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外食業、生産者を通販でサポート<コロナ禍で広がる販路支援> オイシックス、ジャパネットらが着手

2020年 5月14日 11:48

  新型コロナウイルス感染症の増加に伴って、外出や営業の自粛が続く中で、売り上げの目減りや販売先を失い、困窮する飲食店や小売店、生産者らに自らの”販路”を活用してサポートする動きが通販各社の中で出てきている。コロナ禍の現状において、極力、避けねばらない人と人との接触が基本的になく、最も理にかなった販売手法である通信販売とその販路を持つ通販事業者の支援の手が広がり始めている。各社の試みと現状を見ていく。






 外食店の商材をネット販売

 食品EC大手のオイシックス・ラ・大地は休業中の外食業の支援に乗り出している。本来は店舗で提供される食材を宅配サービス「オイシックス」のサイトで販売。4月15日に飲食店の「塚田牧場」からスタートし、現在は合計3事業者の商品を取り扱っている。いずれも外食を制限されている状況の中、食卓のマンネリ化を解消できる商品として顧客に好評となっているようで、緊急事態宣言が解除となっても継続していくという。

 外食業の食材の販売は「オイシックスおうちレストラン」の名称で展開。定期会員以外も購入が可能なオイシックスの高級フルーツをはじめとした比較的高額な食品を紹介するコーナー内で販売している。第1弾の「塚田牧場」に続き、4月22日に串カツ店の「串カツ田中」、5月1日には千葉県木更津市にある体験型農場施設「KURKKU FIELDS」内の飲食店の食材を提供している。

 各飲食店とも4月上旬から休業(一部除く)を余儀なくされて、本来、店舗で提供するはずの食材をロスさせることを回避するため、オイシックスが通販サイトで支援している。

 現在販売しているのは、「塚田農場」の食材が「黒さつま鶏(地鶏)」の食べ比べセット(税・送料別4950円)、「串カツ田中」では「お家で楽しむ串カツセット(20本)」(同2960円)。また「KURKKU」の食材では、「シャルキュトリーセット(ジビエソーセージセット)」(同6000円)を販売している。

 4月7日の緊急事態宣言、そして5月4日の5月末までの延長決定と、新型コロナウイルス感染症対策で外食業は一部地域を除き以前のような営業が行えない状況が続いている。ただ、オイシックスの今回の試みは緊急事態宣言の解除後も続けていくという。「終了は想定していない」(同社広報)とし、顧客の評判が良いことも加わり販売を継続していく考え。緊急事態宣言が解除になっても「今まで(の外食のスタイル)通りに戻るとは考えられない」(同)からだ。

 そして顧客からのニーズの高さも理由のようだ。各種食材のお取り寄せや飲食店でのデリバリー・テイクアウトなどを利用する家庭が増加し、そのような食材・食品を購入するスタイルが今後に一般化していくことも考えられる。今後は3事業者の別の商材の販売も検討していく。なお、同3社以外の事業者の飲食店の食材の取り扱いについては明言を避けている。

 また、外食業以外にも牛乳生産者、新型コロナウイルス感染が急速に広がった北海道の物産などの事業者の支援も3~4月に行っている。牛乳販売を例にすれば、急な一斉休校に伴う学校給食での牛乳の生産調整が行えなかったため一時的な支援として取り組んだもの。生産者支援とフードロス回避を目的にしており、飲食店だけでなく生産者の支援についても今後とも検討していくという。

「復袋」を出店者が販売

 楽天市場では、複数の事業者が「ふっこう復袋」を販売している。これは、複数の食品事業者から仕入れた商品を詰め合わせて販売する福袋で、新型コロナウイルス感染拡大からの「復興」をかけたネーミングとしている。買い取り形式なので、過剰在庫に困っている中小事業者がすぐに現金を得られる点がメリットだ。「北海道お土産探検隊」を運営する、山ト小笠原商店の小笠原航氏が発案した。例年開催される北海道物産店が中止となって行き場がなくなった商品をまとめた「北海道ふっこう復袋」を販売し、人気となっている。

