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消費者庁 財宝に特商法で指示、「お試し100円」と定期購入勧誘

2019年12月16日 13:30

 「お試し価格100円」などと訴求し、定期購入に持ち込む”定期縛り”を対象にした初めての処分とみられる。消費者庁は12月10日、温泉水や健康食品の通販を行う財宝に対し、定期購入をめぐる勧誘行為の特定商取引法違反で再発防止を指示。アウトバウンドで定期購入の勧誘を行っており、同法の電話勧誘販売業者として処分を受けた。

 「財宝の黒酢カプセル」、「いきいきグルコサミン」などの健康食品をアウトバウンドで販売。勧誘に際し、「1つが100円でお得なので試してみませんか」などと説明。消費者が購入しないと伝えても「100円なのでとりあえず試して」「送るだけ送らせて」などと勧誘を継続して購入に至らせるなどしていた。

 だが、実際はお試し商品の購入が定期購入に承諾したことになることや、2回目以降に提供する商品の販売価格を故意に説明していなかった。

 消費者庁は、違反行為の発生原因の検証と報告、再発防止に向けたコンプライアンス体制の構築を指示した。

 財宝は、自社コールセンターでインバウンド、アウトバウンドを実施。今年6月、調査を受けた時点で「消費者保護の観点から定期購入のアウトバウンドはすぐに中止した」とする。

 現在も新規獲得や既存顧客に対する歳暮商品等のアウトバウンドは継続。一方、処分対象となった商品は、社内規則の改訂やオペレーターの教育などコンプライアンス体制の構築、消費者庁への報告など再開のめどが立ち次第、販売を再開するとしている。売り上げに占める定期購入の勧誘の規模は「それほど大きくない。インバウンドが中心」としている。

 電話による口頭で勧誘するアウトバウンドは電話勧誘業者として規制を受ける。今回も電話勧誘業者を対象にした特商法第21条第2項(商品の販売価格等の事実不告知)が適用された。

 ただ、通販でも「初回無料」「送料負担のみ」などと広告訴求しつつ、複数回の定期購入を要件とする”定期縛り”をめぐる問題は顕在化している。特商法は16年の改正で定期購入に関する表示義務を追加。申し込み確認画面で購入総額の表示、取引条件の明示を求めるガイドラインを改正した。”定期縛り”を巡る問題に対する監視の目が厳しくなっていることを認識する必要がある。
 
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