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【ジャパネットサービスイノベーションの茨木智設社長に聞く ジャパネットグループの新事業の現状と今後】 クルーズの売れ行き好調 独自の工夫や企画で支持、ウォーターサーバー事業も堅調に

2019年 6月20日 15:00

 ジャパネットグループが近年、注力しているサービス系商材などの新規事業の企画・運営を一手に引き受けるジャパネットサービスイノベーションが手掛ける豪華客船で日本各地の名所などを巡るクルーズ旅行の売れ行きが好調だ。一昨年から本格化させたクルーズ旅行だが、わずか2年で日本屈指の販売量を誇る規模にまで成長を遂げている。同社を率いる茨木智設社長にクルーズ旅行を手掛けた狙いや今後の展開、また、ウォーターサーバーやクレジットカードの発行など他の新規事業の進捗のほか、ジャパネットグループの新規事業を担う同社としてのこれからの方向性などについて聞いた。 

 ーージャパネットグループはジャパネットたかたを軸に受注や物流など業務ごとに特化した子会社で構成されているが、「ジャパネットサービスイノベーション」は”新規事業を手掛ける”という役割の子会社である種、異質だ。なぜ子会社として設立したのか。グループ内での位置づけは。

 「ジャパネットでは世の中に埋もれているが、お客様の生活を豊かで素晴らしいものにするモノを発掘して提供していきたいと常に考えている。それは物販に限らず、サービスでも同じだ。物販では商品をよりよくするためにお客様の意見などをもとにメーカーと協力しながら改良し、オリジナルモデルを作るということはあったが、基本的にはメーカーから商品を仕入れて販売するわけで、商品を作り出すということはしていなかった。ただ、当社はサービスをさらに磨き販売していきたいと考えており、その点では物販のようにすでにある商品を仕入れて販売していくモデルとは大きく異なる。それまでサービス周りの案件は私が部長を務めていたジャパネットホールディングスのサービスソリューション部という組織が担当してきたが、やはり、本格的にサービス系商品を展開していくことになると(物販とは)ミッションが明らかに違ってくるため、分けて展開していく必要があると以前から感じていた。そうした中で、ジャパネットグループとして新たにウォーターサーバー事業へ参入しようと、以前から取引のあったコウノウォーターをグループ化することになり、どこかで『サービスソリューション部』を切り離すのであれば、このタイミングが最適であろうと考えて、『株式会社ジャパネットサービスイノベーション』と商号変更する形で別会社にした」

 ―ージャパネットサービスイノベーションが手掛ける各事業について伺いたい。まずクルーズ旅行だが、そもそもなぜクルーズ旅行を手掛けようと考えたのか。

 「2014年ころに、船会社から当社に『(クルーズを)通販で売らないか』とお声掛けを頂いたことがきっかけだ。当時はクルーズというものがどういったものかよくわからなかったが、とりあえず乗船して体験してみたところ、『こんなによいサービスが世の中にあったのか』と感じた。ただ、調べてみるとクルーズ人口は国内では当時、25万人程度で世間一般の人たちにはあまり馴染みがないということが分かった。ただ、クルーズ業界はそれでも一定規模を維持していて、つまり、同じ人がリピーターになっているということだった。一度、乗った人はとても満足する”よい商品”にも関わらず、市場自体はあまり拡大していないという状況であるということは埋もれてしまっているが、実はよい商品を発掘して、その良さを伝えることでお客様の生活をよりよく変えていくという当社のミッションにクルーズが合致しそうで、役に立てる部分がありそうだと感じた。そこでまずは当時、私が管轄していたグループ会社のジャパネットサービスパートナーズが第3種旅行業を取得し、JTB首都圏が企画・販売するクルーズ旅行の販売代理店として16年の7月にテレビ通販で紹介したのだが、準備していた約50室が即日完売するなど手ごたえを感じた。一方で、我々も付き添いで同乗したのだが、実際に乗船されたお客様が戸惑うシーンが見られた。クルーズは船内での独自のルールなどがあって、慣れていない方はその世界感というか、雰囲気に入っていきにくい部分があったのだと思う。ジャパネットが販売する以上、お客様が戸惑う状況を作ってはいけないということで、翌17年には他社企画をそのまま販売する第3種旅行業でなく、旅行内容を独自企画できる第1種旅行業をジャパネットホールディングスで取得して、自分たちで船内をカスタマイズできるクルーズの企画・販売ができる体制を整え、その年の7月には大型客船『MSCスプレンディダ』で9泊10日で横浜から金沢や釜山、高知など6カ所に寄港し、再び横浜に至るクルーズ旅行企画をブロックチャーターし、約1000室を確保して販売した。その際は、とにかく初めての人でも安心して乗ることができるということをキーワードにして、例えば、クルーズの魅力をお伝えするため、船内の紹介や実際の過ごし方、各寄港地の観光スポットなどが1冊でまとまっている冊子を当社のカタログ制作部隊が作成するなど工夫した。販売の方も用意した部屋が完売するなど好調だったことから、10月には『MSCスプレンディダ』の1637室の全客船を借り切るチャーター便で当社の本社もある長崎を含む寄港地の選定や船内でのイベントなど完全オリジナルの9泊10日のクルーズ旅行を企画(全2回)、販売した。そして昨年からは新設したジャパネットサービスイノベーションのもとで、今年の5~10月に順次、出発する同じく『MSCスプレンディダ』をすべて貸し切り、9泊10日で全6回のクルーズツアーを企画し、本格的にクルーズ旅行の販売を始めた」

