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楽天の「送料無料」問題で公正取引委員会 停止命令申し立て取り下げ、“一律導入の延期”受けて

2020年 3月12日 13:40

 公正取引委員会は3月10日、楽天に対して起こしていた、東京地方裁判所への緊急停止命令の申し立てを取り下げた。公取委では、楽天が仮想モール「楽天市場」に導入を予定している、送料無料となる購入額を税込み3980円で全店舗統一する施策が出店者に不利益をもたらすとして2月28日に緊急停止命令を申し立てていた。
 
 楽天では6日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全店舗への一斉導入を取りやめると発表した。これに対し公取委は「出店事業者が参加するか否かを自らの判断で選択できるようにすることを公表し、東京地裁における緊急停止命令に関する手続きにおいてもその旨を表明した。当面は一時停止を求める緊急性が薄れるものと判断した」とし、申し立てを取り下げた。

 公取委では、同施策は楽天が出店者に優越していることを利用し、不当に不利益になるよう取引条件を変更しているもので、独占禁止法(優越的地位の乱用)に違反する疑いがあるとみており、今後も審査は継続するとしている。

 これを受け楽天は「今後も店舗とのコミュニケーションを深めながら進めていき、楽天市場の送料体系の分かりやすさという目的に向かって改善をしていきたいと考えている。今後さまざまな施策を進めていくが、新型コロナウイルス感染拡大の予測が困難なため、さらなる施策については状況を踏まえ、決まり次第順次連絡する」(EC広報課)とコメントしている。

 緊急停止命令の申し立てを巡っては同日午前、一部出店者が結成した任意団体「楽天ユニオン」が記者会見を開催。楽天が打ち出した一律導入の延期について、勝又有輝代表が「新型コロナウイルスを理由として、裁判所による緊急停止命令を避けるための施策。除外申請をしなければ強制的に切り替わってしまうだけではなく、作業も煩雑だ」と批判。さらには顧問弁護士である川上資人弁護士が「店舗に通知されたサポートニュースを読む限り、楽天は『送料込みライン』をいずれ全店舗に導入するつもりだ。公取委は間違っても申し立てを取り下げることのないようお願いしたい。楽天がすべきことは、確約手続きをして排除措置命令を回避すべきだ」と訴えていた。

 申し立ての取り下げを受けて、勝又代表は「緊急性が薄れたということで今回の事態となったが、公取委は排除措置命令に向けた動きは継続しており、そちらに期待している」とコメントした。

 楽天に対して厳しい姿勢を示していた公取委が、一転して申し立てを取り下げる形となったが、独禁法に詳しい弁護士は「楽天側が違法性のあることを認め、施策を見直して(競争上の問題の早期解決を目的とした)確約手続きへと進むのではないか」と推測する。

 
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