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景表法処分取消訴訟 アマゾンが敗訴、不当な二重価格、控訴は「慎重に検討」

2019年11月21日 14:49

 アマゾンジャパンが消費者庁を相手取り、景品表示法に基づく措置命令の取り消しを求めていた訴訟は11月15日、東京地裁がアマゾンの請求を棄却した。判決に対し、アマゾンは「内容を慎重に検討し、今後の対応をしてまいります」とコメント。控訴の有無は明らかにしていない。控訴期間の2週間以内に手続きがなければ、判決が確定する。
 
 消費者庁は2017年12月、アマゾンに対し、不当な二重価格表示で景表法に基づく措置命令(有利誤認)を下した。事務用品大手のプラスから仕入れ、直販していた「クリアホルダー(100枚入り)」で「参考価格9720円(90%オフ)」など、実際の販売価格と比較して安いかのように表示。だが、「参考価格」は製造業者が社内の商品管理上、便宜的に定めた価格で消費者への提示を目的としていないものだった。

 処分を不服としたアマゾンは昨年1月、処分取り消しを求め消費者庁を提訴。裁判では、景表法における「表示主体者」が争われた。

 アマゾンが運営するサイトは、「ベンダーセントラル」と呼ばれる管理画面を通じて仕入先の事業者が自ら商品登録する仕組み。「メーカー希望小売価格」がある場合、仕入先が任意で入力する。これが比較対照となる「参考価格」になる。登録がプラス、販売がアマゾンであるため法廷では、プラスの供述を背景に消費者庁がアマゾンを「表示主体者」とする一方、アマゾンは「むしろ製造者(プラス)こそ表示主体者」と主張していた。

 ほかに処分対象となった「ブレーキフルード」、「甘酒」の表示も、その取り消しを争った。参考価格は、いずれも製造事業者が設定したメーカー希望小売価格より高く設定され、割引率が高く表示されていた。

 アマゾンは、参考価格となる情報の入力は、マーケットプレイスの出品者の任意であり、アマゾンは「取引の場を提供しているに過ぎない」と主張。表示内容を決定できる立場にないとして処分の取り消しを求めていた。

 判決が確定すれば、アマゾンは、サイトで扱う商品について、これまで以上に厳格な管理が求められる。数億点もの商品を扱っているとみられ、膨大な管理コストが発生する可能性がある。

 消費者庁の措置命令をめぐっては、ほかに17年3月、優良誤認で処分されただいにち堂、今年3月に有利誤認で処分されたライフサポートが処分取り消しを求め係争中。今年7月、優良誤認で処分された大正製薬は10月、処分を不服として審査請求を行っている。

 
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