 ーー本格販売を始めた昨年のクルーズ旅行の売れ行きは。

 「非常に好調で客船はほぼ完売だ。販売自体は昨年だが、だいたい1回の売り上げは10億円でそれが6回のため、売り上げベースではおよそ60億円となる」

 ―ー好調な理由は。

 「当社独自の工夫や企画、特典などがお客様からある程度、支持を頂けているのではないか。先ほどのオリジナル冊子などのほか、例えば、お客様が船内で困らないように専用スタッフが参加者をサポートしたり、気兼ねなく朝食を召し上がって頂くために、朝食を部屋まで運ぶルームサービス、船内を知って頂くためのスタンプラリーや当社が販売している家電などのチャリティオークション(※昨年は北海道地震の被災地である室蘭に寄港したこともあり、オークション売り上げを全額寄付)、また、船内での食事やドリンクなどが無料で食べ放題・飲み放題にしたりしている。食べ放題はクルーズ旅行では一般的だが”飲み放題”は実は業界では画期的な取り組みだ。アルコールはビジネス的な観点から有料にしていることが多いためだ。私が試乗の際に感じたのだが、船内ではプールサイドでビールを飲んだりしたいわけだが、ビール1杯飲むために、結構高いお金を都度、支払うということ自体、現実に引き戻される感じがあり、気兼ねなく飲めたら、旅が2倍楽しくなると思った。先ほども申し上げたように通常、ビジネス的には飲み放題にすべきではないのだろうが、ジャパネットでは最初から必要なものをすべてセットでご提供するというスタイルが”売り”ということもあり、また、販売の際にお客様から頂いた代金で極力、追加料金なく楽しんで頂きたかったため、そのようにした。そういった意味で寄港地での観光に便利な無料循環バスも用意している。寄港地で降りるたびに、その見知らぬ土地で自ら交通機関を探して観光するというのはとても大変だ。そのため、我々の方で国内のほか、寄港地の1つである韓国でも事前に各地でバスをチャーターして、その土地の主要な観光地を循環するバスを出している。1つの寄港地で最大50台くらいのバスを走らせており、費用もかかる。また、費用だけでなく、用意している寄港地を観光するオプショナルツアーも無料循環バスのおかげで売れなくなる(笑)。ただ、やはり、お客様に極力、追加費用がなくても楽しんで頂きたいというコンセプトは大切にしたいと思っている。このほかにも、過去には事前にお客様には内容を知らせないサプライズイベントを実施した。有名アーティストをゲストにお呼びして船内で無料コンサートを行なうなど本来であれば販売する際に訴求としてもよいほどの特典だが、船内でサプライズを楽しんでもらいたいという想いで企画している」

 ―ー
競合のクルーズ旅行に比べて価格訴求力はあるのか。

 「あまり意識していないが競争力はあると思う。そもそも客船をすべてチャーターし、リスクを我々が負っている分、販売価格に転嫁できる。また、チャーターしていることで、キャンセルが出た場合でも、出航直前まで販売ができる。また、通常の旅行では宿泊代金のほか、交通費、食事代など色々と費用がかさむわけだが、クルーズでは部屋のグレードにとって多少異なるが、9泊10日で30万円ということは1日3万円で宿泊、移動、観光(無料循環バス)、食事やお酒などすべて込みの価格なわけで、実はお得感もある。実際、お客様からの反応もアンケートの結果を見る限り、満足度はかなり高い」

