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佐川グローバルロジスティクス EC向け物流業務稼働、新センターに自動化設備導入し

2020年 5月21日 10:11

 SGホールディングスグループで国内ロジスティクス事業を展開する佐川グローバルロジスティクスは5月末にも東京・新砂のグループの大規模物流センター「X(エックス)フロンティア」で複数のEC事業者向けに最新設備により物流業務を提供する「ECプラットフォーム」を本格的に稼働する。物流ロボットや自動梱包機などを活用し、効率的な通販商品を出荷するサービス。中小規模のEC事業者でも大手並みの物流サービスを実現することで通販事業の展開を支援していく。

 ECプラットフォームは、7階建てのXフロンティアの5階に専用スペースを設け提供。同5階には佐川グローバルロジスティクスのほか、SGHグローバル・ジャパンが入居するが、佐川グローバルロジスティクスはフロア全体の3分の2に当たる約2万790平方メートルを使用し、うち約1万4850平方メートルをECプラットフォーム用に割り当てている。またECプラットフォームの在庫キャパシティーは207万点という。

 ECプラットフォームでは、主に入荷、出荷、梱包の3工程を各種の物流ロボットや自動化機器で行えるようにしている。入荷と出荷においては、自動搬送ロボット「EVE(イブ)」42台と専用棚1300台を活用し、作業を行う。入荷と出荷はそれぞれ区画を分けているが、繁忙などにより入荷区画も出荷用に使用できる設計にしている。イブで入荷と出荷の作業を行うのに要する人員は常時十数人という。

 入荷は、作業担当者のいる3つのステーションへ商品を収めておく専用棚をイブが運び移動。ステーションの作業員はモニターでの指示などに従い、商品を専用棚に入れていく。1ステーション当たり1時間で300ピースの入荷が可能になり、3スペース合計では1時間で900ピースの作業が行える。

 出荷でも同じく3つのステーションを設けている。出荷ステーションではオリコンをラックにセットし、イブが運び出してきた商品をモニターやラックのランプなどに従い、出荷商品を入れていく。同作業では1人当たり1時間で180ピースを処理でき、3ステーション合計で540ピースの作業が行える。

 また、出荷時のピッキングなどの作業において、敢えてスタッフによる手作業を行えるようにもしている。これは同社のこれまでの知見やノウハウから、敢えて人手による作業を行える体制を築いておくことで、繁忙期などの波動対応に有効になるという。

 商品を入れたオリコンは、8個ずつを台車に載せ、その台車は無人搬送機の「OTTO100」が梱包の作業区画まで自動搬送する。なおOTTOは14台導入しており、同機は自律走行型で障害物や人などを感知して走行できる。

 梱包の作業区画は、自動梱包機とスタッフによる梱包作業の2コーナーに分けている。OTTOはコンベア手前まで移動し、そこでオリコンをコンベアに載せていけば、オリコンのバーコードに従い、人による作業コーナーと自動梱包機のコーナーへ自動で振り分けていくことができる。

 自動梱包機はイタリアのCMC社の「CartonWrap(カートンラップ)」を導入しており、1時間当たり800個の梱包が可能。この数は人手によると5人の人員が必要となるもので、それを2人程度で行えるようになっている。カートンラップは商品の3辺を自動計測し、それに基づき段ボールをカットして梱包する。同梱チラシの封入も行え、自動でチラシ(4種類まで)を商品の上に載せた上で梱包する。

 梱包後に佐川急便の配送伝票を自動貼付し、またクライアントの社名やロゴの印字も行えるようになっている。

 自動梱包機で対象とする荷物は、主にケースものなどで、サイズも宅配便の60サイズ・80サイズを中心とする。複数個口や大型商品の場合はスタッフが作業を行う。なお、スタッフの作業テーブルにはカメラを設置し、ピッキングミスや個数の間違いなどへの対応を行えるようにしている。

 Xフロンティアの1~4階は、佐川急便の中継センターが来年1月に稼働予定。同センターへはコンベアを通じてECプラットフォームの荷物を自動搬送し、迅速に配送へ回せる体制となる。Xフロンティアは24時間稼働であり、仮に荷主が午後11時に注文を受けた商品でも午前2時までにピッキングして、佐川急便側へ引き渡すことができ、関東向けであれば午前7~8時までには各営業所へ届き、9時からセールスドライバーが配達するため午前中に配達完了することができるという。ECプラットフォームなどでスピード配送をオプション料金で提供する例が多いが、ECプラットフォームでは特別な付加料金なしに通常の料金内でスピード配送を提供できるという。

 一方、国際物流業務を展開するSGHグローバル・ジャパンの拠点が同じフロアにあり、このことから、中国や東南アジア向けでの越境ECの配送も横流しで行える体制となっている。

 ECプラットフォームでは事業規模に関わらず月間100個程度の出荷数といった小規模のEC事業者の業務も受け入れていくという。自社で倉庫を借りるといった場合、初期費用に加え倉庫代や作業員の人件費など固定費もかかるが、ECプラットフォームは初期費用がなく、荷物数に応じた従量課金でサービスを提供し、幅広い事業者の利用を促していく。

 なお、来年1月にはロボットストレージシステム「Auto Atore(オートストア)」を稼働する予定だったが、新型コロナウイルスの影響により部品の手配が滞る状況で、延期となる。オートストアは高密度の商品ストックが可能な自動倉庫で、同機が稼働すればECプラットフォーム全体で1日当たり5万5000個の出荷が可能になるという。
 
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