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有店舗企業の通販戦略 良品計画(中) "着せて"見せるが奏功

2010年 7月11日 19:50


衣料品売上高が前年比25%増


有店舗小売業界だけにとどまらず通販業界にまで及んだ、2009年のアパレル不況。

 日本通信販売協会(JADMA=事務局・東京都中央区、宮島和美会長)によると、2009年度の「衣料品」通販売上高は前年度比5・5%減の3431億8900万円。前年比を上回った月が1度もなく、年度を通じて厳しい結果となった。特に、下期の暖冬が追い討ちをかけたように、冬の定番品でもある高価格帯のアウター類の出荷が低迷。アパレルを取り扱う通販各社では悲鳴が上がっていた。

 しかし、その状況下において良品計画(本社・東京都豊島区、金井政明社長)のネットストアの売り上げを支えたのは「衣料品」だった。最大の理由はサイト内に導入した新コンテンツ「コーディネートカタログ」にある。
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 同コンテンツは、それまで衣料品単品だけの掲載だけで終わっていたページ構成を、根本から変更したもの。「婦人」「紳士」「子ども」「マタニティ」とカテゴリー分けして、それぞれのページ内でオススメの洋服着こなしパターンを、モデルに着せて全身画像で表示するサービスだ。

 さらに「部屋着」「外出用」といったシーン別や「リネン(麻)」「オーガニックコットン」のような素材別で検索することも可能。画像はクリックすると拡大し、正面、後ろ、横向きと、モデルが立つポーズも変わる。閲覧者に衣服の印象を深く伝えるように工夫している。

 コーディネート画像は、1カテゴリーにつき100種類近くを掲載。開始当初は半分程度だったが、モデルに着せて見せる効果は非常に高く、組み合わせが多いほど閲覧者にクリックしてもらえることに気がついたという。

 また、ヘアターバンやバッグなどの服飾雑貨についても、顧客から大きさが伝わりづらいとの声があったため、同コンテンツの中でモデルに持たせて1つのコーディネート例として掲載。同社では「なるべく、雑貨と衣服とをかみ合わせて見せていくように変えていった」(web事業部)とする。

 その結果、昨年9月頃から衣料品の売り上げ伸び率が上期を上回るようになり、最終的には2010年2月期の商品別売上高で前年比約25%増という高い伸びを示した。まさに、ネットストアの売り上げけん引役となったのだ。

 実店舗とネット販売の絶対的な違いは、顧客と対話ができないこと。しかし、画像やテキスト表現でそれを補うことができるのがネットの力。実店舗のスペースではディスプレイできないほどの数の衣料品を、消費者に見やすい形でうまく視覚表現できたことが、今回の結果につながったとも言える。

(つづく)


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