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【千趣会の中計の出だしは?】 構造改革進展で上期黒字化、商品型数削減など事業規模を適正化、新客開拓と定着化に課題

2019年 8月 1日 13:24

 千趣会は、新中計の出だしとなる第2四半期(1~6月)連結業績が通販事業の規模適正化方針やベルネージュダイレクトとモバコレの連結範囲除外の影響により、売上高は前年同期比23・3%減の438億8800万円だった。

 利益面は、売上原価率低減や全般的なコスト削減により営業利益は5億5900万円(前年同期は11億3800万円の損失)だったほか、固定資産売却益や投資有価証券売却益の計上などで四半期純利益は79億円(同11億5300万円の損失)で、営業利益、純利益ともに黒字転換した。

 千趣会は2年連続の大幅赤字を受けて昨年11月に経営陣を一新。新体制下でノンコア事業の整理や原価率改善、販管費削減などに取り組んできたが、「半期で成果が出てきている」(梶原健司社長)とする。

 通販事業は抜本改革の一環として商品型数削減など事業規模適正化を推進したほか、モバコレの売却やベルネージュダイレクトが連結子会社から外れたことで、売上高は前年同期比30・8%減の309億8200万円となった。一方、仕入原価率減やバーゲン販売比率減、人員体制見直しによる固定費削減で営業利益は3200万円(前年同期は16億2600万円の損失)となり、通販事業も黒字化した。

 商品型数はウェブだけで展開する商品を中心に利益、品ぞろえ双方の観点から削減を行い、当該期は前年同期から44・2%減らしたが、1型当たりの売上額は同47・7%増加した。一方、プロモーション費用の抑制やウェブ上の流動顧客を値引きクーポンなどで開拓する取り組みを控えたこともあり、購入者数は前年同期比28万人減の155万8000人、新規購入者数は同2万5000人減の26万5000人となり、課題を残した。通販事業の売上高は約138億円減ったが、「ほぼ計画通り」(梶原社長)としている。

 当該期は、収益基盤の再構築を目指してオペレーション改革を推進。在庫適正化ルールの策定と運用を行った。7月以降は会員基盤の再構築に向けて実効会員数を維持できる会員獲得・育成モデルのテストを行うとともに、魅力的な商品の開発に力を注ぐ。

 通期業績は、「実効会員の開拓と継続利用率向上に向けた仮説検証を繰り返す必要がある」(梶原社長)とし、売上高は当初予想を50億円下回る890億円を、営業損失は想定よりも収益性が改善しているものの、安定的な顧客基盤構築に向けて顧客接点の強化などに取り組むため、7億円の損失は据え置く。純利益は当初計画を9億円上回る63億円を予想する。

中計最終年に営利40億円へ

 今期からの3カ年中期経営計画では、新たなマーケティング戦略として、従来の商品軸から顧客軸へとシフトし、顧客のライフステージに合わせた顧客接点の強化を図るほか、カタログの持つ強みの最大化などに取り組み、最終年度の売上高は920億円を計画する。

 ライフステージに合わせたマーケティングについては、同社は子育てをきっかけに顧客となる割合が多いことから、カタログの産院設置を再強化するほか、インテリアのコーディネート力を生かしたホームステージング事業を本格化して引越しやリフォーム需要を取り込む。また、子育てを終えて自分磨きのステージに移る55歳以上の世代に向けて今秋にも新カタログを創刊する。

 カタログはジャンル横断型コンセプトの媒体を始めているほか、8月にはカタログとウェブをつなぐ新スマホアプリの導入を予定する。また、新客開拓に向けては外部モールからの集客ルートを構築したい考えで、独自商品の売り場として楽天やアマゾン、ヤフーなどのモール出店を拡大するほか、育児商品をメインに中国を軸とした海外事業の強化を図る。

 加えて、女性のライフイベントに対応する事業では、ブライダル事業は周辺事業の展開、子育て支援事業では学童保育事業を始めるなど、女性が結婚や妊娠、出産、育児期を笑顔で過ごすためのサービスを強化する方針だ。

 一方、中計の利益面では、原価率改善と販管費削減によって最終年度は営業利益40億円を目指す。とくに、重点取引先との協業を強め、商品開発力の強化と効率化、生産ロット引き上げによる原価低減を狙う。

 
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