 同様の動きが楽天市場内で広がっている。宮崎県都城市が楽天市場内に設けた公式オンラインショップ「極上!みやこのじょう!」では、「みやこのじょう!復袋!」を販売している。サイトを運営している九南サービス(「タマチャンショップ」を楽天市場に出店)が企画したもので、「米・野菜詰め合わせセット」など6商品を扱っている。都城市によれば反響は大きく、発売した4月23日~26日の4日間で約1200万円を売り上げた。

 また、大木化粧品が運営する大分県の公式オンラインショップ「おんせん県おおいたオンラインショップ」では、4月7日にショップ内に特別ページを開設、送料込みで2500~3万円の復袋を販売している。

 県が募集し、出品を希望する事業者が同社に直接連絡する形だ。小坂越司社長は「新規に取り引きする事業者の中には、最初は疑心暗鬼というところもあるが、復袋は売り始めた翌日から売れるので、期待以上の結果になっているのではないか。事業者間でも『おんせん県おおいたに出せば売れる』というくちコミが広がっているようだ」と話す。

 さらに小坂社長は「あくまで復興が目的なので、終息後を見据えることが必要。今回は安い価格で販売しているが、売り逃げは絶対にしない。新規の事業者に関しても、今回の騒動が落ち着いたら、ページを作り込んでちゃんとした値段で販売する、ということを説明している。今回の企画を大分県や大分県産品の良さを消費者に分かってもらうきっかけにしたい」と意欲的に語る。

 復袋は1日平均200件ほどの注文があるという。小坂社長は「小笠原さんがいろいろな人に声をかけたということもあるが、復袋のヒットは『良いことは皆で共有しよう』という楽天市場ならではの文化から生まれたものだと思う。困っている事業者の力になれれば、という仲間がいるからこその盛り上がりではないか」とうなずく。

 楽天では4月28日、地方自治体向けにオンラインで勉強会を開催、担当者に大木化粧品の取り組みを紹介した。地域創生事業の塩沢友孝ヴァイスジェネラルマネージャーは「大分県や都城市のように、楽天市場の出店店舗が公式ショップの運営を受託しているような場合は、すぐに事業を立ち上げることができる。こうした公式ショップが楽天市場内にない場合は、公募をしたり、当社が紹介したショップと随意契約をしたりという形で、各自治体もスピード感を意識している。自治体は本気で取り組んでいるので、当社としてもそれに応えられるようにしたい」と話す。

全国の特産品をテレビ通販

 ジャパネットたかたでは「生産者応援プロジェクト」として全国の生産者から直接仕入れた食品の販売を行っている。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で販売店などの営業縮小に伴い、販売先が減少した生産者を支援するため、「物産展が中止になって困っている生産者がいる」などのニュースや情報などをもとに直接、当該生産者に連絡して全国各地の特産品などを仕入れ、在京キー局を含めた同社が保有するテレビ通販枠を軸にテレビショッピングで紹介、また、特設サイトでも販売している。

 まず、4月22日から「松坂牛すきやき用切り落とし」など三重県産の3つの商品を販売したことを皮切りに、同23日には京都府産の「ぽーくハンバーグ」、4月30日と5月2日には北海道産の「いくら醤油漬け」など4商品、同じく5月2日に秋田県産の「比内地鶏トクトクセット」など2商品、5月6日には宮城県産の「牛タンスライス」など3商品、5月9日には徳島県産の「干物セット」など3商品をテレビ通販で紹介、販売した。三重県や秋田県、宮城県などの県産品の紹介の際には各県の県知事が番組にコメントを寄せるなど、ジャパネットの試みに対して強い期待を寄せているようだ。

 このほか、「下関ふく料理セット」など山口県産の商品を紹介したほか、5月下旬には滋賀県や佐賀県の特産品の紹介も予定している。

 実際の売れ行きについても三重県産の松坂牛は販売日当日中に用意していた商品数を売り切ったほか、北海道産の「たらこ・明太子の特切れ子セット」や秋田県産の「秋田牛部位別食べ比べ」などもすでに完売しており、反響も上々のようだ。  ネット販売を軸に販路に困る生産者や小売店の商品を販売して支援する試みは広がってきているが、テレビ通販というインターネットではリーチしにくい層を含めてより広い層に訴求できる媒体で紹介し、生産者を支援する取り組みもまた注目されそうだ。
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