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行政処分増加、募る反発<上半期の通販業界を振り返る> 電子決済、EC市場に進出

2019年 7月18日 13:35

 2019年も半年を経過し、早くも折り返り地点を迎えた。今上半期の通販業界を振り返ってみると、通販企業への行政処分が例年以上に相次いで起きたほか、大手通販サイトからの個人情報の流出など、ネガティブな話題が数多く目についた。その一方で、話題となっている電子決済のネット対応が各社で始まるなど、新時代の到来を予感させる動きも見られており、新たなサービス開発の動きは今年も順調に進んでいる。この上半期で通販業界に起きた主な出来事を振り返ってみる。
























 




買収・統合で進む業界再編

 買収・統合などの業界再編を巡る企業の動きについて見てみる。まず、アパレル関連ではニッセンが大きいサイズの女性向け通販を行うマロンスタイルを、ロコンドが千趣会からモバコレをそれぞれ買収。モバコレについては6月より「ロコンドガールズコレクション」に集約して販売をスタートしている。

 食品分野で活発だったのがオイシックス・ラ・大地の動きで、5月にはミールキット販売のThreeLimes'Incを、さらに「DEAN&DELUCA」を運営するウェルカムを立て続けに子会社化。ノウハウの共有を図り、同市場での事業拡大を進めている。加えて、7月にはNTTドコモと協業して、最短5分で主菜と副菜が作れるメニューを週に1度、5日間分届ける新サービスを開始している。

 ギフト業界でも千趣会によるベルネージュダイレクトの一部株式譲渡やオンワードホールディングスによる大和の買収などがあった。オンワードでは既存のファッション・ライフスタイルに、新たにギフトの新事業領域を加えることで、消費者への提案の幅を広げていくという。

 4月にはルクサとKDDIコマースフォワードが合併してauコマース&ライフが誕生。また、TBSグロウディアが、通販事業を展開するグランマルシェを含むTBSグループ7社を吸収合併するなど、各所で再編に向けた動きが見られている。

処分企業と行政で訴訟に発展も

 この上半期、最も目立ったのが行政処分のニュース。主だったところでは、まず、1月にはぴねすくらぶが酵素などを配合した健康食品の痩身効果に関する表示内容について景品表示法に基づく措置命令を受けた。6月には大手百貨店の高島屋も自社通販サイトで販売している化粧品などで原産国の不当表示があったとして措置命令を受けている。

 一方で、同法の運用を巡っては年々厳格化が進んでいることも指摘されており、処分に不満を抱く企業と行政との間で訴訟に発展しているケースも見られている。3月におせち販売で不当な二重価格表示を行っていたとして有利誤認で処分を受けていたライフサポートは、6月に措置命令の取り消しを求めて消費者庁を提訴。業界での規制の在り方を左右するニュースとしてその行方が注目されている。

 また、行政関連の話題として、近年、社会的にも高い関心となっている「GAFA」と呼ばれる大手デジタル・プラットフォーマーの取引慣行に対して、公正取引委員会が実態調査に着手。取引の透明化に向けて法規制による整備を視野に入れ動き出している。

 企業の不祥事という観点では、今上半期も多くの個人情報流出が見られた。4月にはJR九州が最大で8000人分の個人情報を、5月にはファーストリテイリングが46万件分の顧客アカウントを、ヤマダ電機が最大で3万7000件分のカード情報を、それぞれ自社の通販サイトが不正アクセスを受けたことで流出。中小ではなく大企業による大規模な情報流出が相次いだということもあって、個人情報管理の重要性を改めて認識するニュースとなった。
 
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