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「“仮想化”で携帯業界に革命」<「Rakuten Optimism 2019」から> “ウォークトゥギャザー”掲げる

2019年 8月29日 13:15

 「Rakuten Optimism 2019」では7月31日、楽天の三木谷浩史会長兼社長(=写真)がオープニングキーノートで講演した。抜粋して紹介する。

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 「楽天市場」を始めた1997年におけるインターネットのスピードは、速くても28・8キロbpsだった。現在のスマートフォンの4G回線であれば10~20メガbps出る。97年の有線回線と比較すると、約1000倍高速化した。デバイスも、デスクトップパソコンからラップトップになり、スマホが出てきて、最近ではウエアラブルデバイスやIoTなど、何でもインターネットにつながる時代が到来した。

 今後は5G時代になり、4Gから1000倍速くなる。つまり、創業当初と比較すると、インターネット回線は100万倍速くなった。例えるなら、人力車から新幹線、ジェット機になったようなスピードアップがなされるくらい、情報通信網は進化しているわけだ。

 この間、楽天市場を中心とする当社のサービスも拡張してきた。会員数も約1億人で、日本のほとんどの人が楽天市場で買い物したり、楽天カードに加盟したり、楽天証券で株取引をしたり、国内70以上のサービスのどれかを使っている。
 技術も進歩しており、創業当初は紙の代替としてのインターネットショッピングだった。しかし、ネットワークの超高速化、人工知能(AI)の発達がある。サービス単体で勝負するのではなく、技術的なプラットフォームをシェアリングしないといけない。当社としては、世界でブランドの統一化を進めている。楽天は日本のショッピングブランドから世界のブランドになりつつある。

 回線の高速化は、抜本的な社会構造の変化、さらにはサービスの概念を大きく進化させていくことになるだろう。もしかしたら、言葉の壁もAIによって飛び越えてしまうかもしれないし、国の定義も大きく変わるかもしれない、それくらいのインパクトがある。

 フィンテック分野ではキャッシュレス化が進んでいるが、当社が実験したのは「スタジアムの完全キャッシュレス化」だ。実は社内でもなかなか賛同を得られなかったが、楽天ゴールデンイーグルス(仙台)とヴィッセル神戸(神戸)の本拠地では現金が一切使えないようにした。結果、飲食の購入金額が仙台は前年同期比26・7%増、神戸は同50・2%増になった。現金のハンドリングや支払いの待ち時間など、物理的な摩擦が消費をブロックしていることを表している。

 こうした取り組みではさまざまなデータが入ってくるし、ロイヤリティープログラムも導入しやすくなる。当社では「eコマース」を発展させた「デジタルコマース」という言葉を使っている。今までの「ネット販売」という概念から、リアルな店舗までを含めた「デジタルコマース」へと世の中が進化している。日本でも20年以内、もしかしたら10年以内に「本当にキャッシュを見ない」世界が実現するのではないか。

 いよいよ今年10月から携帯キャリア事業「楽天モバイル」を始める。日本の携帯電話料金は世界レベルでみると非常に高い。なおかつ、サービスの進化がほとんどない分野に、楽天グループが殴り込みをかける。当社がやろうとしている根本的な発想は「モバイルネットワークの民主化」。5Gも早く導入することで、誰もが安価に高速で新しい使い方ができるモバイルネットワークを実現しようという取り組みを始めている。

 今までの携帯電話のネットワークは、固定回線の通信機器をモバイル用に変えて繋いできた。当社は完全仮想化を実現する。

 これは、ハードウエアをソフトウエアに変えるということ。ハードウエアはちょっとしたサービスの変更をするために取り替えなければいけない。しかし、ソフトウエアならさまざまなサービス変更も簡単にできる。よって「完全」に仮想化することによって、ネットワークの柔軟性、サービスの柔軟性、投資金額の抑制、ネットワークのメンテナンス費を大幅に下げることができる。

 これは世界のネットワーク技術者の夢だった。しかし、既存の携帯キャリアは3社で占めているので、それをやるインセンティブがあまりなかったわけだ。当社は完全仮想化技術を1年半で完成させた。世界最大手通信会社のCEOから、以前は「失敗するだろう」と言われていたが、先月会った際には「実現しそうだな」と言われた。実現すれば、今までの通信ネットワークの常識がひっくり返る。iPhoneがデバイス上の革命なら、楽天モバイルが行っているのは道路自体に革命を起こすこと。これをあと2カ月でできることを世の中に証明してみせる。

 今回のイベントのテーマは「5G」だ。超高速・超大容量であり、多数同時接続、そして低遅延が実現できる。低遅延の1つのポイントは「モバイルエッジコンピューティング」。各地に設置したエッジサーバー(仮想コンピューター)で処理する。楽天モバイルは全国4000以上設置しており、2~5キロ以内に皆さんが大規模なコンピューターを持っていると思っていい。

 そうなると端末側の役割は減っていく。例えば最新ゲームを遊ぶ場合、ダウンロードに時間がかかるし、端末の性能も重要なのでスマホで楽しむのは難しかった。エッジ側で処理すれば端末ではほぼ何もしなくて良い仕組みとなるのでスマホでも遊べる。エッジコンピューティングが5Gの世界で大きく世の中を変えるのではないか。

 また自動運転に関しても、10年以内に人を介さない仕組みが実現するだろうが、コンピューターでは処理できないトラブルなどもある。そういうときに、運転センターから5Gを介して人間が運転を代行する。4Gでは遅すぎて無理だが、遅延がほぼない5Gなら可能だし、エッジコンピューティングによって精度もどんどん上がっていくだろう。

 未来は今までの技術の延長線には必ずしもない。世の中の構造が変わろうしており、通貨が無くなるかもしれないし、国という考え方も変わるかもしれない。言葉の壁もAIで乗り越えられるかもしれない。自動運転が実現し、医療の進化で120歳まで生きられる時代が来るかもしれない。確実にこの数年で大きく変化するだろうが、1つの起爆剤となるのが5Gだ。楽天グループは「ウォークトゥギャザー」というキャッチフレーズを掲げることにした。楽天だけが進化するのではなく、ビジネスパートナーや消費者とともにより良い未来を築く、つまり「ウィン・ウィン・ウィン」の関係を、いかに継続可能な形で実現するかを真剣に考えていきたい。
 
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