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ヤフー ビッグデータで企業支援開始、商品開発や販促をサポート、レコメンド機能は延期

2019年11月11日 13:20

 ヤフーは10月31日から、同社が運営するサイトやアプリなど各種ウェブサービスで蓄積したビッグデータを活用して外部の企業などが消費者のし好を確認しながら、効率的に商品開発や販促活動などを行えるように支援するデータソリューション事業を開始した。同サービスを活用することで企業は生活者の興味・関心を捕捉でき、新たな商品やサービスの企画を立てられたり、地域の人流を把握して新店舗の出店計画に活用できるようになるという。なお、当初は同時スタートを予定していた通販事業者向けに、運営する通販サイト上に顧客に最も適した推奨商品を表示するレコメンドエンジン提供サービスは個人情報の取り扱いに対し世間の目が厳しくなっている状況を踏まえ、開始時期を延期した(写真㊤、右から川邉社長と佐々木CDO)。

 新サービスはヤフーがポータルサイト上などで展開するウェブサービスを通じ、蓄積しているデータを統計化したいわゆるビッグデータを活用して、企業や自治体など利用企業・団体が商品・サービスの開発やマーケティング、イベント企画などを支援するもの。スタート時点では、利用企業・団体がブラウザー上で簡単に検索データと位置情報といったヤフーのデータを使って調査・分析ができるダッシュボードサービス「DS.INSIGHT(インサイト)」と新店舗の出店計画支援やカスタマージャーニー分析、競合分析などダッシュボードサービスでは提供していないより踏み込んだデータ分析を行うコンサルティングサービス「DS.ANALYSIS(アナリシス)」の2つのサービスを実施した。

 「DS.インサイト」はヤフーのウェブ検索での検索情報など各種データがランキング形式や時系列推移、関連語、性年代などの属性分布などで閲覧でき、生活者の興味関心を可視化でき、新たな商品やサービスの企画開発を支援する「DS.INSIGHT People」と地図アプリなどヤフーが提供する各種アプリが蓄積する位置情報などを用いて特定地域の生活者の実態や動きを年代や検索傾向をもとにした興味関心など属性別に人流を可視化でき、小売店の出店計画やイベント企画、街づくりなどに活用できる「DS.INSIGHT Place」の2サービスを実施する。利用料金は「DS.インサイト」が1ライセンスで月額10万円。10ライセンスで同50万円、20ライセンスで同80万円。「DS.アナリシス」は定額制ではなく案件ごとに個別見積もりとなる。

 データ分析サービスの効果性についてヤフーでは三越伊勢丹が20~30代女性をターゲットに衣料品やファッショングッズを展開するオンライン限定ブランド「arm in arm(アームインアーム)」で実施した商品開発に関する実証実験の成果などをあげ、ターゲット層の検索データなどから「抱っこ紐をするとポケットが使いにくい」「自転車に乗りにくい」など服装に関するトレンドや悩みを導き出し、ポケットの位置を下にずらしたり、スリットを入れるなど工夫したロングスカートの開発にこぎつけ、9月25日に発売後、初週の販売数が同ブランドで過去一番売り上げたスカートと比較して約2・6倍となったとして、データを活用したビジネス支援の効果性を強調するなどした。

 今後、データ提供サービスは半年に1回、大規模な機能追加を行っていく考えで、直近ではAPIでのデータ提供などを実施していく考え。

 なお、ヤフーでは当初、EC事業者などを対象に利用企業の顧客情報に、ヤフーのビッグデータをあわせたり、AI技術を用いて利用企業のサイト上に顧客に最も適した推奨商品を表示するレコメンド機能の提供も予定していたが、その場合、統計データ以外にパーソナルデータを使用する必要があり、昨今の個人データ活用に対する世間の風潮を鑑みて延期することにしたとしており、開始時期は「未定」(同社)としている。また、レコメンドエンジンの提供に関連して実施予定だったビッグデータを基に将来の需要予測などを行い、メーカーや小売事業者などが価格や在庫の最適化などに活用できる支援サービスに関してもスタート時期は「未定」(同)としている。

 
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