 ―ー今後の方向性は。

 「今年は5月10日から、新たに造船した日本初就航となる客船『MSCベリッシマ』を全船チャーターして各地の名所などを巡るクルーズ企画『MSCベリッシマで巡る憧れの日本一周クルーズ10日間の旅』の販売を開始した。出航は来年で横浜を出発し、高知、鹿児島、済州島(韓国)、秋田、函館に寄港しつつ、再び横浜に至る9泊10日の企画等で合計8回、実施する。販売価格は昨年までよりも少し上がるが客船はこれまでの『MSCスプレンディダ』よりも大きく、今年作られたばかりの船で船内には、96メートルのショッピングプロムナードに時間と共に変化するLEDスクリーンの天井など船の上とは思えない最新の設備があったり、シルク・ドゥ・ソレイユの専用の劇場があってお客様を無料でご招待したり、イベントを行なったりオリジナルの企画にもこだわっている。お客様の満足度はより高まるのではないか。寄港地も前年とは変えており、リピーターの方も楽しんで頂けると思う。また、これまでは基本的に日本を一周する企画を販売してきたが、海外を巡るクルーズなども企画していきたい。フライ&クルーズと呼ばれる飛行機でクルーズの発着地まで行き、そこから客船に乗ってクルーズを楽しむ形だ。先ほども申し上げたが、クルーズはリピート率が非常に高い商品なので、海外のクルーズを楽しみたいというニーズも徐々に出てきているためだ。国内のクルーズとメインしながらも、海外のクルーズもプラスアルファーとして販売していきたい」
 

製販一体で差別化、ウォーターサーバー事業に手応え、“クレジットカード”も順調



――昨年1月のコウノウォーターの買収後、天然水の製造から専用ウォーターサーバーの配送・設置、メンテナンスなどすべて自社グループで一貫して手掛ける体制を整えて同年6月から本格販売を開始したウォーターサーバー事業の現状は。

 「加入者数は若干、計画には届いていないが、水事業で大切な指標であるお客様が購入される水のボトルの平均本数は3・5本で想定よりも非常によい。また、解約率もかなり低く、手ごたえを感じている。ウォーターサーバーの新規契約はショッピングモールの一角などにブースを設けてゲリラ的に値引販売を行うような手法で行われることも多いが、ジャパネットのウォーターサーバーは天然水のよさやサーバーの便利さなど、サービスの本質の部分を伝えることを主眼において丁寧に販売しており、そういった意味では新規契約者獲得のための営業トークとしては弱い。しかし、本当に水が欲しいと思われる方に販売しているため、購入されるボトルの本数が多かったり、解約率が低いというところにつながっていると思う。当社としても無理に契約者を増やそうという考えではなく、本当に水が欲しいと思われて契約を頂いたお客様と長く関係を保っていくことを優先したいと考えている」

 ――そもそもウォーターサーバー事業を自前で行おうとした理由は。

 「1つは以前から、他社のウォーターサーバーサービスを販売していて実績など手ごたえを感じていたこと。また、本格的に行うのであれば自分たちで自信を持ってやりたい、という想いがあったところ、コウノウォーターの(買収の)話も頂き、自前で行うことにした」

 ――競合サービスとの差別化の要素は。

 「まずは製販一体であるということだ。例えば関連法では水質検査では半年、または年に1度、特定の項目を検査すればよいということになっているが、我々は毎月、項目によっては毎日、検査を行っている。普通はそんなに多くの項目を検査する必要はないが、検査も100項目とある種、過剰に実施している。ウォーターサーバーのメンテナンスもきれいな状態を保ってもらうため、2年に一度はお客様のお宅に伺って消耗部品をすべて新品に取り換えている。他社の場合、ウォーターサーバーのメンテナンスはそこまではしないことが一般的だ。それは非常に費用がかかるためだ。我々も当然、費用はかかるわけだが、当社のグループ会社である(物流子会社の)ジャパネットロジスティクスサービスにはエアコンを取付設置する訪問部隊があるため、その閑散期を活用することで効率的にウォーターサーバーの安全を担保できる仕組みを作ろうとしている。そもそもなぜ我々が自分たちで水を本格販売するにあたって製販一体にしたのか、それは安全性の担保だ。水はお客様の体に入るものだ。我々としては絶対的に譲れない部分であり、ここにはかなり神経を使い、コストもかけている。製販一体にすることで自分たちで責任を持って取り組みたいことと、原資も一体となっている分、通常では実施しにくい点も可能になると思う」

