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千趣会の上期 通販事業が増収増益、ブライダルの不振で連結では赤字も、ファンドとの提携解消 

2020年 8月 6日 07:30

 千趣会の上期(1~6月)業績は、主力の通販事業が好調に推移したものの、これまで収益貢献してきたブライダル事業が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて大幅な減収減益・赤字となり、連結の売上高は前年同期比3・8%減の422億2600万円、営業損失が5億6300万円(前年同期は5億5900万円の黒字)、四半期純損失が30億円(同79億円の黒字)となった。

 主力の通販事業は、一定期間購入のないユーザーに積極的なアプローチを行うなど、顧客基盤の再構築に注力した結果、減少傾向にあった購入者数が好転した。また、商品仕入れのオペレーション改革による原価低減推進などの効果や、新型コロナ感染症拡大に伴う巣ごもり消費の増加、リモートワークに起因する家具・生活用品販売の拡大などの新たな需要を獲得したことで、通販事業の売上高は前年同期比11・8%増の346億5000万円に、営業利益は前年同期の3200万円から12億1500万円へと大幅に改善した。

 とくに休眠客に対してはDMなどでアプローチした結果、継続・復活会員が前年同期比41万2000人増えたほか、育児カタログの産院設置再強化などで新規会員数も同12万9000人増となった。

 加えて、コロナで変化した消費行動を的確に捉え、ECでの生活提案やSEO対策などを強化したことも奏功し、通販事業の月次売上高は4月が前年同月比21・4%増、5月が同30・2%増、6月も27・0%増と好調を維持した。

 オペレーション改革については、原価率やオフ率、プロパー消化率などの主要KPI管理を徹底。商品仕入れ先とのパートナーシップ強化で原価率の継続的な低減を図ったほか、バーゲン判断の早期化による在庫・償却の削減に伴う売上総利益の向上に努めるなどしたことで、従業員の意識改善も含めて構造的に売上総利益率が上向いたという。

 また、重点取り組みのひとつである商品力・提案力の強化についても、部屋着や家具・生活用品、子育て支援商品の訴求など、コロナ禍における生活様式の変化にスピーディーに対応したECコンテンツを打ち出したほか、将来の看板となる商品の発掘と磨き込みを開始。商品型数は前年同期比で5600型以上減らしたものの、1型当たりの売上高は同13万5000円増となるなど、顧客の日常に寄り添った商品提案ができてきている。

 一方のブランダル事業は、コロナの影響で挙式披露宴の延期の発生や営業活動自粛から売上高は前年同期比59・2%減の39億200万円、営業損失が21億4200万円(前年同期は3億100万円の黒字)と振るわず、連結業績の押し下げ要因となった。

 なお、上期の業績を受けて「通販事業の再構築に一定のメドがついた」(梶原健司社長)ことに加え、新常態への転換を好機ととらえて新たな成長ステージでの意思決定の迅速化を図る目的で、18年3月から続くREVICパートナーズが運営するファンドとの資本提携を解消。7月31日付けで同ファンドが持つ優先株式のすべてを約80億円で取得・消却し、資本政策の柔軟性を確保した。
 
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