出店ブランドが企画した服をマルチサイズ展開する新規事業や自社EC支援サービスの強化、中国再進出など新たな挑戦に取り組み、有料会員サービスで失った出店ブランドとの信頼関係を取り戻す。

 同社のPB事業は、無料配布した採寸用ボディースーツで体型を計測するユーザーが想定を下回るなど消費者のハードルが高かったことに加え、製造遅延や品質問題で機会ロスが生じたことが響き、PBの前期(2019年3月期)取扱高は計画の200億円に対して27億6300万円にとどまった。

 現状は取得した体型ビッグデータを活用しPB「ゾゾ」のカジュアル商材は採寸なしでも購入できるようにしており、今後のPBは極めてベーシックなアイテムに絞り込むほか、PBの海外展開から撤退し、ドイツと米国の販売子会社を清算。今期のPB取扱高は17億円を見込むなど、鳴り物入りでスタートした当該事業を縮小する。

 一方、PBの定番商品は「スリムテーパードデニム」が累計21万7000本、「ベーシックTシャツ」が同7万5000本をそれぞれ販売し、「ゾゾタウン」内のアパレル年間販売数ランキングで断トツの1位、2位となったのに加え、同社PBの3カ月以内のリピート率は通常商品の2・5倍だったことからマルチサイズ(多サイズ)に対する大きなユーザーニーズが確認できたという。

 ただ、同社のPBだけではマルチサイズのアパレル商材が浸透するまでに時間がかかることから、「路線を変更する」(前澤友作社長)とし、今後はブランドの力を借りる。

 一環として、「ゾゾタウン」の出店ブランドが企画する商品をマルチサイズ展開して「ゾゾタウン」上で販売するマルチサイズプラットフォーム(MSP)事業を今秋に始める。ゾゾユーザーがお気に入りブランドの服をより自分の体型に近いサイズで購入できるようにするもので、アイテムによって20~50サイズ程度の展開を計画。今期は同事業の取扱高として10億円を見込む。

 また、子会社のアラタナを中心に展開するBtoB事業の再強化を打ち出しているが、出店ブランドの自社EC支援サービス「フルフィルメント バイ ゾゾ」を10月に始動する。ゾゾの物流拠点で「ゾゾタウン」向けの在庫と自社EC在庫を一元管理するのを条件に、自社ECで販売する商品の撮影や採寸、保管といったフルフィルメント業務にかかる運営手数料15%を無料化する。加えて、ゾゾIDでのログイン機能を自社ECにも開放するという。

 「ゾゾタウン」での在庫不足による機会損失は前年実績ベースで取扱高の約30%となる1000億円程度に上ると見られることから、自社EC運営手数料の無料化に踏み切ることで在庫連携を促し、機会ロス低減を図りたい考え。

 また、年内をメドに中国市場に再進出する。同社は約6年前にもソフトバンクとの合弁会社で中国展開に乗り出したが撤退している。ゾゾによると、6年前と比べて中国のターゲット顧客層がファッションに使う金額が4~5倍に拡大していることから、日本ブランドの価格帯でも勝負できる状況にあるという。加えて、前回はタオバオのモールに出店したため自由度が低かったが、今回は単独サイトやアプリを用意し、UI・UXやプロモーションなどで差別化が図れるとする。

 中国展開は、「ゾゾタウン」で扱う商品を中国の消費者にも販売する越境EC型で、商品在庫はゾゾの物流センターで管理し、中国からの注文も同拠点から直送する。参加ショップは「ゾゾタウン」出店時と同率の販売手数料で同国市場を開拓できるという。同社では中国の一大商戦に当たる11月11日の独身の日にオープンを間に合わせたい考え。

常時割引は終了

 一方、ゾゾの負担で常時10%割引を行う有料会員サービス「ゾゾアリガトーメンバーシップ」は5月30日で終了する。値引きによる購入促進効果はあったものの、常時割引を嫌う一部のブランドが退店したほか、同サービスの入会者数が想定を下回った。

 近年、「ゾゾタウン」の出店ショップ数は右肩上がりで、商品取扱高拡大の原動力のひとつになっているが、前期末のショップ数は前四半期比10ショップ減の1245ショップとなるなど減少に転じた。アリガトー割引が原因で販売を停止していたショップ数は1月末時点で42ショップだったが、このうち21ショップが退店。14ショップが販売停止を継続中で、7ショップが販売を再開したという。

 また、前期の第4四半期(1~3月)は当初、アリガトー割引の効果で主力のゾゾタウン事業(ユーズド除く)が前年同期比約26%伸びると見込んでいたが、実際には21%程度の成長にとどまり、値引き分の原資負担増に見合わないと判断したと見られる。

 今後はMSP事業やBtoB事業、中国展開といった「価格以外での価値提供」(前澤社長)を通じてブランドとの関係強化を図る。

 なお、同社は5月30日から「ゾゾタウン」のオリジナルクレジットカード「ゾゾカード」を刷新。入会費・年会費を無料とし、ポイント還元率を従来の2%から5%に引き上げるなどお得感を出すことで、有料会員の受け皿としたい考え。


 
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