 ――ウォーターサーバー事業の方向性は。

 「加入者を増やすことを優先するよりも今は”足固め”で品質面の向上などに取り組んでいきたい。例えば、現在、ボトルのサイズは1本8リットルだが、これは最終形ではないと思っていて、重さの問題などお客様により求められる、また、配送料の問題なども計算し、より最適なボトルのサイズを考えて、夏をメドに変更しようと考えているし、また、ウォーターサーバーのスペックなどについて、利便性などを分析し、改善を進めようとしている。また、来年中に新しい水の工場を建設する予定だ。我々は事業の選択と集中のために、我々が買収する以前に(コウノウォーターが)請け負っていた他社へのOEM供給をやめ、すべて自社販売用に切り替えた。また、買収前は実施していた2WAY方式(※飲み終わった空きボトルを回収し、容器を再利用するモデル)をやめて、1WAY方式(使い切り)に特化している。やはり、使い切りである1WAYの方が衛生的であり、また、当社のように全国のお客様に対して行うビジネススキームでは、基本的にエリアを限定して展開する2WAYは馴染みにくく、加えて、今後、加入者数が増えていった際に、製造可能なキャパシティや必要となる人材などを考え、早いタイミングで絞った方がよいという判断からだ。そのやめた2WAY用の工場の後に、最新の設備を整えた衛生環境もよく、より多くの製造が可能となる工場を建設して今後の規模拡大に備えていきたい」

 ――クレジットカード事業のセディナと提携して1月から本格展開を始めたジャパネットたかたの顧客向けに発行するクレジットカード「ジャパネットカード」もジャパネットサービスイノベーションが管轄する事業になる。発行の狙いは。

 「ジャパネットでクレジットカードを作ろうという話は03年くらいからあった。通信販売と決済手段のためのクレジットカードは切ってもきれない関係だし、ジャパネットはショッピングクレジット、いわゆる”分割払い”ができることが1つの売りなわけだが、ショッピングクレジットで分割払いをするためには審査のために毎回、お客様に契約書を書いて頂く必要があった。これはお客様にとっても我々にとっても負担になっていたため、それを解消したいという想いがあった。クレジットカードの発行というと一般的に金融事業やマーケティングにつなげたいという狙いもあるかと思うが当社の場合は本当にお客様の利便性向上とか、お客様との距離感を縮めたいという要素の方が狙いとしては強い。カードの特典についてもこのカードで決済した際、例えば大型家電などを購入した場合には、通常は約5000円程度、送料がかかってしまうこともあるがそうした送料を無料にした。また、ジャパネットたかたでの商品購入の際は36回分割払いまでの金利手数料を当社が負担することに加えて、このカードを使っての当社以外での買い物時についても、3回および5回払いを対象に、分割金利手数料相当分全額を独自ポイント『ジャパネットカードポイント』で還元するなどお買い物をする人が快適でお得になるということだけを考えた」

 ――3年後には100万人への発行を目標としているが状況は。

 「日本でも急激にキャッシュレス化が進んでいるが、ジャパネットのお客様はクレジットカードを持っていない方の比率が現状、非常に多い。カードを保有されないお客様の多くは『クレジットカード=借金』といった悪いイメージを持たれている方が少なからずいらっしゃる。こうしたイメージをジャパネットが丁寧にメリットなどをお伝えすることで、クレジットカードを手にして頂いて、キャッシュレス社会で一緒に楽しんで便利に買い物して頂けるという世界感を作っていきたい。現状では『ジャパネットカード』についてやみくもにPRしているわけでなく、基本的にはお客様が商品を購入された際に、コールセンターのコミュニケーターが薦めたり、商品同梱で告知チラシを入れたりしながら徐々に広げている。状況などを見ながら、今後、お客様へのPRを拡大していこうと思っているため、3年以内に100万件という数字は夢の数字でなく、現実的な目標値として実現していきたい。そしてその次のステップとして例えば特典を増やしたり、上位クラスのカードとして、ゴールドカードを発行したりなど、お客様の満足度を高める取り組みを進めていきたい」

 ――ジャパネットサービスイノベーションとしての今後の方向性は。

 「まず今の3つの事業を軌道に乗せることが優先だ。3事業とも『いける!』と感じている。あとは品質の増強が必要だ。それぞれの事業でキャリアを持った方を採用しながら現在は少人数で実行しているため、少しずつ人材採用や設備を強化して組織を大きくしながらサービスを拡充していきたい。この3つの事業を最優先で展開していくが、当然、新たなその次の事業も展開していきたいとは思っている」

 ――次の事業とは。

 「当社が取り扱うべきものの基本軸は『ジャパネットたかたが販売する意味のあるサービス』だ。他の会社でも提供できるようなサービスはわざわざ当社がやる必要はない。オリジナリティがあり、ジャパネットのお客様との親和性が高いという条件などをクリアしたもののなかで、やるべきものがあれば積極的にチャレンジしたい。まだ決めてはいないが、”次はこれかな”というものは頭の中にいくつかあり、1つ2つほど検討している」

 ――ジャパネットの新規サービスを担うという役割は責任重大だ。

 「もともと私はジャパネットたかたで家電のバイヤーを担当しており、『家電エコポイント』の影響などで爆発的に商品が売れた時もものすごく大変だったが、違った意味で今の方が大変かもしれない(笑)。今後もよいサービスを提供できるようがんばりたい」



 
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